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このゲームにはまだ名前がない  作者: 榊巴
第一章:序節 鬼ごっこ
20/24

一章:序説 第二十話 やるせない気持ち

ハァハァハァ


俺は一体....いや僕はなんで!!


クレスが心配だ ああ、心配だ


だけどだけど 父さんに!!

父さんに事情を話せば!!


学園都市から辺境伯邸までの距離は短く、乗馬から急いで向かう。


イリアスには思い出があった。


リミカルドとの稽古も、

父の最低ながらある愛のある言葉も、


本人の前では罵倒しかしないのに、陰口ではどれだけ息子自慢をしていたかを。


確かに愛情はあった。

最低なほどの愛情があった。


だから、だからこそ


リミカルド(・・・・・)も、

父さん(・・・)も、


僕だけは殺さないって思ってた!!


傲慢じゃない!! 自惚れでもない!!


確信だ!! だってだって.....


だって.....んじゃなんで僕を殺さなかったの?


最初から"殺せなばよかったじゃん"


最初から"産ませなければよかったじゃん"


最初かr.....


そう考えることが絡まり、蝕まれ、もうほどけなくなった。


急いで父が仕事しているであろう書斎室へと駆け込む。


バンッとドアを開け、叫ぶ。

「お父さん!! なんで僕を殺そうとした!!

もしそれが本当ならクレスをたすけ...」


違和感があった。

父はただ椅子に座っていた。

父は窓に向け、座っていた。

それは学園都市がある方向だった。


僕は近づく。

忌避も恐怖もいびつさも感じつつ近づく。


そうして向かい合うように顔を合わせると。


首にナイフを刺していた。


「え....」


おもわず腰を地面に打ち付けてしまう。


「え、え、ええ」


イリアスは顔を抑えてしまう。

恐怖で涙と混乱が溢れる。


イリアスの中にも確かに父親を愛していた。

だからこその対面。

だからこその直談判だったはず。


だけど父は死んでいた。

ポトリ、ポトリと垂らしながら。


だが、顔を抑えた手にべったりと液体が付いていた。

それはまだ生暖かった。


イリアスは血の付いた手で父の肩を揺さぶる。


「生きてるよね!? お父さん お父さん!!」


そう何度言っても、そこに答えはなかった。

少し位置がずれたのかガタリとそれ(・・)は落ちた。


父の肌は冷たかった。


「ああ、あゝあゝあゝ嗚呼あ」


――――――――――


ぎいぃと扉が開かれる。

クレスたちが部屋へと入る。


「イリア......す」


ハク

「マスターこれは....」


部屋の隅で座るイリアスに急いで駆け寄るクレス。

「大丈夫か!?」


イリアス

「なぁクレス 俺は..」


イリアスはクレスの肩を掴む。


「俺は()を殺したやつらを殺したい」


「...........」


クレスは押し黙る。


「なぁ 俺はどうしたらいい?」


「」どうしたらあいつら(・・・・)を殺せる!!!


クレス

あいつら(・・・・)とは誰だ?」


イリアスは手にもった血に染まった手記をクレスの前に出す。

「こいつらだ!!」


クレスとハクは一緒にその手記に書かれた内容を読む。


―、

◯◯、1月、20日


ここに新たな記録を残す。

わが息子 イリアスも不器用ながらもリミカルドにしごかれて成長している。

リミカルドも目覚ましい成長があると喜んでいた。

あやつも色々とあるのに、まるで我が事のように毎夜のイリアスの自慢話をしている。


いやうちの息子なんだが?


◯◯、1月、24日


全くあれほど鍛えても、ほどほど息子がモテないことが本当に気がかりである。

黒い髪が原因であろうが、それはあいつ自身が周囲に距離を取っているのが原因だ。

跡取りがいないとロンドール家として、心配である。


◯◯、2月、4日


政略結婚でもと私も嫁探しをしていたが、依然として見つからない。

辺境伯の地位は魅力的であるが、黒髪は難しいという話で終わる。

あの子が、あそこまで心配していた理由はこういうことなのか....

