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ギルドの狂犬

久しぶりに更新しました

今回は会話が多いし、場面変化が多いよ。頑張って読みやすくはした

「そんな茶番はいいから、早く村長のとこに戻るわよ」



「悪い悪い。戻るか」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「おーい、村長。戻ったぞ」



「おお、これは冒険者様。よく戻って参られました。バーニングドラゴンと、遭遇されたのでしょう」



「村長さんバーニングドラゴンって、よく気付きましたね」



「この村付近には、バーニングドラゴンがよく出没するのですよ。それこそ、声で皆が瞬時に理解できるくらいには」



 そんな危険な場所で、なんでずっと村を残してるんだ。いい加減、付近の街に住めばいいのに。



「そんな危険な場所で、よく生活してるわね。他の所には移住しないのかしら」



 あ、ちゃんと聞くんだ。思ったよりストレートだな。



「私たちは、文化や歴史、場所を大事にしております。ここは昔から代々残っている村。この村で育んできた独自の文化や歴史を今更捨てることなど出来ませぬ。

とはいえ、やはりモンスターが原因でいつ命を落としてもおかしくはないでしょう。ですから、村を出て行きたいなら自由に出て行って構わないとしております」



「では、この村に残っているのは、みんな村を出て行きたくない人達なんですね」



「そういうことです。ですから、この村を大事にする住民がいる限りは、我々はここに住み続けます」



 命よりも村なんてな。俺には理解できない話だが、本人達なりの気持ちはあるんだろうな。理解できないけど。



「それは置いといて。バーニングドラゴンは討伐したし、周りにいた危険そうなモンスターも大体討伐したから、もう前ほど危険じゃないと思うわ」



「それは、ありがとうございます。冒険者様」



「それじゃあ、私たちは帰るわね。くれぐれもモンスターには気をつけて」



 え、帰るの? てっきりここの村で1日過ごして、守り続けるものだと思ってたぞ。


「おう、わかった」



「え? あ••••••あぁ、はい。村長さん、さようなら」



 それにしても、村の人たちと全然交流出来なかったなあ。本当にただモンスターの討伐しただけだったな。



「ええ。冒険者様のご武運を、お祈りしております」



 結局、あの爺さんは危険な場所に住んでるだけの優しい人だったな。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「依頼、終わったわよ」



「お疲れ様でした。素材の確認を致します、お持ちでしょうか?」



 あれ、俺ら素材を拾ってきたっけ。エマがダウンしたから素材を取らずにそのまま帰ってきた気がする。


「なあ、素材、拾ってきた?」



「••••••」



「一応、私が1人で討伐したショックバイパーの素材なら」



 コトン



「はい、預かりますね。ショックバイパー2体分の素材ですね」



 2体? そんなに少なかったのあそこ。まあ、良いか。任務成功分の報酬が入るはず。



「これ、大した額にはならないわね。任務は成功したからその分の報酬はあるけど」



「実力はありますから、私たちならこれくらいの額いつでも稼げますよ」



 あ、それも確かに。俺ら強いから普通にモンスター討伐できるからいつでも稼げるじゃん。




「こちら、報酬と素材分のお金ですね」



「それとそうね、もう解散するわよ。魔法かけたとはいえ、エマは気絶してたんだから、大事を取って今日は終わりよ」



「はい、それでは。お疲れ様でした」



「おう、じゃあ俺も帰る」



 よし、帰るか。今日はもう、予定もないしな。



 ガチャッ



「っ!?」



 ブン!!



