第56話 エルフな、きよしこの夜(29)
「「ええ、姫様」」
「「せっかく仲良くなれたのですが」」
「「今の近代化したこの世界、日本では……」」
「我等」
「俺達」
「僕達」
「儂等のような異様な姿をした生き物」
「生物が住み、暮らすには。日本の山脈、森林では、もう狭すぎるのです……」
「だから我等も人間。人種の者達と揉め、争う前に、この世界から姿を消そうと思うのですよ」
「せっかく仲良くなった姫さまには大変に申し訳ないと思うのですが」と。
《《ヤマタノオロチ達》》が洋子ちゃんへと告げるものだから。我が家のお姫様は俯き、しょんぼり。気落ち。落胆を始め出すのだが。
「でも姫さまも、次期には、僕達の産まれた世界へと足を運ばれるのでしょう……」
「ならば大丈夫」
「その時に呼んでもらえれば」
「俺達」
「私達は」
「直ぐにお城へと飛び、羽ばたいてきますから」と。
《《ヤマタノオロチ達》》が交互に、家のお姫様へと告げ、説明をしてくれたから。気落ち、落胆……。自身の肩を落としていた洋子ちゃんも、自身の頭を上げて、「うん、わかったよ。ドラゴンさん。洋子は必ずそちらの世界へといく。遊びにいくから待っていてね」と。
悲し顔から。嬉しそうな顔へと変化──微笑みながら《《ヤマタノオロチ達》》へと告げれば。