だがあんな最低な態度をしてしまったんだ。

最低な態度を貫いていかないとあの子に失礼だ。


◯◯、2月、10日


最近妙な訪問者が来ることが多い。

素性を明かさないというのは、外交も含めた辺境伯として毅然として断らないといけない。


◯◯、3月、10日


一月程度たったが、その妙な訪問者が毎日のごとく来る。

さすがに息子に見られるのが気がかりなので、今日30刻ほど受け入れようと思う。


◯◯、3月、11日


ここに記録を残す。

妙な訪問者は自身の服装で特定されないように市民の格好をしていた。

見た目は金髪、精悍な顔立ちと落ち着いた声だった。

彼は名乗らずに私がダンタリ騎士団とのつながりを知っているようだった。

依頼をしたいようだが、準備があるためまた後日と言っていた。


どこから仕入れたのか それを突き止めるため、いくらか訪問を受け入れようと考えている。


◯◯、3月、12日


今日は2人で来たようだ。

リミカルドは協定国の依頼により、出払っていることが気がかりだが、手紙を送っても半月ぐらいかかる。

仕方ない。 聞く他ないようだ。


◯◯、3月、13日


全くあの息子がモテない理由に辟易してきた。

ああ、ゆるさない


◯◯、3月、14日


なんだあの言い草は舐めきった態度を取りやがって


◯◯、3月、15日


思い出すたびに憤りが止まらない

あいつは一カ月前に学園へと向かっていったが、あんな奴モテるわけがないだろ


◯◯、3月、16日


あんな奴、産ませるべきじゃなかった

死ねよ 本気で、しね


◯◯、3月、17日


いつか殺してやる 早く帰ってこいって催促してやろうか考えている


18日 ころす 19日 ころす 20日 ころす

21日 ころす 22日 ころす 23日 ころす

25日 ころす 26日 ころす 27日 ころす

28日 ころす 29日 ころす 30日 ころす

31日 ころす  1日 ころす  2日 ころす

3日 ころす 4日 ころす 5日 ころす

6日 ころす 7日 ころす 8日 ころす

9日 ころす 10日 ころす 11日 ころす


◯◯、4月、12日


あゝ あゝ もう....いやだ

確かに俺はイリアスに憤りをもっていたのは確かだった。

もう赦してほしい 赦してくれ

お願いだからゆるしてくれよ 

お願いだから


今日がイリアスが死ぬ日


リミカルドが俺の息子をころす日


リミカルドすまない ほんとうにすまない

お前だってあの子を気に入ってたのに、

盟約によって俺たちの約束のせいでイリアスを殺してしまう。


次は判子を押した俺だ あいつに殺される

だがすまない リミカルド

俺は耐えられない

イリアスは俺のたった1人の息子なんだ


復讐は1人でやってくれ


―、

(つづ)られた日記はここで終わっていた。


――――――――――――――


「そういえば ロンドール伯に判押して貰えたとお聞きしましたが、一体どうやって?」


「ん? そうだね 彼自ら進んで押してもらったよ」


そう笑顔で言った。


「たまたま私が連れていた者はね、貧民街で盗みや強姦繰り返していた者なのだがね。

彼の魔法が有用で連れて行ったんだ。」


「そうですか」と顎をたずさえ、少し考える。

「魔法で説得したのですか?」


「ああ、魔法で説得した。

何やら私の隣人は、あいての本音を100倍にでも増幅させる魔法らしくてね

ロンドール伯の息子への本音を相当に高めたらしい」


「素直に押して貰えるとは思いませんけどね」


「それがやはり神の言う通り。

彼も中々におのが罪を持っていたらしくてね

それはもう複雑な感情があったとか」


「隣人はその怒り(・・)の感情を高めたらしい おもわず笑ってしまったよ

こんな悪魔のような者でも、

泣きながら喜んで判を押すものかとね


ついでに神の言う通り、ダンタリ騎士団が学園到着するまできっかり一月後に解除されると連絡しました。」


