第6話 こんな山の中の道路で事故?(1)
《キィ、イイイイイイイイイッ!》
「バ、バカやろーーー! お前ー! 死にてぇのかぁ、あああっ?」
農協に勤める人達がみな帰宅の途につかれた後も、僕は一人この暗闇の中──商品の箱詰めの作業を黙々とおこなっていたら。
作業をおこなっている僕の耳へと車の急ブレーキの音──。タイヤが鳴き、響く音が聞こえてきた。
だから僕は瞬時に車……。多分マフラー音からすると大型トラックだと思われる乗物が事故でもしたのかな? と思うから。
僕は急ブレーキが鳴った方へと自分の顔の向きを変え視線を向けてみると。冒頭のシーンの通りでね。
僕の耳へと大型トラックの運転手だと思われる男性の声を大にした荒々しい諫めが聞こえてきた。
だから僕は、トラックの運転手が車を止めて、車窓を開け、声を大にして叫び、注意をしたと言うことは、事故になっていないと言うことだから。
僕は、ほっと胸を撫でおろして、
(よかった! よかった!)と《大変な事故にならなくて良かったな)
と思えば。
僕はまた自分の頭の向きを変え──商品の片付けの作業を始めだす。
しかし大型トラックのフォグランプの光が中々動かず停車したままだから。
(あれ? 運転手と歩行者のトラブルかな?)
と、今度は思えば。
「チッ! おい! 女! 死にたくなければ気をつけろー! 馬鹿野郎がー!」
トラックの運転手は接触事故になりそうな歩行者へと舌打ち……。悪態をつけば運転手は自分が運転しているトラックをまた素早く走らせ始めるから。
僕は二人……。トラックの運転手と歩行者が言い争い、殴り合いの喧嘩へと発展しなくてよかったと心から思えば。
「──もう一息だ、頑張るか……」
と独り言を漏らしつつ、自分自身をしった激励しながら商品の片付けをまた始めだすのだった。
◇◇◇




