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雷蝶の奏曲  作者: 重鳴ひいろ
二章
35/76

#30 <華焔> vs ベルガッセ――⑬

やほい(^O^)/

神崎です。


まずは謝辞から。


皆さん……30話、書きすぎてしまってゴメンナサイ。

結構長いです。読む際は頑張って。時間のある時に読みましょう。


さて、この話でとりあえず、第1章にあたる部分が終了します。

やっとです。

長かった。13て……。ベルガッセ戦長くやりすぎましたかねー。



さて、今後の展開ですが……。


「綾が……殺された……?」

雷蝶の翅は折れ、彼女の奏曲は断たれた。

――最後の一音を残して。

「これは……!?」

電子世界が灰くなり、混沌とした渦が巻き始める。

その時世界は、いかなる音を響かせるのか――。




というわけでですねー。

一度やってみたかった嘘予告。嘘だからね?本気にしないでよ?

…………さて、立ち去った人と笑止した人、呆れた人、驚いた人(いるのかなぁ)、その他、円グラフにしたらどんな結果になるんだろう。


ごめんなさい。どうしてもやってみたかったのです。

頭の中に浮かんでしまったのです。

だからどうか、見限らないで。



さて、本当の予告をしましょう――次話のではないです(^_^;)。

時は5月の末から6月の初め。

学生ならば避けては通れない、現実世界の現実。

バカと天才が確立するあのイベントです。


というわけで、前書きまで長くなってしまいましたが、この辺で。

じゃ。

 「バゼル……」

 秀が、綾の隣で人影――赤い双眸をした、左腕に刺青を刻んだ少年――の名を呟く。

 綾はもちろん、リオナもその名をもちろん知っていた。

 ギルド"ベルガッセ"メンバーで、ギルドの総意と称し他ギルド合計7つを単独(・・)で襲撃した。

 電子世界でのことなので死者はいないが、多数の負傷者が出たのは事実だ。

 当然、ギルドマスターとともに電子世界における最高裁判所"電子統管評議会"に呼ばれ、その真偽を計られた。

 そして、バゼルはその事実を認め、事の大きさを鑑みて今度はステイルが、その管理責任を問われた。

 結果的に、ギルドそのものが違法扱いとなり、メンバー全員が違法術師として処罰対象となることが正式に騎士・護姫に発表された。

 つまり、今綾たちの前に現れたバゼルは、ギルドを違法ギルドへと貶めた張本人ということになる。

 「皆さん、下がっていてください」

 リオナが、全員を一人ずつ見渡しながら、普段よりやや硬い声音でそう言った。

 そうして、一歩前に出ると、バゼルと同時に呟く。

 「「電子魔術、起動」」

 リオナは、バゼルよりも数瞬速く、起電術音(スペル)を唱える。

 「テュエス・レビレ・アンフェルテ」

 その後はすべてが一瞬だった。

 バゼルの周囲に現れた、5つの円環術譜が、さらに"復現"によってそれぞれ別の向きで5組展開する。そうしてバゼルを取り囲んだ、合計25の円環術譜から25本の熱線が同時に放たれた。

 バゼルは防御魔術を展開することも、攻撃魔術で打ち破ることも、ましてや回避することも叶わず、その身体を粉々に砕かれた。

 と、ここで予想だにしなかったことが起きた。

 さっきまでバゼルがいた場所から、1つの光球が綾の元へと飛んできた。

 綾には、その光の質感や雰囲気から、それが何か直感的に理解した。

 「これが………フラグメント………?」

 綾は、その紫色した光に指先で触れる。

 「…………」

 暖かった。その光は、綾にとってとても懐かしい温もりを持っていた。

 綾が触れていたのも一瞬、光は綾の中へと入った後、すぅと消えた。

 辺りに、静寂が満ちる。見渡せば、廃れた街はその大部分が崩壊していて、原形をとどめている物はごく僅かだった。

 「センパイ」

 水を張ったような静寂を破ったのは、リオナだった。

 「バックアップデータがないって、どういうことですか?」

 その声には、はぐらかす事を許さない、確かな力があった――綾を真正面から見つめる、リオナの両の瞳にも。

 「――『ウイルス・ブレイク』を知ってる?」

 「あ……私は、知ってます」

 リオナは、その時のことを瞬間的に思い出したのか、少し顔を俯けながら、そう答えた。だが、詩織だけが首を傾げていた。

 「全ての術師のバックアープデータがある巨大サーバーに強力なコンピュータウイルスが侵入して、バックアップデータを全破壊した。同時に、電子世界のあちこちのターミナルやサーバーでネットワークウイルスが大量に出現して、ログインしていたほぼ全ての術師が襲われた。それが『ウイルス・ブレイク』」