彼は笑う。


「ふふお人が悪い 私も人相書きをするのかなり苦労を要しました。」


「君のおかげで()運命(シナリオ)はだいぶ進んだろうね」


「感謝の極みです。」


「して、その隣人は何処へ?」


それを聞かれるとどこか(とぼ)けたように言う。


「え? 死んだよ? 川に身を投げたらしい」


「へぇ 神がそう仰ったのですか?」


「ええ、約束通り 神は隣人の死はあの日(・・・)だと決まっていたようでしたので」


そう笑顔で答える。

少しおかしそうに笑うのこらえながら聞く。


「そのご様子お聞きしても?」


―――


崖沿いにもたれかかる男。

「お、おい助けてくれよ?」


「いやです あなたの命日は今日だと主が仰っていましたので」


それを聞いた男は激昂する。

「ふざけるな!! だれがあの男を唆したと思ってる!! 俺のおかげなんだぞ!

お前は主ではなく、俺に感謝しろ!!

あんたは言った!! 俺は変われると

変えられると!!」


「ですからちゃんと人生を変われましたでしょ?

感謝して、あなたの死に様をしかと見つめているのです。」


狂っているとそう思った男。

だが、


「かかったな!!」


眺めている彼のつま先に触れる。


自らの情欲は(モセンデヴィーヤ)高ぶるばかり(ボシュロムモクトク)

俺を助けろ!!」


へへっと笑う男だが、一切の無表情の相手に驚く。


「なんで!? なんで哀れねぇんだ!?

可哀想だと思わなねぇのか!!??」


それを質問され、答える。


「神に教えてもらったのですが、

遠い遠い海の奥 平面地球から絶海を越えた先にある場所に ヨジジュクゴという言葉にある言葉があります。


『喜怒哀楽』と呼ばれる言葉です。


たった四文字ですが、簡単です。

喜とは 喜び

怒とは 怒り

哀とは 哀しみ

楽とは 楽しみ


と言った人間の感情を伝えたものです。

とは言っても、

4文字で表現するというのは些か神に無礼かと思いますが、しょせん異教徒ですからね 仕方ありません」


震える男は何が言いたいのか分からなかった。


そして彼は笑顔で答える。

「彼らの言葉にあやかるなら、

私はその感情を等しく"もっている"ということです。」


「は?」


男は理解したようだった。


彼の魔法は感情の一部を100倍以上にする魔法である。

感情の一部でも偏れば、人はそれ(・・)に飲まれるが必定。


喜 10% 怒 100% 哀10% 楽 10%


と言った具合。


だがこの男は、

すべての感情を等しく、


喜 100% 怒 100% 哀 100% 楽 100%


魔法で無理やり上げられた感情の一部と同等の出力で"抑えた"ということである。


男は恐怖してしまう。

「ば、ばけもの」


気づけば男は手を離してしまった。


―――――


「と言った具合でね 困りましたよほんと」


そう笑う。


「しかし ちゃんと練習しておいてよかったです これも神の試練あってこそ」


天恵(てんけい)ですね」


「ええ しかし疲れました あれほど感情を出すというのも中々酷なものです

もう二度とやりたくありません」


そうそうと忘れていたことを聞き出す。


「そういえば ダンタリ騎士団のお一人はどうなったのですか? 逃げたとお聞きしましたが」


「ええ、無事に殺しました。」


それを聞き笑う。

「なるほど それは早かったですね」



――、


クラカル

「ふぅ ここまで逃げれば....」


足に痛みが生じる。

右足を見ると、抉られていた。


その勢いで倒れてしまうクラカル。


「なんだこれは!?」


「おや わかりませんか?」

すっとどこからか声が聞こえる。


「お前は!? 誰だ!!」


「お初にお目にかかります 卑しきクラカル」


「」誰だと言ってんだよ!!


