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雷蝶の奏曲  作者: 重鳴ひいろ
序章
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#9 勉強会と初仕事――④

 それぞれが、それぞれのやることを終え、再び<華焔>のターミナルに集まる。

 「センパイ、誰ですか?」

 報告を一通り終えた後、リオナはさっきからチラチラと視線を送っていたエルカのことを綾に訊ねる。


「エルカ・メフィリア」

 「あ・・・エルカさんっていうんですか・・・・・・って、そうじゃなくてですね。いや、それも大切ではあるんですが――」

 「入隊志願者よ」

 綾は、報告事項をまとめながらサラリと言う。

 そして、続けるように経緯を語る。








 「やっと・・・・・見つけた・・・・・」

 白銀の長大な対戦車ライフルを携えた少女は、初対面である綾に対してそう言った。

 「私を探していた?」

 コクリ、とエルカは頷いた。

 少女は、エルカ・メフィリアと名乗った。

 その声は小さく、だが不思議と聞き取りにくさはなかった。

 「《墜翼の機鋼(レニア・ハードロイド)》、3rd」

 エルカはコードとライセンスを簡潔に述べる。

 「入隊希望」

 続けて、綾を探していた理由を告げる。

 ショートの黒髪を吹く風になびかせ、エメラルドのガラスのように澄んだ美しさを秘める瞳を、真っ直ぐに綾に向けながら。

 その様子を脇で見ている未奈は、何も言わない。

 「・・・・・・一つ聞いてもいいかな?」

 「・・・・・いい」

 綾は、深青の瞳で見つめ返しながら、質問を口にする。

 「なんで、私の隊なの?」

 「それは・・・・・今は・・・言えない」

 電子魔術をシステムダウンさせながら、俯きながら、やはり小さな声で返す。

 「・・・・・そっか。・・・・・いいよ、入っても。なんか、私も含めて私の周りには訳ありばっかり集まるみたいだし。一人だけ除者にするわけにもいかないしね」

 綾は、笑みを僅かに浮かべながら、入隊許可を言い渡した。








 「そんなわけで、手続きはまだだから、とりあえず仮入隊ってわけ」

 「・・・分かりました。センパイの隊なら、顔を合わせることも多いと思いますし、よろしくお願いしますね。あぁ、そう、私は――」

 リオナ、未奈、詩織の順に簡単な自己紹介をしていく。

 「とにもかくにも、これからよろしくね、エルカ」

 綾の、その言葉で初仕事は締めくくられた。

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