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村の依頼

戦闘シーンなし

 ドスン!



 エマ、思ったより強くねえか。B級モンスターを一方的に倒したな。流石に俺ほど圧倒的に倒した訳ではないけど、普通に強かったな。十分やれそうだな。



「うん、思ったより強かったわね。もう少し苦戦すると思ってたけど、圧倒的じゃない」



 お、シェラも同じこと思ってたか。


「そうだな、普通に強い。B級冒険者ってだけはあるな」



「いや、ジャイアントボアなんて普通のB級でも苦戦する人が多いわよ。彼女、B級の中でも強い部類だと思う」



「ありがとうございます」



 ジャイアントボアってなんだ。俺初めて聞いたから分からん。



「また分からないって顔してるわね。ジャイアントボアっていうのは、まあそのままの名前の通りイノシシのモンスター。巨体の割に速くて、突進や牙の攻撃は当たるとかなり深手になるわ」



「そんな危険なモンスターだったのか。てっきりもう少し弱いのかと」



「ジャイアントボアはB級モンスターの中では弱い方だとは思います。弱いと言っても、やはりB級なので普通の冒険者だと瞬殺されますけど」



「なあ、あのポイズンアントってやつは、C級の中で、どれくらいの強さなんだ?」



「強い方だと思います。C級以下のモンスターはまずポイズンアントには勝てないと思います」



「C級とB級、例えばポイズンアントとジャイアントボアなら、どれくらい強さに差があるんだ?」



「どうでしょう。シェラ様の方が知ってると思います。実践経験が私よりありますから」



「そうね、多分、ポイズンアントは瞬殺されるんじゃないかしら。仮に毒を当てたとしても、ジャイアントボアには少しダメージが通る程度で、重症にならないと思うわ」



 C級とB級には大きな差があるらしい。C級最強クラスのモンスターが、B級最弱クラスのモンスターに瞬殺か。C級最強とB級最弱。これだけ見れば五分五分な感じはするけど、実際は超えられない壁があるんだな。


「じゃあキングベアとジャイアントボアだと?」



「キングベアはB級最強クラスのモンスターだし、やっぱりまともなダメージも与えられるずに、ジャイアントボアが負けると思うわ」



 この話を聞いて実感したな。俺、やっぱり強いらしい。キングベアを瞬殺するって、割と凄いことなのか。



「だから、セインはかなり強いわ。キングベアを瞬殺したんだもの」



「え!? あのキングベアを? 強いとは思ってましたけど、想像以上ですね」



「私も驚いたわ。だって勝てないと思ってたし、勝つにしてももう少し苦戦するかと思ったら、本当に一瞬で終わらせちゃうもの」



「それが、シェラ様がセイン様と組んでいる理由ですか?」



「そうね。私は冒険者を何年もしてるから、1人でキングベアを討伐する人はたくさん見たわ。でも、セインほど圧倒的に、一方的だったのは見たことがなかった。それこそ、私より強いって感じたわ」



 お、こんなに評価してくれるなんて嬉しい限りだね。そういえば俺、シェラがS級の中でどれくらいの位置か知らなかったな。


「シェラって、S級だとどれくらいの強さなんだ?」



「私は、そうね。全ギルドのS級8人の内、5番目とかじゃないかしら? 私はこの都市のギルドなら最強だけど、全ギルドで見ると、そこまで強くはないわ」



「シェラでも5番目の位置かよ」



「どう? 驚いたかしら」



「そうだね。初めてシェラの戦闘を見た時、他のやつじゃ感じたことないくらい、圧倒的な強さを感じた。それも1番弱い魔法でだ。そんなシェラより強いやつが4人。この世界は、バケモンが多いらしい」



「あなたが言わないでください。あなたも十分バケモノです。それこそ、シェラ様を驚愕させ、自分より強いと言わせるほどに」



 それはそうなんだが、もはやこの領域になると俺ですら勝てるか分からないやつだ。


「まあ、そうだな。あいにく、他のやつは俺が足を引っ張ってる、不釣り合いの雑魚冒険者だと思ってるらしいがな」



「そんな奴らは見る目がない。それで良いじゃない。いちいち周りの評価を気にしてたら、メンタルがもたないわよ」



「それもそうだな。帰るか。一応依頼も終わって、エマの実力も見れたんだ」



「そうね。帰りましょうか」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ジャイアントボアの討伐、お疲れ様でした。シェラ様、セイン様、アメリア様。御三方のパーティに依頼が届いております。承諾か拒否かをお決めください」



 依頼? この前キースのやつ受けたばっかりだよな。また頼むって言ってたし、キースか?