「ふむふむ主の仰ったとおり、主のもとへ報告するのですね」


いっこうに話を聞かない様子だった。


「困りますね あなたが生き残ると運命(シナリオ)に影響が出ます。」


「は? シナリオ?」


「ええ、あなたの主は死んだのですから

復讐に駆られても、困りますので」


「は?え? おまえどうやって いや殺しても判は押せないはず。」


動揺するクラカル。


「ああ、知っています。 魔法がかけられているんですよね? ええ、ですから目には目をです」


「!? ロンドールを ロンドールを操ったのか!? あのガキを殺せと命じたのか!」


「いえご親切に殺したいと仰っていましたので、目的の一致です」


「ふざけるな あのガキ育てるのにロンドールはどんだけの心労をかさn」


「でもあなたたちは 殺そうとしたんですよね?」


クラカルは閉口する。


「どれだけ言い繕っても、魔法で操られてないあなたはイリアスくんを苦も無く殺そうとした それって 一体どれだけの自分勝手なのですか?」


そうほくそ笑む。


クラカルは俯く。

「かってに言ってろ」


「おや さきほどなんと?」


「かってに言ってろっつってんだよ!!

このクズが....」


そうダガーを投げようとした腕は消えていた。


障壁(エルリマ)


そう近づく男。


「これで私の魔法です。 クラカル あなたたちに魔法を教えたのは私です。」


一体何が起こっているのか分からずに居たクラカル。


それに気付く男。


「ふむ やっぱり見えないのですね

見える障壁(タルエルリマ)


そういうと、

目の前が光りだす。

紋様が描かれた円が球体を作り出すように回りだす。

そしてその中に、腕と血があった。

その血溜まりは一滴もこぼれず、宙に浮いていた。


クラカルは黙った。


「そもそも今回の目的はあなたたちの死亡とロンドールの継承です。

そのためには、塵は塵に、灰は灰に、なってもらわねば困ります。

まぁですが天命はここで終わりだったようですね クラカル」


「あんたらはここまでがお見通しなのか?」


「ええ、そうです」


「その神とは誰だ!」


「知らなくていいですよ」


そう言うと、音が鳴った。

まるでそれは鐘の音のようだった。


―、


「彼らは死ぬべくして死んだのです。」


「塵は塵に、灰は灰に ダンタリ騎士団、

エルテ帝国、アルテメリア学園

あんな血に染まったモノ 人々にとっては害悪です」


「そうですね 醜く、救いようもない代物ですね」


「ええ、だからこそイリアス・ロンドールを殺すべきだったのです。」


「ですがイリアスは生き残ってしまった。

運命(シナリオ)に影響が出るのでは?」


「いえ 今回の目的は、ロンドールの次期当主が当主になること。

それが運命(シナリオ)へときっかけになるのです。」


「では今までが運命(シナリオ)にすらなってなかったと?」


そう何かをめくる。


「神が仰るとおりであるならば、そうですね」


「なるほど ようやく軌道にのったということなのですね」


「ええ こたびの事件で出る影響に我々も乗っかるべきだと神はおっしゃています。」


「神がそう仰せになるのでしたら、そのご意思に従いましょう。」


そう言う2人はどこか歓喜の色があった。


―――――――――――――――


思わずクレスもハクも震える口元を抑えた。

イリアスは投げかける。


「俺はどうしたらいい!!

どうしたら!! どうしたら.....」


そう今でもどうしようもない感情をただただ訴えるほかがなかったイリアス。


「俺は 俺は どうしようもなく"愛されていたんだ"

