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第56話 エルフな、きよしこの夜(42)
「えぇえええっ! 嘘でしょう? 一樹? どう言う事なのと?」と、翔子さんが、怪訝な表情で声を出し。《《ヤマタノオロチ》》達と一緒にこの場を去る。
そう、向こうの世界……。
私や魔王が産まれ育った世界の事。魔王自身の私生活を私や翔子さん、美紀さん達妃へと何も説明もしないで素知らぬ振りをして逃げようと試みる。悪しき夫に対して翔子さんが不満を漏らせば。
「一君、本当にいい加減にしてよね。一体向こうの世界には、美紀やエルさん、翔子さん達以外に妻が何人いるの? 隠さずにちゃんと教えてよね?」と、問いかければ。
「い、いや、あのぅ」と、魔王が自身の口に物をいれているような感じ。そう、はっきりとしない物言いで美紀さんの問いかけに対して言葉を返せば。
「まさか、一樹? 向こうの世界に子供がいるの?」と、また翔子さんが荒らしく問いかければ。




