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昇格試験

 昨日シェラとパーティを組んだは良いんだが、問題がひとつ。



「おい、不釣り合い様が来たぞー!」



 そう、これだ。俺は他のやつから見たら、S級の最強冒険者とパーティを組んだE級の無名ザコ冒険者だから不釣り合いなんて馬鹿にされて。

 シェラがE級の冒険者とパーティを組んだことは、すぐに知れ渡り、この有様。


 モンスターよりこいつらの方が厄介かもしれないな。実際かなりうざいし耳障りだ。

 まったく。俺は勧誘に行っただけで、実際に仲間になる選択をしたのはシェラなんだから俺に言わなくてもいいものを。



「相変わらず酷い言われよう。大変そうね、セイン」



 こいつがシェラ、S級冒険者でめちゃくちゃ強い。俺ほどじゃないかもしれないが。

 実はS級冒険者という肩書きより、このシェラの美貌を嫉妬して文句言う奴が多かったり。


「そうだよ、意外と耳障りだぞこれ。結構腹立つんだ。またワンパンで」



「それはダメ、問題は起こさないで。あなたが問題を起こすと、私まで悪い印象がつくの。それに、悪いイメージがつくと、更に言われるわよ?」



 うっ、ごもっともだ。流石に問題を起こしたらシェラにも迷惑かかるし良くないよな。



「おい! 何も言い返せないのか不釣り合いクン、情けねえよなお前ら! ハッハッハ」



 まだ言ってるよ。よく飽きねえな。しかし、それはそれでどうやってこの問題を解決しようか。流石に言われっぱなしは嫌だしな。


「でも、このまま言われっぱなしは嫌だぜ?」



「それもそうね、セインを侮辱するって事は、パーティの侮辱と同義だし。流石に自分のパーティを馬鹿にされるのは良い気分はしないわ」



「でも問題は起こせないし、どうやって止めさせるんだ? 流石に実力行使なんて馬鹿な真似はしないよな?」



「セインがそれを言わないで。見てて、黙らせるから」



 黙らせる? 流石に1人ずつ声かけして、止めるように言うなんてめんどい事はする訳ないし。



「あなた達、セインは私が選んだ冒険者なの、それなのに文句があると? セインじゃなくても自分ならパーティを組めるって? 私はセインだから選んだの。」



 こいつ滅茶苦茶良いやつじゃねえか! そんなに俺を庇ってくれるなんて。



「もう一度言うわ、文句はある? 文句があるなら、大勢でセインを悪く言うような真似はせずに、選んだ私に文句言ってくれる?」



 ・・・・・・



 シェラが声を上げた途端静かになった。全く反論が出ない。これがS級の肩書きと影響力ね。

 というかこいつちゃんと俺の事考えてたのかよ。私が選んだってカッコよすぎるだろ。


「シェラ••••••お前、そんなに俺のこと考えてたのか」



「うるさい。ただパーティを馬鹿にされるのは、耳障りだったから黙らせただけよ!」



 よく分かんないやつだな。優しくしてみたり当たりが強くなったり。これで多分言われることはないかな。感謝しないとな。


「とりあえず助かったよ。ありがとな」



「いいわよ、これくらい」



「それで今日は何かするのか?」


 俺としては討伐任務とかやりたいんだけど、最悪素材集めとかでも良いか。とりあえず任務を楽しみたい!



「そうね、まずD級の昇格試験受けてくれるかしら」



「ええぇぇぇ!? 任務とかじゃないのか、モンスター狩るとか!」



「あのね、E級なんてほぼ討伐任務行けないわよ。Eはそもそも討伐任務を与えられないの」



 E級ってそんなに立場低かったのか。というか討伐任務ないって言っても、たまに任務あるよな。


「でも、たまにE級の任務の中にも討伐任務あるだろ?」



「あれは、E級でも大丈夫と思われてる、本当に弱いモンスターよ。私たち、というか私が倒すモンスターは大体がB以上の危険度のモンスターなの。だからせめて、Dにはして、ある程度の任務は受けられるようにしといて」



「そういうことなら分かったよ。面倒くさいとか言ってる場合じゃないよな」



「わかればよろしい。じゃあ試験を受ける時は受付の子に試験を受けたいって言ったら対応してくれるわよ」


「本当は少なくともB級にはなって欲しいのだけど、流石にE級がそんな試験受けれないし。あなたの実力なら受かると私も思ってるけど、ルールね。1つ上のランクの昇格試験しか受けれないのよ」


 何だその面倒なルールは。高ランクの危険な仕事をこなせる人間なんて居ても困らないんだから、そこに変なルール設けずに、釣り合ったランクに昇格できるようにすれば良いと思うんだけどな。


 それにしても、D級の昇格試験ってどんな内容なんだ。全く話とか聞かないし、想像もしたことなかったな。


「D級の昇格試験ってどんなやつなんだ? 俺は受けたことがなくてな。シェラはあるだろ?」



「ええもちろん。昇格試験は、出された条件をクリアすることで昇格が認められるわ」



「分かった、じゃあ受付に行ってくる。待っててくれ、すぐに昇格してくる」


 えーと、多分あの受付嬢かな。


「すいません、昇格試験を受けたいんですけど」



「昇格試験ですね。現在のランクは何でしょうか?」



「E級です」



「E級ですね。かしこまりました。試験は1つ上のランクまでしか受けられないルールとなっております。」


「D級の昇格条件は、指定ランクがD級以上のモンスターの討伐。討伐を証明する為に、素材を回収してギルドに戻って頂きます」



 って事は、仮にCとかB級のモンスターを討伐しても良いのか楽勝だな。


「D以上ってことは、もし仮にC級やB級モンスターを討伐しても問題ないって事ですよね?」



「え? えぇ••••••もし討伐した場合は、素材を持ち帰って証明をすることが出来れば問題ないですが、仮にB級のモンスターを討伐したとしても、CやBに飛び級昇格はしないのでオススメはできませんが」



