第13話 何故、物の怪でもないのに鋼の甲冑を身に纏う?(2)
「えええっ! うそ~!」
僕は自分の鼻の鼻孔をくすぐった落ち武者の姫武将さまの細くて美しい髪の色を見て確認して驚愕する。
だって僕の背に力無くしな垂れかかり。
「み、水……」、「水をください……」、「おねがいします……」
相変わらず、譫言のように呻り、呟いている彼女の髪の色は日本の姫武将らしく、烏色の美しい黒髪ではなく、金髪の髪色だから、僕は西洋仕様の落ち武者──姫武将だから正直驚いて声を大にして叫んだよ。
この農協の周りには民家がないから、僕が声を大にして叫んでもなんの問題はないから。
僕は手加減なく驚愕して叫べば。
(どうしよう?)、(どうしようか?)、(どうしたらいいだろう?)
と、僕は言葉三回分思案をすれば。
「よいしょ、と……」
と声を漏らしながら僕は立ち上がる。
でッ、立ち上がれば僕は南蛮、伴天連仕様の落ち武者──姫武将さまを取り敢えず引きずりながら、僕の仕事の相棒……。パートナーであるマツダのボンゴエアロカスタム仕様へと向けて歩きだすのだ。
だって南蛮仕様の落ち武者姫武将……。彼女息遣いは荒いけれど生暖かい白い息も吐くし、体温もある。
だから落ち武者の幽霊ではなく、生ある欧州かソ連? アメリカ、カナダ、南米……。オーストラリア辺りの女性みたいなのだ。
だから僕も生きている女性を放置する訳にはいかないから、取り敢えずボンゴの後部座席へと乗せ──彼女が要求してくる水分を何かしら自動販売機で購入して、彼女に飲まして事情を聴くか? 目を覚まさない場合は帰宅途中にある病院へと連れていき、診察を受けさせようと思うから。
僕は愛車に向かって重たい甲冑を身に纏う、南蛮の落ち武者姫武将さまを引きずりながら歩きながら向かうのだった。
◇◇◇




