地獄
今回は会話だけです。少し見づらいかもごめんね
場面の切り替えも少し多めです
「とは言ってましたが、結局どこに行くんです?」
「え、そこら辺の屋台を食べ歩きするって言ってなかったかしら?」
「俺もそう聞いたが?」
「え••••••? あぁ、アレはひとつの意見です。確定したわけではないですよ」
なんだ、てっきり食べ歩きしたいのかと勘違いしたじゃないか。紛らわしい。
「そう。それじゃあ、セインは何かしたいことあるかしら?」
「俺か••••••」
賛成はしたけど、別に何かしたい訳じゃないんだよな。うーん、特にないな。
「俺は特にないよ。任せる」
「私も特にないわね。てことで、行くわよ。ちょうど昼時だし」
「はい! 行きましょう!」
エマのやつ、少しテンション上がってんな。
「おーい、待てって」
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「それで、どのお店に行くのかしら?」
「そうですね、実は私、甘いものが好きなんですよ。スイーツでも食べに行きません?」
「この屋台街にスイーツとかあるのか?」
エマはスイーツが好きなのか。女の子らしくて良いと思うぞ。
というか、そもそも1発目からスイーツかよ。
「いや、先に辛いもの食べない?」
あ、シェラって辛いもの好きだったな。前にそれで地獄を見たんだった。
「いえ! ここはスイーツを!」
「辛いもの!」
「スイーツ!!!」
「辛いもの!!!」
こんなとこで言い合うなよ、人前だぞ。ほら、注目の的だよ。
「おいおい、ここは間を取って肉を••••••」
「ありえないですね」
「ええ、もちろん却下よ」
あれ? 速攻否定されたぞ。思ったよりこいつら本気か。
「ただ、ここは人の目があるからな、ちゃんと話し合いをしよう」
「はあ、それもそうね。ちゃんと話し合いをしましょう」
「分かりました。それが良いですね」
よしよし、分かってくれた。というかそれぞれ食べたいものが違うなら、各々で買ってくれば良いんじゃないだろうか。
「なあ、それぞれ食べたいものを買って来たらどうだ?」
「何のために集まってるのよ。どうせなら全員で回りたいじゃない」
「そうですよ! せっかく3人居るんですから」
うーん、女の子は分からない。俺はどっちでも良いが、2人が解決しないと3人で回れないだろ。
「じゃあ、どっちかが妥協しようぜ? じゃなきゃ、話が進まないだろ?」
「いえ! 絶対に譲れません。私はスイーツを食べたいです!」
「私も譲れないわね。辛い料理が食べたいわ」
こいつら、話にならねえ。そんなに好きかよ。
「じゃあ、この銅貨を使ってコイントスで決めようぜ。公平だろ?」
「良いですよ。シェラ様、やりますか」
「望むところよ!」
運ゲーなのに、何でこいつらこんなに自信満々なんだよ。
「じゃあやるぞ。表ならエマ、裏ならシェラの意見だ。
せーの••••••」
「セイン様、どっちですか!?」
出たのは裏だな。てことは辛いもの食べるのか。良い思い出はないが、俺がコイントスって言い出したからな。受け入れるしかないよな。
「裏だな。じゃあ行くぞ。気乗りはしないけど」
「残念です••••••」
「まあ良いじゃない、どっちを先に行くかって話なんだから、どうせ後でスイーツ食べるわよ」
「それもそうですね。行きましょう」
おい、そこで納得したらコイントスした意味なくなるだろ。全く、こいつらはなんで争ってたんだ。
「まあ良いか。それよりだシェラ。辛いのが好きなのはわかるが、辛すぎるのはやめろよ。前はそれで地獄を見たんだ」
「流石に大丈夫よ。多分••••••」
「お2人は、前回も辛い物を?」
「いや、俺がよく行く店に連れて行ったんだ。そしたらシェラが激辛のものを注文してな」
「ふむふむ」
「そしたら美味そうに食うもんだから、気になって1口貰ったんだ。なんでそんなに美味そうに食えるのか分からないくらい辛かった
今日初めて包丁握ったような初心者が作った料理の方が、多分美味いぜ」
「言い過ぎじゃない!?」
「それ、シェラ様に任せちゃって大丈夫なんですか?」
「わからん。なあシェラ、流石に考えてくれよ?」
「もちろん。美味しく食べられるレベルのものよね」
あんなに辛いものを美味しく食ってたやつの基準に合わせて、大丈夫な気がしない。生きて帰れるかのか? これ。
「良いから行くわよ」
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「これ••••••本当に大丈夫なんですか?」