 そりゃあそうか。そもそもD級へ昇格するための試験なのに、CとかBになったらおかしいよな。


「わかりました、じゃあ討伐してきます。ありがとうございました」



「それで、手続きは出来たのかしら?」



「もちろん、D級以上のモンスターを討伐だって。簡単そうだけど、俺はモンスターのランクなんて把握してないから、どのモンスターがDかなんてわかんないぞ」



「はぁ••••••キングベアーを知らない時点で分かってはいたけど、やっぱりあなた、モンスターの知識ないわね」



 何を分かりきったことを今更。というかランクに関わらず見つけたモンスター討伐すればなんとかなるだろ。


「でも、出会ったモンスターを手当たり次第狩れば、別にDだろうが、 Bだろうが関係ないだろ? なんとかなるって」



「そんな脳筋作戦してる人見たことないわよ。全く••••••あなたの実力は信用してるし、何とかなるとは思うけど流石にゴリ押しすぎないかしら」



 なんだ呆れたような顔をして、ちょっと失礼だな。


「それでも良いんだ。勝てるモンスターだけ探して討伐するよりこっちの方が手っ取り早いだろ」



「はあ、分かったわよ。じゃあここで待ってるから、早か行ってきなさい」



 なんかどうでも良くなってないか? そんなに急かさなくて良いのに。


「じゃあすぐ戻るよ」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 って言って来たのはワレム森林。

 ここは確か危険地帯ってとこがあって、危険なモンスターがたくさん生息してるって聞いたからな。


「森林の奥へGO!」


 相変わらず森林って感じだな。植物しかねえや。

 とか思ってたら早速はっけーん。アリ? にしてはデカくねえかアレ。2メートルは超えてる。虫は苦手なんだが。


「とりあえずこいつを狩れば良いのか」


 でもアリだとしたら外殻がかなり硬い気がするんだが。まあ、何とかなるだろ。



 グシャッ!



『キィィィ!!』



「うわ、気持ち悪! 鳴き声キモすぎる。しかも変な緑色の体液流しやがって」


 とりあえず絶命したっぽいけど、気持ち悪い。だから虫は嫌なんだよ。

 素材って言っても、こんなアリからどんな素材持って帰るんだよ。とりあえず足とか触覚とかでいいか。


 ふー、こいつ解体するの時間かかった。もう2度と触れたくねえ。

 まあ、素材回収したし戻るか。待たせられないしな。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「シェラ、戻ったぞ〜」



「意外と時間かかったわね。何してたの?」



「え? 俺が行ってからどれくらい経った?」



「そうね、2時間くらいかしら?」



 え!? 俺が解体に苦戦してる間にそんなに経ってたのか。


「いや、そんなに経ってるとは思わなくてちょっとビックリしたよ」



「何してたらそんなに時間かかるのよ。30分くらいで戻って来るものだと」



「なんかデカいアリみたいなモンスターと遭遇して倒したは良いんだが、俺は虫が苦手なんだよ。気持ち悪くて解体に時間かかってたんだよ」


 そう、俺は虫に触れるのも躊躇(ためら)ってしまうくらい虫嫌いなのだ。



「••••••ぷっ。ちょっ、ふふっ。ちょっと面白いじゃない」



「何で笑うんだよ、そんなに笑わなくても良いだろ?」



「だって、虫が、虫が怖くてって、アハハハハ。面白いわね。意外だったわ」



 そんなに笑うことか? 酷くないか? 俺にも好き嫌いはあるっての。何だと思ってるんだか。


「流石に笑いすぎだ」



「ごめんなさい、面白かったもの」



「まあ良いや、受付に行って報告して来るよ」


 はあ、それにしてもシェラがあんなに笑うとは思わなかったな。逆に意外だったな。


「すいません、D級昇格試験でモンスター討伐してきたんですけど」



「D級の昇格試験ですね。かしこまりました、素材はお持ちでしょうか」



「よいしょ」


 トンッ


「これで良いですか?」



「えっ!?」



 あっ、そういえば俺、モンスターのこと全く知らないから、あのアリがどのランクのモンスターか知らずに持って来てたかもな。でも森林にいたから高ランクのはず。



「これって、どこで摂ってきました?」



「これは、ワレム森林にいたアリみたいなモンスターを討伐したけど」


 ん? 何か問題があったか? 何かやらかしたか俺。



「これは、C級モンスター、ポイズンアントの素材です。D級へ昇格となります」



「おーい、シェラ」



「ちょっと、走って来ないでよ」



「悪い悪い。それより、俺昇格出来たぞ」



「そう、良かったわね」



 え、なんか反応薄くない? もう少し喜んでくれても良いと思うんですが。


「もっと喜ばないの?」



「別に、私はあなたなら余裕で昇格すると思ってたからね」



 なんだ、信用してくれてたからこその反応なのか。めちゃくちゃ冷たいだけかと思った。


「じゃあ、早速クエスト行こうぜ」



「B級のやつでも良い?」



「そりゃもちろん」



「じゃあ、パーティでの初クエスト。行くわよ」

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