 バックアップデータを破壊されたため、多数の死傷者が続出し、多くのターミナルが崩壊した。

 ネットワークが寸断され、隣接するターミナルへすら移動できなかった。

 そしてこの事件の最中で、綾はフラグメントとなった楽譜を手渡され、手渡した"大切な人"は死亡した。

 さらにその綾も、バックアップデータを失った。正確には、綾だけバックアップデータを復元することも、新たに生成することもできなかった。

 綾は、この事件を機に、電子世界のバグ的存在になったのだ。

 綾が事件の概要を語り終えた時、沈黙が空間を満たしていた。

 「さてと……戦闘も終わったし、帰りますか」

 綾は、場の雰囲気を崩すように、軽い口調でそう促す。

 「その前に――」

 だが、その提案に制止をかける者がいた。秀だ。

 「えーと……」

 「坂井祐太」

 祐太に視線を向けたまま固まる秀に、綾が名前を教える。

 「坂井祐太、お前は今後どうするんだ?」

 「俺は……」

 祐太は違法術師だ。それは、全ての原因たるバゼルを処罰したところで、変わることはない。

 だが、騎士(ナイト)護姫(プリンセス)なら、その立場を変えることができる。

 電子統管評議会と並列組織にある騎士や護姫には、それだけの力が立場上ある。

 「居場所がないんだったら、俺の隊に来いよ」

 「……俺は違法術師だぞ。そんなこと……」

 「できるんだよ。俺は騎士だから」

 祐太は、視線を未奈の方へと向けた。

 未奈は、何も言わずに一回頷く。

 「……決めた。入ります、秀さんの隊に」

 「あれ?俺名前言ったっけ?」

 「秀さんは有名人ですから」

 「あー……なるほどな。そーゆーのあんまり自覚なくて。まぁとにかく、今後よろしくな」

 「こちらこそ、よろしくお願いします」

 「それと、敬語は禁止な」

 「え?」

 「――って言いたいところなんだけど、あいつら揃ってタメ口で話そうとしないから、まぁ好きにしろよ。俺自身はどっちでもいいから、周りの空気察して、話し方は自分で考えろ」

 秀は、頭をガシガシと掻きながら明後日の方向を見る。その脳裏には、隊のメンバーの顔が浮かんでいた。

 「あ、はい」

 「手続きとか処理とか、そういう面倒なことは俺がやっとくから、お前は隊に溶け込む努力でもしておけばいいから。……さてと、話は終わり!帰るか」

 6人は、秀のその言葉に従って電子世界を後にした。

 指定した座標軸は私立アンジエスタ学園正門前。

 「それじゃあ、俺たちはここで」

 「中で一緒に手当受けていけばいいのに」

 それじゃ、と言いかけた秀に、綾がそう提案する。

 「あのなぁ、いくら共学っていっても、生徒全員が女子の学校だぞ?入ったら、どんなトラブルに見舞われるか……そういうことだから、俺たちは近くの病院に行くよ。じゃあな」

 「うん。………………秀!」

 綾は、西日に照らされながら去っていく背中を呼び止める。

 「何だ?」

 「今日は、ありがとね」

 そう言った綾の顔には輝くような笑みが浮かんでいて、夕日の朱の光が綾を普段よりも綺麗に魅せていて、秀は頬が熱を持つのを感じながら、顔を逸らす。

 「お、おう」

 秀は、後ろ手にそう答える。

 その隣で、右肩を押さえている祐太が、腹まで押さえていた。

 その数秒後、その顔は青く染まる。

 一方綾たちは、キャンパス内にある大学付属病院――大学の学部のひとつである医学部が主となって運営している――に赴き、手当をしてもらい帰路についた。

 こうして、ベルガッセ戦はその幕を閉じた。

 だが、今回綾が手にしたのは、5つあるフラグメントのうちの1つ目である。

 物語はまだ、その序章を終えたに過ぎない。

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