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6 お風呂を求めて

改稿作業が終わりました。

大幅な変更となってしまいましたが、納得のいかないまま進めても質が悪くなるだけと判断しての修正です。

このような拙作ですが、よろしくお願いします。


 広い草原を一人進む。途中、ゴブリンやスライムと遭遇するが、厳選したゴブリンシューターのスキル『隠密』のお陰で前よりも楽にやり過ごせたり、不意打ちしたりで難なく突破。やがて前方に木立が見えてくる。アレが泉の目印かな? 


 私は草をかき分けて近づいていく。木々に囲まれた中心は開けていて、綺麗な泉が水を湛えていた。


「これがエルフの泉……かな?」


 覗き込むと、透き通るような水が張っている。言われた通り、一切の不純物もなさそうだ。もし本当に水底に禊石があるなら、この泉の水は延々と浄化され続けている事になる。つまり、魚の餌になる微生物は死滅、微生物の餌になる微生物も死んでいる。


 禊石の浄化も永続なわけではないので、大量の石が沈んでいるか別の原因があるかの二つだ。とにかく潜ってみない事には分からない。

 私はカバンを置き、外套を脱ぐ。盗難防止のため、草の影にしっかりと隠しておく。人気は無いけど、念のため。


 何度か深呼吸し、水面へ飛び込んだ。ゴーグルを下ろして禊石を探す。

 水の中も信じられないほどに澄み渡っている。なのに魚や他の生き物の姿は見えない。やはり、魔法的な作用で浄化され続けているようだ。


(……アレは)


 ゴーグルが何かを捉える。一抱えほどの石が泉の底にいくつか転がっていた。


――――――――――――――――――――――――――――


【清めの大岩】 レア度:希 分類:素材

強力な浄化作用を持つ岩。永続的な浄化作用を持つ。

これを小さく砕いたものが禊石と呼ばれる。


――――――――――――――――――――――――――――


 原因はこれか。禊石じゃなくて、それの元になる奴らしい。

 私はその一つを掴んで持ち上げる。意外と軽かったのでそのまま陸まで運んでいく。


「っ、ぷはぁ」


 水から上がり、石を置く。

 せっかくだから、このまま水浴びして汚れを落としていこうか。


 泉の水に手足や頭を浸すだけで少し、サッパリした気分になる。実際汚れも落ちているのだが、やはり物足りない。


「それにしても……この身体は慣れないな」


 二の腕をさする。年相応の細さと柔らかさ。最初はまともに見れなかったし、風呂に入りたいのに女の子の身体を見せつけられるというジレンマに本気で悩んだものだ。今は何とか見れるようになったのが救いである。


 一部を除いて、だが。アレはね、女性経験のないオッサンには刺激が強すぎるよ。若返ったのは有難いが、男のままで良かったのになぁ。うっかり触ってしまった時は……いや、思い出すのは止めよう。


 とは言え、これで風呂問題は解決……いや、まだだ。確かにこれなら身体は綺麗になる。でもやっぱり……風呂が欲しい。詳しく言えば、湯船とお湯と石鹸と洗髪剤が欲しい。

 

 だが現状のレシピを調べても使えそうなのはない。ただ清めの大岩と何らかの香料を組み合わせると石鹸が、香料にプラスして精製水を咥えると洗髪剤が生成できるようだ。

 精製水に必要なのは水と火種。水はここで拾っていけばいい。火種も雑貨屋で安く売っている。


 ……香料は何処で手に入れるか。


 これは雑貨屋にもない。

 また相談窓口を頼るか……。




「え、今度は香料ですか?」


 オジサンは驚いた顔を作る。


「はい」

「あの、禊石は手に入ったんですか?」

「そっちはお陰様で。ありがとうございました」


 正しくは原石の清めの大岩だったけど。


「それは何よりですが……香料ですか。これも大きな町で手に入るものですよ。ただ――」

「ただ?」

「高価ですね。人気のものだと三万ラドロンは行くでしょう」


 そ、ん、な、に。

 スライムソードを安全なルートで卸す方が先か?


「ですが、運が良いですねお客さん」

「え?」

「間もなく、商人の隊商がこの村にやって来ます。相手は私の顔見知りなので格安で手に入るものが無いか、交渉してみましょう」

「良いんですか?」

「ええ。困った人に寄り添うのが冒険者ギルドのモットーですから」


 オジサンはニコリと笑った。


「すみません、本当に助かります」


 その言葉に甘える事にする。この人にはいつか恩返しができたら、良いな。

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