「おいおい、ふざけんなお前。昨日止められたばっかりだろ。なあ、クロイス?」



「うるせえ、俺の腹の虫が治ってないんだ。今のは偶然避けれたらしいが、今度はぶっ殺す!」



 本当にこいつは変わんねえな。そもそもこんなとこで剣を振り回すもんじゃねえよ。仮にもギルドの目の前だぞ。


「それにしても。ハハッ。シェラが居なくなった途端攻撃するなんて、卑怯だな。D級の冒険者を殺すのにそんなに必死か?」



「何を笑ってやがる。相変わらず、ふざけた野郎だ。今すぐその口を塞いでやるよ!」



 ブンッ!! パシュッ



 痛え。少し腕が切れたじゃねえか。そもそもそれ、モンスター用の剣だろ、人間に振り回すもんじゃねえ。


「おいおい、切れたじゃないの。どう責任取ってくれるんだ?」



「そんなの関係ねえよ!」



 スッ••••••ザシュッ



「あー、いってえな。クソが、調子に乗んなよお前」



「2度も切られたやつが何を言ってる。上手く急所は外したらしいが、次で仕留めてやる」



 くっそ、傷は浅い。急所はなんとか避けたが、あのスピードは面倒だな。何で人間と殺し合いになるかな。



「終わりだぁ!!」



 ただ、こいつは真っ直ぐ突っ込んでスピードでゴリ押し出るだけだ。なんとかなる。


「舐めんな!?」


 こいつ、攻撃のタイミングを一瞬ずらしやがった。クソが。



「そう簡単には止めれねえよな!!」



 ズシャッ



「あー、いって。2回も腹を切られるとは思ってなかったよ。ただ、今ので分かった。お前は珍しく、本気でやってやるよ」


 割と深い傷を受けちまったな。俺の身体能力(ステータス)が魔人で良かったぜ。普通なら死にかけてもおかしくねえからな。



「そう強がるな。今のでやれないのは想定外だが、どうせ死にかけなんだ。次で終わりだろ」



 俺は魔人みたいなもんだからね。残念だけど、死にかけじゃないんだ。ただ、流石に俺でもアレを喰らい続けるのは避けたい。次でやってやるか。



 タッ!



「遅いんだよ雑魚が。A級程度が俺に勝てる訳ないだろ」



 グサッ!



「グ••••••うぅ、何故だ、お前はD級のはず。何故俺にこんな傷を!」



 ふう、ちゃんと急所に刺さったな。と言っても腹だからそう簡単には死なないだろうけど、戦闘不能にはなったな。


「そうやってランクで判断してる時点でお前はまだまだなんだよ。ま、俺にこんなに傷を与えた珍しい人間はあんまり居ないからね、強いのは認めるよ。俺には勝てないけどね」


 ま、俺は致命傷じゃないし、こんな傷ならすぐ治る。帰るか。


「それじゃあな。俺は帰るよ。死なないと良いな」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ザワザワ



 ん? なんか俺がギルドに来た途端ざわついたんだけど。昨日ギルド前で、あんなにやったから目立っちゃったか



「ちょっと、セイン様! 昨日、何をしたんですか。噂になってますよ」



 やっぱり噂になってたかあ。あんな事になったらそりゃそうなるよな。


「何って、クロイスに襲われたから、しかも後ろから不意打ちだぜ? だから、返り討ちにしたんだ」



「いえ、それは分かりますよ。クロイスの性格とセイン様の性格を考えれば、どちらが悪いかは一目瞭然でしょう。

ですが、問題はそこじゃないんです」



 え、何か他ニ問題あったっけ。んー、思い浮かばない。



「えっとですね、クロイスが死んだんですよ。セイン様に受けた傷が原因で」



 は? そもそもあの時、周りに人がいたはずだ。確かに俺はそのまま帰ったが、あんなに人が居れば、回復魔法で治療できるはずだ。何でそのまま死んでんだあいつ。


「確かに、深い傷で致命傷だったけど、他に人がいたし、助けられ••••••そうか。クロイスのこと、誰も助けなかったんだな」



「ど、どういう事ですか?」



「俺が致命傷になる傷を与えたのは間違いないが、あそこはギルドの前。そして、ギルドには冒険者の治療が出来るように、回復魔法を使える人が常にいるはず。ギルドの前だから当然人も多い。これで死ぬ方が不自然じゃないか?」



