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地獄

今回は会話だけです。少し見づらいかもごめんね

場面の切り替えも少し多めです

「とは言ってましたが、結局どこに行くんです?」



「え、そこら辺の屋台を食べ歩きするって言ってなかったかしら?」



「俺もそう聞いたが?」



「え••••••? あぁ、アレはひとつの意見です。確定したわけではないですよ」



 なんだ、てっきり食べ歩きしたいのかと勘違いしたじゃないか。紛らわしい。



「そう。それじゃあ、セインは何かしたいことあるかしら?」



「俺か••••••」


 賛成はしたけど、別に何かしたい訳じゃないんだよな。うーん、特にないな。


「俺は特にないよ。任せる」



「私も特にないわね。てことで、行くわよ。ちょうど昼時だし」



「はい! 行きましょう!」



 エマのやつ、少しテンション上がってんな。


「おーい、待てって」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「それで、どのお店に行くのかしら?」



「そうですね、実は私、甘いものが好きなんですよ。スイーツでも食べに行きません?」



「この屋台街にスイーツとかあるのか?」


 エマはスイーツが好きなのか。女の子らしくて良いと思うぞ。

 というか、そもそも1発目からスイーツかよ。



「いや、先に辛いもの食べない?」



 あ、シェラって辛いもの好きだったな。前にそれで地獄を見たんだった。



「いえ! ここはスイーツを!」



「辛いもの!」



「スイーツ!!!」



「辛いもの!!!」



 こんなとこで言い合うなよ、人前だぞ。ほら、注目の的だよ。


「おいおい、ここは間を取って肉を••••••」



「ありえないですね」



「ええ、もちろん却下よ」



 あれ? 速攻否定されたぞ。思ったよりこいつら本気か。


「ただ、ここは人の目があるからな、ちゃんと話し合いをしよう」



「はあ、それもそうね。ちゃんと話し合いをしましょう」



「分かりました。それが良いですね」



 よしよし、分かってくれた。というかそれぞれ食べたいものが違うなら、各々で買ってくれば良いんじゃないだろうか。


「なあ、それぞれ食べたいものを買って来たらどうだ?」



「何のために集まってるのよ。どうせなら全員で回りたいじゃない」



「そうですよ! せっかく3人居るんですから」



 うーん、女の子は分からない。俺はどっちでも良いが、2人が解決しないと3人で回れないだろ。


「じゃあ、どっちかが妥協しようぜ? じゃなきゃ、話が進まないだろ?」



「いえ! 絶対に譲れません。私はスイーツを食べたいです!」



「私も譲れないわね。辛い料理が食べたいわ」



 こいつら、話にならねえ。そんなに好きかよ。


「じゃあ、この銅貨を使ってコイントスで決めようぜ。公平だろ?」



「良いですよ。シェラ様、やりますか」



「望むところよ!」



 運ゲーなのに、何でこいつらこんなに自信満々なんだよ。


「じゃあやるぞ。表ならエマ、裏ならシェラの意見だ。

せーの••••••」



「セイン様、どっちですか!?」



 出たのは裏だな。てことは辛いもの食べるのか。良い思い出はないが、俺がコイントスって言い出したからな。受け入れるしかないよな。


「裏だな。じゃあ行くぞ。気乗りはしないけど」



「残念です••••••」



「まあ良いじゃない、どっちを先に行くかって話なんだから、どうせ後でスイーツ食べるわよ」



「それもそうですね。行きましょう」



 おい、そこで納得したらコイントスした意味なくなるだろ。全く、こいつらはなんで争ってたんだ。


「まあ良いか。それよりだシェラ。辛いのが好きなのはわかるが、辛すぎるのはやめろよ。前はそれで地獄を見たんだ」



「流石に大丈夫よ。多分••••••」



「お2人は、前回も辛い物を?」



「いや、俺がよく行く店に連れて行ったんだ。そしたらシェラが激辛のものを注文してな」



「ふむふむ」



「そしたら美味そうに食うもんだから、気になって1口貰ったんだ。なんでそんなに美味そうに食えるのか分からないくらい辛かった

今日初めて包丁握ったような初心者が作った料理の方が、多分美味いぜ」



「言い過ぎじゃない!?」



「それ、シェラ様に任せちゃって大丈夫なんですか?」



「わからん。なあシェラ、流石に考えてくれよ?」



「もちろん。美味しく食べられるレベルのものよね」



 あんなに辛いものを美味しく食ってたやつの基準に合わせて、大丈夫な気がしない。生きて帰れるかのか? これ。



「良いから行くわよ」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「これ••••••本当に大丈夫なんですか?」



