#29 <華焔> vs ベルガッセ――⑫
やほい!
たまには前書きなんて書いてみよう、と思い立ち、やってきました作者=神崎です。
さて、いざ書こうと思うと何を書けばいいのやら。
最近暑いですねー、みたいな世間話か。
相変わらず「機動戦士ガンダム アサルトサヴァイヴ」が終わらず、ゲームが溜まってて大変なんですよ、みたいなくだらない話か。
はたまた、二つほどこの「雷蝶の奏曲」に関して企画していることがある、みたいな宣伝か。
ちなみに、全部ホントの話なんですけどね。
まぁ、ちまちま頑張ります。
皆さんも、電子書籍読むの頑張ってください。
目が疲れたら、無理せず目薬を。
それでは。
「はぁ……はぁ……――」
綾は、荒く息を吐きながら立ち上がった。
全身が軋み、鈍い痛みが走るが、綾はそれでも体を動かして、流血する右肩を押さえながら小さく呻いているステイルのもとへと歩いていった。
「はぁ……ステイル……一つだけ……これだけは答えて」
「何だ……?」
ステイルは、痛みに歪めた顔を綾の方へと向ける。
「アンタの本当の目的は何?」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味よ」
「ふっ……仮に、別の目的があったとして、それをお前に答えなきゃいけない理由がどこにある?」
「あくまではぐらかす気?」
綾は語気を強めて、問う。
「はぐらかすも何も、あの《氷剣》の中の特殊改変プログラム以外に、目的なんかないさ」
「そう……違法ギルド"ベルガッセ"、マスター・ステイル。処罰を敢行します。――アルシュレイザ」
綾の右手から放たれた雷撃は、ステイルを貫き、耐久限界値を超えた身体構成プログラムを破砕し、術師としての資格を剥奪した。
「綾!」
声のした方へと綾が顔を向けると、こちらへ歩いてくる秀の姿があった。
「どうしてあんな無茶したんだ!?」
「無茶?なんのことよ」
「お前なら、あの不意打ちを避けることはできたはずだ。なのに、どうして――」
「私は――」
綾は、大型自動拳銃を構えながら戦場へと歩いてきたエルカを横目に見ながら、その理由を告げる。
「エルカの力がどの程度のものか見たかったのよ。それだけ」
「それだけ?ふざけるなよ」
秀が怒っているのが、誰の目からも見て取れた。
そして、秀がなんで怒っているのか、それは綾が一番分かっていた。
「お前には――」
ここは電子世界で、死ぬことはまずない。
にも関わらず、ここまで過剰になっているのは、秀が知っているからだ。
綾には、死なないための道具がないことを。
「バックアップデータがないんだぞッ!その意味を、お前が一番よく知ってるはずだ」
そんなこと――綾がそう言おうとした時、遮る声があった。
「どういう……こと?」
秀の後ろ、いつからいたのか綾には分からなかった。
「詩織……」
「ねぇ、綾!それどういうこと?バックアップデータって、この世界で死なないために、体を構成しているプログラムを再構築するために必要なものでしょ?それがないって――」
「詩織」
「綾……」
「今度、ちゃんと話すから。――戦いは、まだ終わっていないから」
詩織が、綾の視線を追うと、そこには一つの人影があった。