「流石にこれは、大丈夫••••••? か?」
シェラについて行ったは良いものの、早速明らかに人が食べちゃダメな雰囲気がする焼き鳥を買った。なんで焼き鳥なのに真っ赤なんだよ! 極端すぎるし匂いからも刺激がわかる。大丈夫なのか? これ。
「うん、美味しいわね。ただもう少し肉の主張があっても良いかも。味をあまり感じないわ」
「っ••••••!! なんでこんな物が、普通に露店で売られてんだよ••••••!」
う••••••美味くない。なんだこれ、ただ辛いだけだ。肉の味も香辛料が強すぎてよくわからん。
「なんですかこれ!? めちゃくちゃ辛いですよ。やっぱりシェラ様に任せたらダメじゃないですか
うっ、ゲホッ、ゲホッ。ひっく••••••」
「そう? 普通に美味しく食べられるけど」
こいつの痛覚と味覚どうなってんだ。前よりは辛くないが、エマの反応が正常だろうな。かなり辛い。
「次、次行きましょう。甘いもの食べましょう!」
「それが良いな、うん。口直しだ」
「ちょ、ちょっと! まだ私、辛いもの食べたいのだけれど」
「流石にこれ以上は命の危険を感じるので、スルーしますね」
「俺も。流石に死ぬと思う。エマ大丈夫だったか?」
「はい。なんとか、ですが••••••」
「仕方ないわね。良いわよ、甘いものは私も好きだから食べに行きましょう」
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「うーん、美味しいですねこれ」
「これって、本当に食べ物••••••?」
「うん、だよな。これ美味いか?」
こいつはこいつで、甘いだけなんだよな。美味しいスイーツじゃない。
こいつら、味付けが極端な店を選びすぎだ!
「とっても甘くて美味しくないですか?」
「ああ、とっても甘いな。ただ甘すぎて気持ち悪くなってきたぞ」
「えぇ!? 大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。ただこの料理は二度と食いたくない」
砂糖と蜂蜜とクリームと。本当に甘いものをただぶち込んだみたいなスイーツだな。
「そうね。私も食べたくはないわね。他になかったの?」
「お前が言うな!」
「シェラ様が言わないでください!」
「えぇ•••わ、悪かったわよ」
それにしても、こいつら味覚おかしいのか? いやおかしいんだろ。2つとも美味くはなかったぞ。
「もう満足。今日はこれ以上何かを食べたくない」
「満足してくれましたか。良かったです」
「もう甘いものは散々だ。しばらく食わん。あとお前らがチョイスする料理もだ」
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「これからどうします?」
「もう解散で良いんじゃない?」
「だな。食欲はないしな。うん」
ヴァースに飯奢ってもらお。
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コンコン
「入っても良いよ」
「ようヴァース」
「おお!! セインくんじゃないか。君から尋ねてくるなんて珍しいこともあるものだよ。それで何用だい?」
「飯に行かねえか? もちろんアンタの奢りで」
「良いね、もうお昼時か。君から誘ってくれるなんて嬉しい限りだね。ぜひ行こう」
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「それで、君が誘うなんて珍しいじゃないか。どういう風の吹き回しだい?」
「そうだな、元々パーティの2人と3人で飯食いに行ってたんだが、2人がチョイスする物がダメだったから、口直し的な感じだ」
「なるほど、美味しくないもの食べちゃった訳か。あの2人まともそうに見えるんだけど、意外とダメなんだ?」
「そうだな、2人とも美味しいって言いながら、人間が食うものとは思えないものを食ってたよ。地獄を見たぜ」
「はは、君がそう言うって事は相当なんだろうね。まあそんな事は気にせず、今はこれを食べな?」
「じゃあ、いただきます」
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「よし、じゃあ僕は帰るよ。お会計はしておくから」
「お、おう。じゃあな」
「うん。それじゃあ」
やっぱり、あいつ1人で先に帰るんだよな。それにしても、美味かったな。2人が選んだ料理よりは確実に。
満足した事だし、俺も帰るか。