「流石にこれは、大丈夫••••••? か?」


 シェラについて行ったは良いものの、早速明らかに人が食べちゃダメな雰囲気がする焼き鳥を買った。なんで焼き鳥なのに真っ赤なんだよ! 極端すぎるし匂いからも刺激がわかる。大丈夫なのか? これ。



「うん、美味しいわね。ただもう少し肉の主張があっても良いかも。味をあまり感じないわ」



「っ••••••!! なんでこんな物が、普通に露店で売られてんだよ••••••!」



 う••••••美味くない。なんだこれ、ただ辛いだけだ。肉の味も香辛料が強すぎてよくわからん。



「なんですかこれ!? めちゃくちゃ辛いですよ。やっぱりシェラ様に任せたらダメじゃないですか

うっ、ゲホッ、ゲホッ。ひっく••••••」



「そう? 普通に美味しく食べられるけど」



 こいつの痛覚と味覚どうなってんだ。前よりは辛くないが、エマの反応が正常だろうな。かなり辛い。



「次、次行きましょう。甘いもの食べましょう!」



「それが良いな、うん。口直しだ」



「ちょ、ちょっと! まだ私、辛いもの食べたいのだけれど」



「流石にこれ以上は命の危険を感じるので、スルーしますね」



「俺も。流石に死ぬと思う。エマ大丈夫だったか?」



「はい。なんとか、ですが••••••」



「仕方ないわね。良いわよ、甘いものは私も好きだから食べに行きましょう」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「うーん、美味しいですねこれ」



「これって、本当に食べ物••••••?」



「うん、だよな。これ美味いか?」


 こいつはこいつで、甘いだけなんだよな。美味しいスイーツじゃない。

 こいつら、味付けが極端な店を選びすぎだ!



「とっても甘くて美味しくないですか?」



「ああ、とっても甘いな。ただ甘すぎて気持ち悪くなってきたぞ」



「えぇ!? 大丈夫ですか?」



「大丈夫だ。ただこの料理は二度と食いたくない」


 砂糖と蜂蜜とクリームと。本当に甘いものをただぶち込んだみたいなスイーツだな。



「そうね。私も食べたくはないわね。他になかったの?」



「お前が言うな!」



「シェラ様が言わないでください!」



「えぇ•••わ、悪かったわよ」



 それにしても、こいつら味覚おかしいのか? いやおかしいんだろ。2つとも美味くはなかったぞ。


「もう満足。今日はこれ以上何かを食べたくない」



「満足してくれましたか。良かったです」



「もう甘いものは散々だ。しばらく食わん。あとお前らがチョイスする料理もだ」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「これからどうします?」



「もう解散で良いんじゃない?」



「だな。食欲はないしな。うん」


 ヴァースに飯奢ってもらお。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 コンコン



「入っても良いよ」



「ようヴァース」



「おお!! セインくんじゃないか。君から尋ねてくるなんて珍しいこともあるものだよ。それで何用だい?」



「飯に行かねえか? もちろんアンタの奢りで」



「良いね、もうお昼時か。君から誘ってくれるなんて嬉しい限りだね。ぜひ行こう」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「それで、君が誘うなんて珍しいじゃないか。どういう風の吹き回しだい?」



「そうだな、元々パーティの2人と3人で飯食いに行ってたんだが、2人がチョイスする物がダメだったから、口直し的な感じだ」



「なるほど、美味しくないもの食べちゃった訳か。あの2人まともそうに見えるんだけど、意外とダメなんだ?」



「そうだな、2人とも美味しいって言いながら、人間が食うものとは思えないものを食ってたよ。地獄を見たぜ」



「はは、君がそう言うって事は相当なんだろうね。まあそんな事は気にせず、今はこれを食べな?」



「じゃあ、いただきます」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「よし、じゃあ僕は帰るよ。お会計はしておくから」



「お、おう。じゃあな」



「うん。それじゃあ」



 やっぱり、あいつ1人で先に帰るんだよな。それにしても、美味かったな。2人が選んだ料理よりは確実に。

 満足した事だし、俺も帰るか。

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