俺は....」


うなだれるイリアス。

沈黙が通る。


クレスはイリアスの肩を掴み、しっかりと顔を合わせる。

「よしっ 俺を殴れ!! イリアス」


ハク、イリアス

「「ハァ!?」」


クレス

「」いいから


イリアス

「おまえふざけてるのか!? こんな時に、」


クレス

「んじゃおまえのどうしようもないその感情どこで()さを晴らすんだよ」


イリアスはそれを言われ、目を逸らす。

「それは....父さんを殺したやつを....」


クレスは冷たく言う。

「それで晴れるのか?」


イリアス

「...........」


クレス

「それで晴れるのかって聞いてる」


イリアス

「しらない わかんない 考えたくない!!」


そう自暴自棄になるイリアス。


クレス

「それじゃ経験者から言う。

一切晴れねぇぞ 一切もだ

永遠に心の中にモヤだけが残り続ける。」


イリアスはそれを言われ、クレスを睨めつける。


「なら!! どう」


クレス

「だから俺を殴れ イリアス 今やりきれない想いを俺にぶつけるんだ!!」


そう胸に添えるクレス。


動揺するイリアス

「なんで 関係ねぇ友達を殴らねぇといけねぇ なんで助けてくれた友達を...」


クレス

「友達だからだ おまえを友達だと思って、言ってる。」


握り拳が震えるイリアス

「殴れねぇよ....」


クレス

「なら俺が殴る」


バンっと問答無用だった。

イリアスの感情は溜まりにたまった想いの堪忍袋(かんにんぶくろ)の尾がキレた。


イリアス

「てめぇ!!??」


そうクレスの顔面を殴る。

クレスの顔は無表情だったが、殴ってしまったことに震えが来る。


イリアス

「ハッ!? す、すまない くれ...」


クレスは寂しそうな目で言う。

「"ほんのすこし"スッキリしたか?」


イリアスはそう言われ、自身の拳を見る。

なんとなく なんとなくだが意識が明瞭に感じてしまった。


クレス

「これは"俺"ができなかったことだ」


その意味を知っているハクはただ心配そうに感じた。

「マスター」


クレスは胸に手を添える。

「イリアス おまえの想いを俺にぶつけろ

その怒りも すべてだ」


イリアスはただ無言でクレスを殴ると、イリアスはクレスに殴られた。

え!?という感じに頬を擦るイリアス。


「この流れ、殴られ続ける感じじゃ!?」


クレス

「誰がサンドバックになるつった(言った)?」


理解ができないイリアス

「ええぇ」


「はぁなんかもう台無しだ」


クレスは笑う。

「いいんだよ 復讐なんて 自分が幸せに生きてこそ、復讐なんだよ」


イリアス

「どういう意味だよ?」


笑うクレス

「親孝行みたいなもんだ

ただ復讐して死んで、家族に土産話なしはツライだろ?

なら楽しく復讐して、家族に爽快感ある土産話持っていったらいいってことだよ」


逡巡(しゅんじゅん)するイリアス

「爽快感.....」


クレス

「ああ、"俺にはできなかったこと"だ

だからこそ 俺はお前の復讐を否定しない


だけど()の憂さはらさなきゃ

一生その憂さは後ろ髪引いてくる


それは爽快感のある土産話にはできないだろ?」


イリアスはクレスの言いたいことがなんとなく伝わった。

「ああ、そうだな ちくしょう」


泣きそうな顔になるイリアス。


ハクはこの流れでなんとなく聞いてしまった。

「あの...私も参加するべきですか?」


クレス

「ハクは見てて、 気持ちの変わりようは復讐の味(・・・・)知ってる者同士じゃないと難しいから」


ハク

「わかりました 見守ります」


そうして向き合う2人。

心身ともに満身創痍も(はなは)だしい2人だが、構える2人。


そして殴りあう。

互いの想いをぶつけるように。

はじめにイリアスから殴り始めた。


イリアス

「俺はただ父さんに認めてほしかった」


クレス

「俺もだ 母さんに認めてほしかったんだ

親父が居れば母さんをとめれたのかも知れないのに」


イリアス

「ほんとうに舐めてるよな あいつら

自分勝手に愛情振りまいて」


クレス

「わかるくっそわかる 私愛してますよ何か? ってとぼけた顔をしてるのがなおさら殴りたくなる」


イリアス

「ああ、そうだな ほんとうにそうだ

聞けばきくほどイライラしてくる」


クレス

「てか俺ら2日でこんな関係だぞ!!

意味わかんねぇだよ」


イリアス

「それはこっちのセリフだ クレス

俺の心見透かした気持ちになりやがって!!」


クレス

「あんなわかりやすい行動してたら誰だってわかるわ」


イリアス

「」そんなもんお前の才能だよ 誰も持ってない妬むべき才能だ!!


クレス

「そういうお前だって 社交辞令ばっかうまくて本気で見ててイラっとくる」


イリアス

「」ああ、言ってはならないこと言った!!


