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雷蝶の奏曲  作者: 重鳴ひいろ
二章
36/76

#31 Autres

 翌日、土曜日で学校が休みのこの日、綾は<華焔>のターミナルにリオナを呼んだ。

 時間は午前10時を少し過ぎた頃。

 綾が、レトロな造りの喫茶風ターミナルにある席の一つにゆったりと座って、アップルティーを飲んでいると、一人の少女が転移してきた。

 「お待たせしました、センパイ」

 そう言いながら綾の方へと歩いてきたのは、綾がメールで呼んだリオナだ。

 ラフな格好の彼女は、清楚なロング丈のワンピースを着た綾と、渋さ満点のターミナルの内装を交互に見やりながら、綾と対面するように席に座る。

 「センパイのところのターミナルって、久しぶりに来ましたけど、やっぱりとっても落ち着きます」

 綾は、その感想に頬を少し綻ばせながら、立ち上がってカウンターの内側へと行き、ティーカップを取り出してそこにアップルティーを注ぐ。

 白い湯気を、香りとともに漂わせるアップルティーをリオナのところまで持っていき、「どうぞ」と言ってリオナの前に置く。

 「……いい香りです。センパイ、紅茶淹れるの上手ですね」

 「そう?特に気にしたことないけど、昔から一人でいろいろやってたから。紅茶とかも、必ず自分で淹れてたし」

 「へぇ~」

 ゆっくりとした時間が、ほんわかとした雰囲気とともに流れていく――かに思われたが、それは不意に硬いものとなる。

 「それでセンパイ、話ってなんですか?」

 リオナの、さっきまでふにゃんと緩んでいた表情が、一瞬で引き締まる。

 それは、とても中学3年生とは思えない、とても真剣な表情だった。

 「うん……ベルガッセのことなんだけど」

 「それは……リオナも気になってました。ベルガッセは結構前からあるギルドでしたけど、その活動はとてもおとなしいものでした」

 「うん。ギルドの活動ログからもそれは明らかで、とても違法扱いになるようなギルドじゃなかった。それは、バゼルにしてもそう。彼は、ギルドメンバーの中でも特におとなしい性格で、たとえ一人でギルドに対抗できうる力を持っていたとしても、自分からそういうことをやるようなヤツじゃなかった」

 「でも実際には、記録にあるように多くのギルドを襲撃して、違法術師となりました。そのことを本人も認めてますし」

 「そうなんだよね。でも、だからこそそこが引っ掛かっているんだよね」

 「評議会に不備はないでしょうし……」

 「うん、それはないと思う。評議会は、『確実性のある物的証拠』があって、なおかつ『辻褄が正確に符合』しない限り違法宣告はしない…………はずだから。絶対とは言えないけど……」

 そう、所詮判断を下しているのは人間だ。人間である以上、裏に別の思惑が存在していても何ら不思議ではない。

 「あるいは、誰かに頼まれてギルドを襲った――とか?」

 「頼まれて……ですか?」

 「うん。普通はそんな危険なこと、頼まれても実行しようとはしないかもしれないけどね。結局は人間なんだし、利害次第ではやらざるを得ない場合もある」

 「確かにそうかもしれませんが、ベルガッセには脅される理由はありませんし、事件を起こすことで得をしたとも思えません。別組織に加担している、てこともなさそうですし……」

 「…………。……ふぅ。答えは出そうにないね」

 「そうですね……。それにもう後の祭りですし。今更どうすることも……」

 「なんかスッキリしないなー…。はぁ、やめやめ。この話はこれでお終い!」

 「それよりセンパイ!」

 リオナの瞳が、突如その輝度を増す。

 「な、なに?」

 「そのワンピース、とってもお似合いです!」

 リオナは、身を乗り出し、キラキラッとしたエフェクトを振り撒きながら高らかに言う。

 「あ、ありがと」

 綾は少々たじろぎながらも、礼を述べる。

 だが、そこで終わることはなく、リオナはリミッターを外したかのように、艶やかさを含んだ声音で続ける。

 「いえ、きっとセンパイは何を着てもきっと似合うに決まってます。純白のウェディングドレス、華やかな深紅のパーティードレス、色鮮やかなチャイナドレス、漆黒のシックなドレス……はぅ」

 やたらドレスが多いが、この調子だとそのうち綾のことを「お姉さま」とか呼び出しそうな勢いだったので、ストップの意を込め綾は声をかける。

 「リオナ……その……」

 「センパイ、これからセンパイのことはお姉さまと呼ばせてください。いえ、たとえセンパイが嫌だと言っても私は……。秀さん、あなたには負けません!」

 制止の声は届かず、しかも敵対心まで生まれてしまった。

 ちなみに、秀が綾を好きなことを、リオナはだいぶ前から知っていた。

 「え~と……」

 もはや綾にはどうしていいか分からず、結局諦めることにした。

 綾に対してとある感情を抱き始めたらしいリオナは、ほんのりと頬を赤く染め、両手を合わせて、うっとりとした瞳をして、想像をフリーダムに広げていた。

 そんなリオナを見た綾は、一度ゴシゴシと目をこする。

 リオナの後ろに、無数に乱れ咲く薔薇が見えたからだ。

 しかし、その薔薇はやたら存在感があるらしく、消えてはくれなかった。

リオナが……リオナが……。


ど、ども、神崎です(^_^;)

読了、お疲れ様です。


えーと、神崎自身、なぜこうなってしまったのか分かりません。


途中から、やたら指が走る走る……。


リオナが綾の服装を褒めるところまでは予定通りだったんですけどねー。


書き上げてみれば……あ、あれぇ~?


か、CANAANの影響かな~、あははー(^_^;)>


ま、まぁ~、いっか~。


物語に支障は出ないだろうし……。


そ、そろそろ神崎は帰りますねー(^_^;)

で、では……。

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