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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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守る形の違い

強硬派副長の揺らぎ回です。


悪ではなく、守る形が違う人。


物語は白黒ではありません。

商業院、副長室。


夜。


帳簿が積み上がっている。


数字は、わずかに変化していた。


利益は微減。


だが、倒産件数も微減。


過労報告も減少。


不安定だった若手商人の離脱も減っている。


「偶然か……?」


副長は呟く。


急がせない制度。


彼は反対した。


止めようとした。


それが国益だと信じていた。


窓の外、王都の灯り。


昔は少なかった。


だが活気はあった。


今は多い。


だが、どこか慌ただしい。


自分は何を守ろうとしているのか。


副長は、若い頃を思い出す。


商人見習いだった頃。


拡張を急ぎ、父の店を倒しかけた。


無理な契約。


無理な借入。


速さは武器だと思っていた。


だが壊れた。


立て直すのに、十年かかった。


「速さは、刃だ」


小さく呟く。


便利だが、振りすぎれば自分を傷つける。


森の話を思い出す。


囲えなかった。


測れなかった。


だが壊れなかった。


「羨ましいのか?」


自問する。


森を羨むのか。


いや。


羨望は危険だ。


壊したくなる。


自分は森を守りたいわけではない。


王都を守りたい。


机の上に、自由研究期の報告がある。


“急がない期間により、生徒の自主課題継続率が向上”


“商業院調整月により長期取引の安定度が上昇”


数字は、嘘をつかない。


感情より厄介だ。


扉がノックされる。


若手商人が報告に来る。


「調整月、悪くありませんでした」


副長は目を細める。


「利益は落ちただろう」


「ですが、続きます」


続く。


壊れない。


その言葉が、胸に刺さる。


「……三年だ」


副長は言う。


「三年で判断する」


止めるつもりはない。


だが無条件で認めるわけでもない。


監視する。


見極める。


それが自分の役目。


窓の外。


王城の灯り。


森の夜を知らない副長だが、想像する。


急がない時間。


それは怠慢ではないのか。


だが数字は違うと言う。


「守る形が、違うだけか」


森は広げないことで守る。


自分は拡張で守る。


どちらが正しいかではない。


どちらが壊れにくいか。


副長は椅子に深く座る。


刃を抜くか。


鞘に収めるか。


今はまだ、収める。


だが目は逸らさない。


森。


丘の上でソラが笑う。


精霊が穏やかに揺れる。


王都の迷いを、森は知らない。


だが均衡は保たれている。


敵は消えていない。


だが揺らぎ始めた。

守るとは何か。


速さか、整いか。


森と王都は、まだ違います。


ですが互いを見始めました。


―― 月灯り庵

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