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雷蝶の奏曲  作者: 重鳴ひいろ
三章
43/76

#34 前期中間考査――①

 5月も終盤。梅雨がフィレネスにも近づきつつあるこの時期に、入学以後学生を苦しめる最初の難所が訪れる。

 すなわち、前期中間考査が。

 二学期制の私立アンジエスタ学園高等部では、毎年5月末~6月始めにかけて第1回定期考査が行われる。そして、7月の中旬に前期末、10月中旬に後期中間、1月末に学年末――学年末が若干早いのは、3年生に合わせているためだ――という風に定期考査が行われていく。

 雨天の今日は、ちょうど前期中間考査1週間前にあたり、勉強嫌いも危機感を持ち始める頃でもある。そんな日に、未奈以上に不自然な時期の転校生が現れた。しかも、綾たちが所属するGS(普通科総合)1Cにである。

 「えーとだな……こんな時期に転校してくるなんて何考えてんだ、って先生も思うが、転校してきてしまったもんは仕方がない。というわけで、入って来い」

 担任の数学教師――マリナ・レベリオーネは、右手で額を押さえて溜め息交じりにそう言いながら、転校生を招き入れた。

 「エルカ・メフィリア」

 ショートの黒髪、エメラルドの綺麗な瞳をした転校生――エルカは、それだけを言った。

 「お前の席はあそこだ」

 エルカの席は、詩織の隣だった。

 <華焔>集合、と喜んだりはもちろん、綾も詩織も未奈もしなかった。綾にいたっては頭を抱えている。

 その後、マリナが連絡事項を伝えていたが、綾の場合頭を右から左に素通りするだけだった。

 ちなみに、アンジエスタ学園の場合、他の学校同様転校の際は編入試験を行っている。詩織が気付いているかは不明だが、未奈もエルカも当然これをパスした上で編入しているわけで、この編入試験は進級試験よりも少しばかり難しいわけで、要は二人ともそれを軽くパスできるくらいの学力があるというわけである。

 詩織は、そのことをそう間をおかずに痛感することになるわけだが、今の詩織にはそんなこと知る由もなかった。











 放課後。

 「う~む……………」

 詩織は、他の学校と比べればどこをとっても豪奢――GSP(普通科特進)のクラスのそれと比べると若干劣るが――な机に突っ伏して唸っていた。

 背の中腹まで流れる紅蓮の髪は、いつもの元気を失いだらんと垂れていた。

 「あの……詩織ちゃん?どうしたの?」

 みかねた未奈が声をかける。

 「あぁ……毎回のことだから気にしなくていいわよ」

 答えたのは、飲み物を買いに行って戻ってきた綾だった。その手には、カフェオレがあった。

 「え?」

 未奈は振り返りつつ、そう返す。

 そう、この光景は綾にとっては中等部からずっと見てきたものであり、最早珍しくもなんともないものだった。

 「やっぱり勉強しないとマズイよね」

 詩織は、当たり前のことを口にする。

 「赤点はやっぱり取りたくないし」

 「赤点?」

 そう疑問を発したのは未奈だった。その表情を見るからに、ふざけているわけではないらしい。

 「アンジエスタの場合、40点以下が赤点で、赤点を取った教科は必ず補習を受けて、出された課題を提出しなくちゃいけないのよ。補習は、結果が出された後の1週間の間に行わて、時間が被らないよう組まれているの。赤点組はその1週間を、"Hell's a week(地獄の1週間)"と呼んでるみたい」

