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カズト、異世界に召喚される

「うおおおおおっ!!!」


気がつくと、俺は何もない空間の中で叫びながら転がっていた。風を切る音が聞こえ、やがて地面に叩きつけられる。最悪だ、まるで遊園地のジェットコースターにでも乗ったような感覚だ。


「痛っ!」


思わず叫んでしまったが、次の瞬間、身体が浮いてしまった。どうやら、空中で無理に体をひねったせいで転がり続けているらしい。


「おおおお!さすがに腹立つぞ!」


「ちょっと!やめてよ!」


突然、耳元で叫び声が聞こえた。見上げると、今度は空に浮かぶ女神が降ってきた。金髪の少女だが、何だかその表情が若干焦り気味。


「え…?お前、何してんだ?」


俺はあわてて立ち上がり、空から落ちてくる女神を受け止めようとしたが、まさかのタイミングで彼女が俺にぶつかってきた。二人とも一緒に地面に叩きつけられ、再び大きな音を立てて転がる。


「ああ…痛い…」


「申し訳ありません!あなたを召喚するつもりが、どうしてこんなことに…!」


女神が必死に謝る。どうやら俺、異世界に召喚されたらしい。それは良いんだが、なぜこんな最悪な着地を決めるんだ…。


「いや、いいけど…さすがにそろそろ状況説明してくれよ。」


「あ、ああ、そうでした!あなたはこれから異世界で冒険をすることになります!助けてください!というか、私があなたを召喚しました!」


は?助けてって、俺別に異世界に興味ないんだけど。


「ちょっと待て、意味がわからん。俺、普通のサラリーマンだったんだぞ?なんで突然、異世界で冒険とかやらなきゃいけないんだ?」


「ああ、そ、それは…!あなたが選ばれたからです!最強の英雄として!」


「いや、最強もクソもないだろうが!俺、ただの無職の…」


俺が言いかけたその瞬間、背後で大きな音が鳴った。振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。


「おい、あんた!何が最強だって?」


「ひゃっ!?な、なに!?」


その女性は、真っ赤なローブを着た美少女…と思いきや、いきなり自分の周りで魔法陣を展開し、呪文を唱え始めた。なんだこれ、いきなり魔法使い?


「い、いや、ちょっと待ってくれ!私はその…カズトという者で…」


「うるさい!私は最強の魔法使い、リーネだ!お前みたいなサラリーマンが英雄になれると思ってんのか!?見せてやる、超絶魔法!」


リーネは自信満々に魔法を放とうとするが、なんだか詠唱が妙に長い。そして、魔法陣の色がどんどん変わり、最終的には空間全体がぐるぐると回り始めた。


「うわ、何だこれ!?って、魔法失敗しろよ!」


だが、案の定、リーネの魔法は途中で暴走し、あたり一面に閃光が広がった。


「うっわ、これ絶対失敗だろ…」


「え?や、やっちゃった!?あ、ああっ!」


俺とリーネは光に包まれ、視界が白くなる。ああ、これでまた何か面倒なことになるのか…。でも、どうせまた俺がツッコミ役に決まってるんだろうな。



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