「なるほど。確かに冒険者ギルドの前なら、回復魔法が使える人が居てもおかしくない

それに、回復魔法のおかげで、武器での致死率はだいぶ低いです。ほとんどの死因が魔法かモンスターとの戦闘が原因。これは、おかしいですね」



「ちょっとセイン」



「よう、シェラ」



「ようじゃないわよ全く、問題を起こすなって言ったばかりでしょ。ギルド長に呼ばれてるわよ。行きましょう」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 コンコン



「入りなさい」



 ガチャ



「失礼するわ」



 ほお、ギルド長初めて見たけど、普通に青年なんだな端正な顔立ちで青髪とか特徴的すぎないか。


「それで、俺は何で呼ばれたんだ?」



「貴様! D級の分際でギルド長にそのような口の利き方を!!」



 あー、面倒臭いやつだな。副ギルド長ってやつ? No.2が出しゃばらないで欲しいね。


「俺はギルド長に聞いてんだ、それともなんだ? 冒険者に礼儀が必要だって? だとしたら、勘違い甚だしいね」



「き、貴様!!」



「ちょっ、セイン様!?」



「フッ、セインらしいわね」



「お前は関係ないからな、引っ込んでてくれ。No.2如きが出しゃばるなよ」


 俺たち冒険者に礼儀など必要ない。当然だ、礼儀は誰も求めてないからな。求めてないものを誰もしない。当然のことだ。



「そうだね、確かに君の言うとおりだ。面白いじゃないか、副ギルド長、静かにね?」



「••••••!!」



「さあ、話に戻ろうか。君を呼んだ理由は分かってるだろう? クロイス殺害の件だよ」



 やっぱりクロイスのことか。何だ、俺は今からお叱りとか、処罰とかでも受けるのかね。


「やっぱりその事か。それで、冒険者を殺害したから処罰とか受ける的なアレか?」



「処罰についてはまだ決まってないんだ。だから君の話を聞きたい」



「俺の話で良いのかな、俺は仮にも犯人だからな、いくらでも嘘はつける」



「大丈夫さ、幸い目撃者も多いからね、ある程度の証言は既に出てるんだ。あ、それと、僕はセイン君と話をしたいからね、君たち3人は部屋から出てくれないか?」



「わかったわ。行きましょうエマ」



 ガチャ



「そうか、それで俺の話が聞きたいんだっけか。なんでも聞いてくれ」


 まあ、嘘をついても証言でバレるからな、嘘をつくメリットはひとつもない。正直に話そう。



「じゃあ1つ目。君がクロイスを殺した理由は?」



「クロイスが後ろから不意打ちをして、切り掛かってきたからな。ただ自分の身を守っただけだな」



「これは合ってるね。2つ目、彼はだいぶ深い傷を負って致命傷になってる。彼を殺す気はあったの?」



「ないね。即死じゃないし、そもそもあんなに注目される場所、いくらでも助けが入ると踏んでたからな。死んだと聞いて驚いたよ」



「そうかい。嘘をついてはなさそうだね。質問は以上だ。君は、不問で良いよ。問題はなしだ」



 おいおい、追い出されなくてもある程度の処罰があると思ってたんだが、不問かよ。



「驚いてるね。なんで処罰がないかって? 簡単だね。君は身を守っただけ、彼は加害者だ。クロイスは他にも色々、他の冒険者に対して問題を起こしているからね、実力は間違い無いけど、我々としても彼の行動には手を焼いてたんだ」



「そうか、言葉を選ばずに言うと、都合が良かったって事か?」



「そういうこと、彼は問題を起こしすぎた。我々としても嬉しい。というと少し語弊があるが、問題が減ると思えば良い事だね。それに、クロイスを失っても、クロイス以上に強い張本人がギルドにいるからね、問題はないさ。そういう色んな点を踏まえて、不問だよ」



「そうかい。じゃあ帰るよ」



「ああ、じゃあ次は問題を起こさないでね。気をつけて帰るんだよ」



「さあ、約束はできないな」



「ハハッ。その時はまたよろしく」



 ガチャ

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