 綾は、カフェオレを飲みながら、未奈に説明をする。

 「そう……あの1週間はまさに地獄。放課後を潰され、各教科1時間勉強漬け。課題はやたら多い上に、教師は2日でやってこいとか無茶を言う」

 詩織は、かつての1週間を思い出したのか、顔を青ざめ、手をわなわなさせながら、震える声でそう言った。

 「ま、ちゃんと事前に勉強すれば、赤点なんて回避できるんだけどね」

 「それは、苦労を知らない天才の言い分だ!」

 詩織は、ビシィッ!、と綾を指さして叫んだ。

 「私は、毎日少しずつだけどちゃんと勉強してるの。天才なんかじゃない。姉さんの方がよっぽど天才じゃない」

 「あぁ、それは納得。でも、それはそれ。よし……じゃあ、明後日休みだし、綾の家でみんなで勉強会しよう!」

 「あ、それ私もやりたい!」

 突如、賛成の手を挙げたのは未奈だった。

 「やる……」

 今まで黙っていたエルカもそんなことを言う。

 「断っても来るんでしょ?いいわよ、勉強会」

 「決まりっ!家探しするぞー!」

 「詩織、電子世界行きたい?」

 「うっ……き、今日はやめとく……」

 詩織の顔は、完全に引きつっていた。

 そんなわけで、勉強会を開くことが決定した。











 勉強会当日。

 詩織と未奈、エルカは、午前9時ごろに綾の家にやってきた。

 綾は、部屋への誘導を詩織に任せ、キッチンにて4人分の飲み物と菓子を用意する。

 そして、それをみんながいる綾の自室へと持っていく。

 扉を開けると――中等部の時の卒業アルバムを見ていた。

 「取りだしたのは誰?」

 綾が笑顔(・・)で訊ねると、

 「あ……私…………」

 と、未奈がおずおずと手を挙げた。

 「あー、未奈か。じゃあ、まぁ、いいか」

 「私だったら殴ってたでしょ?」

 「かもしれない」

 綾は、飲み物と菓子を載せたトレイをテーブルに置き、ラーゼリッタを操作しながらそう答える。極力硬めの声で。

 「ん?……何これ?」

 詩織が、着信を告げる曲が脳内に流れたので、ラーゼリッタを展開すると、ファイルが1つ送られてきていた。

 「ラーゼリッタで作った、今回のテストの数学の対策問題。ちょっとやってみて」

 「えー」

 「殴るよ?」

 なんだか最近上下関係が出来上がりつつあるのを感じながら、綾は低い声音で言いながら詩織に詰め寄る。

 「分かった、分かったから。その拳を下ろして……!」

 綾が離れると、詩織はいそいそと問題を解き始めた。

 そうして、20分ほど経った頃、

 「終わったー!」

 と伸びをしながら詩織が倒れた。

 綾は、詩織のワーゼリッタと自分のそれをリンクさせ、問題の採点を行う。無論、ラーゼリッタがやらせているわけだが。

 採点は、数秒と経たずに終わった。

 表示された点数は――41。ギリギリだった。

 「41……」

 綾は、その点数をボソリと呟いた。

 高1の最初の定期考査でこれである。

 マズイ、とかいうレベルではない。

 「41……」

 今度は、起き上がり点数を見た詩織が呟く。

 二人とも、それ以上言葉が出なかった。

 ここに、こうしてこのような形でバカキャラが確立した。

 「私は……バカじゃない!」

 マンガの四角い吹き出しに対するように、詩織は叫んだ。

やほい\(-o-)/

神崎です。

もうすぐ『初音ミク Project DIVA 2nd』が発売ですよー!

同じ日にGAも発売ですよー!

どっちもやりますよー、神崎は。

でも、9月にポケモンが出るので、すでに積んでいるChaos;HEAD NOAHも含めて、プレイする順番に悩んでるんですよ。



まぁ、そんなことより。

テストですよ、テスト。

神崎は、詩織と同じで勉強嫌いでしたからねー。

点数やばかったです。


そして今、大学生ですが、当然勉強は――――してませんねー。

ほんと、リアルでテスト近いので、ヤバイんですよ。

でも、どうにもヤル気が……。


楽典が……やばいんですよ。分かる人いますかー?いたら教えてください。いや、マジで(^_^;)


では、今回はこの辺で。

ばぁい(^o^)丿

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