クレス

「ああ? 何がだよ」


イリアス

「俺 そこすっげぇ気にしてんだよ

だって社交術うまくなっても女の子にモテないんだから!!」


クレス

「お前のキレるポイントそこかよ!

女の子なんてモテる必要ないだろ!!」


イリアス

「」そういうこと言うやつが一番モテんだよ

なめんな モテない男の経験則を!!


そう互いの想いを、"早すぎる"打ち解けを


気付くと夕方になっていた。

この状況に気付いた執事たちが何事かと周囲に集まっていた。

後ろで領主の死亡の隣で、イリアスとクレスの喧嘩でてんやわんや。


ハクは状況が混乱している最中でまだしている2人に少しイラつきを覚えていた。


イリアスとクレスはその状況でなんだか面白おかしくなってしまった。


イリアスはクレスに抱きつく。

「なぁクレス 俺はやっぱつれぇよ

父さんが死んで、やるせない気持ちでいっぱいなんだ なぁなぁなぁ!!」


そう瞳をうるわせる。


クレス

「そうか.....」


ぼんっとクレスの腹を殴る。


イリアス

「くそくそくそっ」


ぼんぼんぼんっと殴るとクレスはうっと言う。

イリアスは無言で殴り続ける。


クレス

「ちょっ....ちょうっ うっ ちょっと待てイリアス」


イリアスは拳を止める。

「なんだよ?」


クレス

「みぞ みぞに入ってるから 死んじゃう死んじゃう」


イリアス

「はぁ? 人を殴れって言って、次はみぞうち禁止?」


なんだかもう鼻で笑ってしまうイリアス。


「」はぁ....なんもかんも全部台無しだよw


クレスも笑う。

「こんなもん 全部ぶっ壊していけばいんだよ」


イリアス

「こんなバカ話 英雄譚(えいゆうたん)にも乗らねぇよ」


クレス

「英雄譚になるほど ひどいもんにしよう

大概 こういうひどいことをするやつは大層なもんにしたがるんだよ」


イリアス

「なんだそれ? 何事も大事にしたがる人みたいなもんか?」


クレス

「そうそう それ あえて何事もしょうもなくしたら、そういう相手はブチギレるだろ?」


イリアスは顎を擦る。

「まぁ確かに

俺だってドラゴン退治して、実はトカゲ倒しただけでしたーって格下げされたらイヤだしな」


ハクは一瞬ピクリと反応する。


クレス

「だから 復讐すらしょうもなくしてやれ

それが俺たちなりの復讐だと思う」


イリアスは指を差す。

「いいね そうしよう

しょうもない復讐にしよう そうしたら父さんたちにいい土産話になるかも」


クレスは笑う。

「だろ?」


ハクは手を上げる。

「ならしょうもないことは終わりにしましょう? 私 ドラゴンなんで

ドラゴン退治はしょうもなくないですよ

ではドラゴン退治をしましょう」


クレス、イリアス

「「え?」」


バンッとイリアスを殴ると、イリアスは気絶した。


クレス

「へ?」


ふぅうとコキリこきりと腕を鳴らすハク。


「時間かけすぎです。 人に迷惑かけすぎです。 あと私 トカゲじゃありません

マスターでも許しません お覚悟を」


クレスは逃げようとする。

「俺は何もしてない! あと絶対トカゲにブチギレてるだけだろー!!」


屋敷から轟音が響いた。


―――――――――――――――――


がちゃりと扉が開き、ソファへと横たわる。

「だはーもうイヤじゃイヤじゃ」


投げた服を拾い、掛けたりする少女。

「またメルトナーさまが老害になりました」


むぅっと目を細めるメルトナー。

「仕方ないであろう アディス王に危うく殺されるところだったんだからな

駄々もこねよう」


「わたしが言いたいのは"今日も"なんですけどね それにしたって他国の王を恐れるものなのですか?」


そうフードを外す少女。

それは美しい水色の髪に優しい青の瞳の少女。


メルトナー

「ダダン2世は別モノだ

あの王は唯我独尊だ 嫁30人、息子100人

娘が1人だ そして最期の子供があの子(・・・)になる。


