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雷蝶の奏曲  作者: 重鳴ひいろ
四章
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番外編/アンジエスタ・ブレイクフェスティバル――①

 夏休みも終わり、新学期がゆるりと始まった。初日にあたる今日、午前は始業式で午後は普通に授業という日程だ。授業と言っても要はガイダンスだ。誰もが、今日は楽に一日を終えられると思っただろう。しかし、現実にはそうならず、放課後の今、綾たちが所属するGS(普通科総合)1Cには一つの問題が担任のマリナ・レベリオーネによって提示されていた。

 大型ディスプレイに表示された問題――『十月開催予定の文化祭について』

 私立アンジエスタ学園では毎年十月の後半に、いわゆる文化祭と呼ばれる行事が開催されている。その名もずばり、アンジエスタ・ブレイクフェスティバルと言う。"日常の一時的完全破壊"という共通テーマが掲げられたこの文化祭は、初等部・中等部・高等部が同時に行うので毎年いろんな意味で大変なことになる。ちなみに、大学と大学院は当日全講義休講になる。

 「本当は今週中に決めればいいことになっているが、面倒だから今決めるぞ」

 マリナは気だるそうな声音と表情でそう告げた。どうも文化祭に対してあまり乗り気ではないらしい。

 「いくつか考えてきたから、この中から選べ」

 マリナがディスプレイを操作し、スライドを切り替える。そこには、既にいくつかの候補が箇条書きに並べられていた。

 


 ○メイド喫茶

 ○コスプレ喫茶

 ○ツンデレ喫茶

 ○執事喫茶

 



 ――な……何からつっこめば…………。

 クラス全員が、今までにないユニゾンを以って内心呟く。

 「あ……あの~、何で喫茶店しかないんですか?それに今時喫茶店なんて……」

 代表して、委員長の伊井沢凪がマリナに訊ねる。

 「逆に訊くが、オタクが百年前から進化してると思うか?」

 「いえ、思いません」

 即答する凪。だがそれは事実だ――視点を変えると、電子世界ができたことで大きく進んだとも言えるが。さらに言えば、腐女子も同様の進化をみせている。

 「つまりはそういうことだ。オタク文化が揺らいでいない現状で、こういう危ない案を出すクラスが他にあるとも思えない。だからこそ、最も通りやすい案でもある」

 理にかなっているような口ぶりでマリナは話しているが、全然かなってなどいない。要は、面倒なのでお前たちがリスクを背負い、最悪犠牲になってくれと言っているのだから。

 「特に――栗原がいるのだから尚更だ」

 「何で、そこで私の名前が出てくるんですか?」

 綾は間を置かずに反論する。だがいかんせん、相手が悪い。

 「ネコミミ、きっと似合うぞ」

 「知りません。それに、そういうことじゃ――」

 「ツインテは未だに根強いんだぞ?」

 「だから――」

 「ポニテもいいかもしれない……」

 変な方向に話が脱線していき、最早修正もできないと悟ると、綾は諦めたようにため息をつき、口を(つぐ)んだ。

 「よし、じゃあ、文化祭はコスプレ喫茶で決定でいいな?」

 もう誰も何も言わない。ここにきて、ようやく理解したのだ、マリナが実はどういう人間か。

 「さて、次は校長と理事長をに話して押し通さなくちゃな。ま、少し脅せばなんとかなるだろ」

 そんなことをぶつぶつと呟きながら、マリナは教室を去っていった。

 「綾ちゃん」

 綾が、もう一度深くため息をついていると、未奈が声をかけてきた。未奈は、瞳の中に星をいくつも散らしながら、

 「わ、私も似合うと思うな、ネコミミっ」

 救いになど決してならない言葉を言い放つ。悪気などなく、本心そのままであるが故に、なお性質(タチ)が悪い。

 「ほいっ、綾っち」

 すちゃ。そんな感じで、いつの間に近づいてきていたのか、我らが委員長の凪が綾の頭にネコミミのついたカチューシャを取り付ける――なぜ持っていたかは不明だ。

 「なっ…………!?」

 「なっ…………!?」

 最初のは綾が、次のは凪があげた声だ。

 「こいつぁ…………まさに、ブレイカー……あるいはキラー……」

 凪が下した評価はそれだった。

やほい(-o-)/

ポケモントレーナーとしてはまだまだ未熟な作者です。


さて、今回の話ですが、まぁ秋の行事といえば体育祭や文化祭などが常道でしょう。そんなわけで、文化祭です。体育祭(運動会のほうがいいかなぁ……)は、気が向けば。



んじゃ、作者はこの辺で。

では。

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