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第2話 冬の日暮れは寒いから、早く片付けよう(1)

「はぁ、はぁ……。ふぅ、ふぅ……」と、作業用の軍手を装着していても凍ったように冷たい自身の手へと、生暖かい息を吹きかける僕──。


 そして終われば、漆黒の闇に覆われた冬の夜空……。(今日に限って星も月も見えないけれど何故だろう?)と、僕は自身の脳裏で思えば。


 今度は自身の周り──。暗闇に覆われた農協の購買部と金融部の前を見渡しながら。


「……やはり日が落ちるとこの辺りは寒いな……」と独り言を呟けばまた作業を再開──。


 先程農協の購買部の所長さんから労いのある優しい言葉を頂き僕は、(ありがたや! ありがたや!)と、思いながら作業を始めだすのだが。


 僕の周りを見て確認してもらえれば分かる通りで、時代は未だ昭和と呼ばれている時代だから、このような山奥だと街灯の光はほとんどなく、購買部の店舗の店頭に備え付けてある数台の自動販売機から漏れる光りしかない状態なので。


 僕は月明かりもない、漆黒の闇の中を自動販売機の光だけを頼りにしながら作業の続き……。


 そう僕が先ほども説明した通りで、今日この農協の購買部の店頭に場所をお借りして販売台を置き──。その上に商品……。珍味に駄菓子、豆菓子、ドライフルーツ、健康パウダー等の商品を陳列して販売──。農協の購買部が閉店したので僕は、商品一つ一つを空き箱へと丁寧に入れ、詰めしていく作業をおこなっているのだが。


 僕が箱に商品を詰め終えると──。仕事のパートナーである、マツダのボンゴのロング、エアロカスタムバージョン仕様へと僕は、商品をこれまた丁寧に一つずつ載せていく作業を繰り返しおこなうのだ。


 でッ、最後にベニヤ板を……。そう販売用の台として使用していた物を積み──。僕が帰宅の途に就くための作業を終わらせないといけない。


 だって僕の口元──。呼吸をしている様子を凝視すればわかる通りだ。

 僕の息遣いは大変に息が白い……。


 そう、先ほども僕が冷たくなっている自分の手に息を吹きかけ温めていた時にも確認できた通りで。僕の呼吸の時の息遣いは本当に白いでしょう?


 特に今の時期、季節は、十二月の初めの頃……。冬と呼ばれる季節だから本当に寒い! 冷たいのだ! まだ夕日が沈んでから時間の方もそれほど経ってはいないのにもかかわらず、この暗さと白い息遣いだから僕の腕、掌、頬、耳が冷たいどころではない。僕の露出している肌の部分はもう、チクチクと針にでも刺されたように痛くて仕方がない。


 この真冬の風の冷たさのためにね。


 

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