1人娘に怪我一つ負ってみろ


各国間の協定無視しても、学園もエルテもエーゲもすべてを蹂躙せしめようと考える男だ

恐いと考えて、仕方ないだろう」


少女はどこかそう思えなかった様子だった。

「お優しいそうに見えますが、少々恐い発言も確かですけど」


メルトナー

「"冗談"も言えるからな なおさら悪い

あやつ 下手な言い方したら、その場で俺もお前も殺してたぞ」


思い出す少々。

「ああ、だから何も喋るなと仰ったのですね」


メルトナー

「そうだ」


メルトナーは聞く。

「してどうであった? クレスというガキを」


少女は唇に指をつける。

「とてもいい方だと思います。

天才なわたしも面白そうだなと」


メルトナー

「来年からお前の先輩になるガキだ

よく関わっておけ あやつは魔法(・・)が扱えるからな」


少し驚く少女。

「え、先生 あの人が魔法を扱えるともうお分かりで?」


メルトナーは指で下まぶたを開く。

「"一目"でな!」


少女はお辞儀する。

「さすがは先生 では楽しみにしてます

来年を....」


―――――――、


私は走る。必ずや、あのメリバエンドを回避しようと決意した。

私には思惑は分からぬ。

私はただの村人Aだ。

ただのうのうと推し活のため、脳内でしっかり妄想してきた夢女だ。

けれどもメリバエンドに関しては、人一倍に敏感であった。


いやここで【走れメロス】風に飾っても意味ないから、ほんとうに。


濁流の川を越えられないから、太陽より早く走れないからね?


とは言っても、この学園に簡易裁判所があるのは知っている。

元々この学園は、様々な問題というかは国の文化や思想が大事になりやすい。

派閥を作っているとなおさらだ。

だから簡易的だけど、超法規的な学園裁判所がある。


そこで色々解決するってお話。

だけど、

様々な理由が発覚してクレス・ロンドールを追放するというのがお話の名目(ストーリー)

だけど今回の事件はそもそも"物語が始まっていない"。


なら"彼が追放される理由がない"。

それを止めないといけない!!


けどどうやって?


なんで私は...

そう悩んでいると、誰かにぶつかった。


「おっと大丈夫かい?」


そう言う緑の肩がけ布をつけた彼。


ミエラはその位に驚き、すみませんと謝った。

肩がけ布には位がある。


教皇  赤 枢機卿 紫 

大司教 青 司教  黄 

司祭  茶 助祭  緑 

助祭候補 白 ←私はここ。


そして彼は緑の肩がけ布をかけているため、

自分より一つ位の高い助祭。


「」いえいえ、大丈夫ですよ....


そうすると男はミエラの布を見る。


「君はこの学園で学んでいるのかい?」


ミエラ

「え、あはい ここで学んでいます。」


そう確認する男。

「そうでしたか 失礼ですがお名前は?」


私は答える。

「ミ、ミエラと言います。」


名を聞いた男は顎をさすり、なにかを考えていたようだった。

「君が.....やはり知らないな いえ、助祭候補者として女性が入ったと聞き及んでいたが、まさか君だとは思わなくてね」


「い、いえ 私としては偶然助祭候補者として選んでいただいた次第でして」


男は少し微笑む。

「そんなに恐縮しなくていいよ 私は助祭の身 強い役職ってわけではないんだ」


「そう...だとは言われましても」


少し手を出す。


「私はエデリ エデリ・ベエル・カナンだ

今後ともよろしく。」


ミエラは握手だとわかり、手を握る。

「はい ミエラと言います よろしくお願いします」


って忘れてる。

思わず手を離し、慌てる様子のミエラにエデリは質問する。

「どうしたのですか?」


「ご、ごめんなさい エデリ様

私急用を思い出して、それで急いでて

そのぶつかってしまってすみません!!」


「いいで......すよ」


ミエラはそそくさとその場から去るように行ってしまう。

(けどエデリってどこかで...)


