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5 あなたの脳内ランド繫殖しなさそうですね

『で、病院には行くのですか?』

「え、行かないよ」

『なんでです』

「今日日曜日だよ」

『救急外来へ行けばいいじゃないですか』

「幻覚が見えるくらいで?」

『幻覚ではないんですけれど、まあ、だから男性は早死にするんですね』

「みんな生活を人質に取られているからね、体調管理も仕事の内というのならば病院に行くのも仕事だよね」

『で、同期は何人死んでいるんです』

「まだたったの5人だよ」

『なら5.5人ですね』

「言葉的にはそうなんだろうけれど、死さんと離れたら死ぬのは0.999と言っても過言ではないと」

『過言ですよ、0.999は1ですから』

「なら0.5か」

『でも0.1でも死にますよね人間』

「それはまあ時と場合によるとしか、確定させるなら0.3か」

『では病院に行かないのなら映画館に行きましょう』

「え、むり」

『離れてもいいんですよ』

「そしたらアイシーとやらが飲めなくなるけれどね」

『ぐぬぬ、卑怯な』

「別に見る映画が無いからと言って映画館に行きたくないわけでも、死さんに隠れて映画が見えなくなったとしても映画館へ行きたくない訳でもない」

『どういうことですか?』

「映画館へと行ける気がしない」

『なるほど』

「死さんって排泄しないの?」

『する必要が無いからしませんね』

「昨日より5キロは重くなっているよね、昨日歩いている時でさえ重かったのに」

『私が花の乙女だったら貴方死んでますよ?』

「軽くならないの?」

『試したことはないので感覚的な部分になるのですけれど、霊体化とか言うのですかね、それしたら死にますね』

「試してもらいたくはないから、死さんの重さになれるまで待って欲しいんだ」

『そうなるとお寿司とかがいいんじゃないですか?』

「あと」

『あと?』

「排泄が出来るなら、毎日排泄して欲しいんだ」

『うわあ、えっちぃですね』

「生理現象をエロティシズムととらえるのはどうかと」

『あなたの脳内ランド繫殖しなさそうですね』

「見れるんじゃないの」

『うっわ、もっとマスターベーション増やした方がいいんじゃないですか?』

「働いていると性欲湧かないんだよね」

『増やさないと癌になりやすくなりますよ』

「この状態で言われてもね」

『私って魅力ないんですか?』

「何だろう一周周って萎える」

『凄い侮辱を感じる』

「全身タイツのシースルーは確かにエロいと思われるが、にゅうとうや陰部がもろだしは萎える。ジャケットとブーツを着る前にそこ隠せよって、というかジャケット脱いだら軽くなりませんか」

『確かに』

 そう言って彼女がデニムジャケットを脱いで手放す。

 そしてデニムジャケットは黒い粒子となって消え去っていった。

『デニムジャケット無くなっってしまったのですが!?』

「え、四次元ポケット的な物に閉まったんではなくて?」

『そんなのあったら普通に胃擬と繋げて、アイスを無限に楽しみますよ』

 うっわ、きっしょ、それってただのゲロじゃん、咀嚼するんでしょ?

 まだ人間的な価値観の子っていてよかったわ。

 でも臓器擬きを作っているのならみずっぱらにならん?

『なんか腸を再現したらアイスが腸にたどり着くと消えるんですよね。この感覚はただの人間には分かる事はないと思いますけれど』

 うどんを食べて栄養が足りなくなってお腹がすく感覚に似ているのだろうか。

『でジャケットどうしてくれるんですか』

「今度買ってあげますからね」

『それまでタイツとブーツだけでいろって事ですか? 普通に恥ずかしいんですけれど』

 人外の感性が分からない。全身タイツにたかがコートひとつで羞恥心が消えるものなのだろうか。

 今度また帰り道露出狂に出会ったら聞いてみようか。

「スーツのジャケットでいいなら上げるよ」

 そう言って昨日着ていたスーツのジャケットを手渡すと彼女は袖を通し始めた。

 離れてしまわないよう手で彼女の腰を支える。

『あなたの匂いがします』

 ジャケットを着終えた死さんは、頬を赤らめ恥ずかしがるようにそう言った。

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