「俺たちに依頼ってまたキースか?」



「いえ、依頼人はファルカオ村の村長さんですね。村にモンスターが出没するようになったから、警護とそれに伴うモンスター討伐をして欲しいとの事です」



 ファルカオ村? そんな村初めて聞いたぞ。そんな村があったんだな。


「なんだ、そんな名前の村、初めて聞いたぞ」



「セインって、本当に知識不足よね。ファルカオ村って結構冒険者の間じゃ有名よ」



 え? そうなの? じゃあ俺の知足不足なだけか。



「そうですね、結構有名です。よく警護の依頼がボードに貼ってありますよ。見たことありません?」



 なんかあった気がするぞ。CとかBとか比較的高ランクの依頼だった気がする。


「言われてみれば確かに、村の警護とかそんな依頼見たことあるような」



「その村です。ファルカオ村は、位置的に付近にモンスターが多いんです。だから、高頻度で冒険者にモンスターから村を守るように警護の依頼が来るんです」



「そんな村早く出ればいいと思うんだが、何か事情があるのか?」



「なんか結構前からある村で、村長を代替わりしながら残り続けた村だから、みんな思い入れがあって離れたくないって話は聞いたことはあるわよ」



 命より思い入れね。だいぶ危険だし、毎回冒険者に依頼するって金かかってデメリットしかないと思うんだが、そういうもんなのかな。



「それで、どうしますか? 依頼受けます?」



「そうね、受けましょうか。報酬も悪くないし」



「そうだな、よっぽどじゃなければモンスターに負けないし、問題はないな」



「じゃあ、この依頼、承諾するわ」



「かしこまりました。お気をつけてください」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ここがファルカオ村ですね。それにしても、本当にラール平原に村があるとは。危険なのも頷けます」



「そうね、ラール平原はC級以上のモンスターが多いから、一般人だとまず生きられないわね。そんな環境でよく村なんて作ったわね」



 話を聞くとますます変だな。本当になんでこんなところに村を作って、残り続けるのか。



「もしや、冒険者様ですか」



 この気弱そうな白髪の老人。もしや村長か。


「あなたは、村長ですか?」



「そう、わしがファルカオの村長のゼニスと言います」



「俺たちはセインと」



「シェラよ」



「エマと申します」



「早速行きましょうか。私は東側を警戒しておくから、2人は西側をよろしく」



 タッタッタッ



 村長と何も話をせずに決まるのかよ。村長、ビックリしてるじゃん。


「休憩したかったんだけど、出来なくなったかもな」



「任務中ですよ。休憩はよしてください」



 厳しい。シェラとエマが2人とも真面目で厳しいから、俺の自由が少しずつ消えていく。



「それより、行きますよ。ほら、私たちほぼ話したこと無いですし、お話しながらどうです?」



 名案だ。別に警戒くらいなら雑談しながらでも出来るし、モンスターなんて尚更、見逃さないし、問題ないな。


「そうだな、雑談しよう。せっかく2人なのに真面目に仕事しすぎて、黙っちゃったら嫌だもんな」



「いくつか聞きたいことがあるのですが、良いでしょうか?」



「ああ、問題ないよ。なんでも聞いてくれ」


 どんな質問が来るんだ。急に踏み込んだ質問が来たらビックリするぞ。



「セイン様はなぜ、冒険者に?」



 あ、思ったより軽い質問で安心した。


「俺は昔から強かったし、それを生かして楽しく金を稼げる場所だったから」



「私も同じようなものです。やっぱり冒険者って、強さで金を稼げる職業を探す人が行き着く場所って感じですよね」



 エマもか。やっぱり男女問わず、冒険者になるやつは自分が弱いって思わない奴が多いな。


「やっぱり、自分なら勝てるって、自分に自信がある奴が多い印象だな。それで次の質問は?」



「はい。っと、その前にモンスターが居ますね。話はそのあとです」



 お、本当だ。なんか見たことない奴だけど、サクって倒すか。



 タッ••••••ザシュッ。ドスン



「お前に罪はないけど、任務だからな。死んでくれ」



「流石に早すぎませんか? なんで私が動くよりも先に倒してるんですか。それよりも、このモンスターB級のショックバイパーですよ」



「ショックバイパー? B級の中じゃ強いのか?」



「麻痺と猛毒の両方を(あわ)せもつ、強力な毒蛇です。B級の中でも上位に位置するモンスターです」



 なんだ対生物に特化した能力。麻痺と猛毒って怖いな。



「鱗や厚い皮に阻まれて、簡単に致命傷を負わせられないはずなんですが、流石ですね」



「どうも。とりあえず、こんな奴らが途中で少し出るんだろ? 少し気を引き締めていくか」


 もっとも、気を引き締める必要はないだろうけど、エマもいるしな。



「それでは、もうひとつ聞きます。あなたは、何者ですか? 私は、ずっと受付嬢をやって、色んな冒険者を見てきましたが、あなたほどの人外な人間を、見たことがない」



 みんなこんなこと聞いてくるな。俺のことそんなに気になるのか。俺が誰だろうが関係ないだろうに。


「そうだなぁ、人間だな。何者と言われても、冒険者と言えばいいか」



「では言い方を変えますね。あなたは、なぜそこまで強いのでしょう? それが聞きたいのです」



 元魔人だからなんて、答えられる訳ないよな。かといって、どう誤魔化すか。



「答えられないのなら無理には聞かないですよ。いつか教えてくれることを願ってますよ」



「ああ、いつか••••••ね。教えるに相応しいと判断したら、教えるよ。せいぜい俺を信頼させてみてくれ」



「今は信頼されてないと?」



 そりゃあそうだ、シェラならまだしも、ほとんど話をした事もなければ、極端に仲がいいわけではない。冒険者としては信頼に値するけど、秘密を教える人間としては、信頼には値しない。


「まあ、冒険者としては信頼してるよ」



「まあ良いです、そこまで気にすることじゃないので。ほら、行きますよ」



「お、おう••••••」


 あれ、じゃあ何で、俺は秘密を聞かれたんだ?

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