エデリはミエラの背中を見つめていた。


―、

結局アルテメリア学園(あのゲーム)やり込んで思ったことは、若干7-8歳の子供があんな恋愛モノやるのはバカだろということだった。


特にダンタリ騎士団による襲撃とラスト。

あそこはトップでクソゲー。

15歳でもゲーム手放すっつの。


難しかったのはゲームシステムのせいなんだけど、ハッピーエンドないか画策しまくった結果っていうのもあるんだけど、....


ただ登場人物たちの笑顔が素敵だった。

綺麗だった。 だから だからこそ

"助けたい"と思った。


それが私のやり込んだ理由(・・・・・・・)


おじさんに言いつけるんだ。

このゲーム、面白かったのに1秒たりとも触れなかったね!って。

だけどこの子たちの世界に来れて、彼女たち全員救えた!!って言いたい。


なんとしても"自慢"したい。


そう考えてる間に簡易裁判所に着くが、誰も居なかった。


「だれも....居ないの?」


少し落胆する。

もう裁判自体はもう終わっていたことを考慮していなかった。


どうしたらよかったのか...


後ろから声が聞こえる。

「ミエラ」


振り向くと、

グラディウスとアルトとトリステルが居た。


「どうしてみんながここに?」


グラディウス

「あんなことがあったあとだ」


アルト

「そうだね そんな傷だらけのミエラを心配するのもわけないって」


トリステル

「ミエラはここで何をしに?」


3人は周囲を見る。

学園裁判所に居ることがわかった。


グラディウス

(そうか.....)

「クレスという奴が気になったのか?」


ミエラ

「はい 一体どうなったかと....」


アルト

「クレスの件は次回へと持っていったらしいよ」


とそう言われ、驚くミエラ。

「え? そうなのですか?」


アルト

「うん 賢者さまが弾劾(だんがい)してね」


ミエラはどこか少し安心する。

どうして安心したのかは分からなかった。


グラディウス

「今回の襲撃で怪我人は俺たち含め6人だ

死亡者は襲ってきたダンタリ騎士団の4人のみ ミエラ 君の判断が俺たちを助けたんだ」


そう言われたミエラはどうしたかったのかを確信した。


私は"箱推し"なんだ。

できるなら、みんなを助けたい。

そして悪役だったクレスも....


彼も悲惨な運命によって、狂わされた人物。


ミエラは自信をつけるため、頬をたたく。


なら.....


ミエラ

(うん 助けよう みんな ハッピーエンドにしか私するつもりないから!!)


そう意気込み、3人のもとへ歩いていく。


――――――――――――――――

その学園は一カ月の休学となった。

表向きは、

実験的な休校による制度改定を提示しているが学園内での内部調査が本命だろうと考える。


イリアス・マルクグラーフ・ロンドールはロンドール辺境伯としての地位を引き継ぐ形となり、領地での再編成が組み込まれていた。


その支援として、俺とハクが入り、その補佐をした。


まだ完全な継承は、辺境伯授与式(じゅよしき)を経ての引き継ぎとなる。


その一カ月と考えたら、長いようにも思えるし、準備期間が短いとも思える。


だがやらないといけないことだらけなのか確かだ。


依然として自分の所に、手紙での裁判の通告は来なかった。

これはお流れという形で見たほうがいいかもしれないなと思いつつ、書類仕事をしていた。


イリアス

「」お、おい クレス


クレス

「どうした?」


イリアス

「お前に訪問者だぞ?」


クレス

「そんな連絡来てないんだけど」


イリアス

「お前何をやらかしたんだ?」


イリアスは心配そうにしていた?。

その言い方に疑問を感じたクレス。


「さすがに昨日今日明日で連続で起これば、疲れると思うのだが。」


イリアス

「とりあえず応接間に案内したからすぐに会いに行け」


何か含みのあるような言い方に疑問を感じるが、そのまま応接間へと向かうクレス。


がりゃりと扉を開くクレス。


気付くと抱きつかれていた。

その顔に見覚えがあった。


美しい金髪に、青い瞳。


彼女は屈託のない笑顔で言う。


「お久しぶりですわ クレス様

わたくし 

エルテ帝国第二皇女 フレデリカ・エルテ

貴方様をお迎えにあがりました!!」


2人は3年ぶりに邂逅(かいこう)した。

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