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街を目指そう


 ロシエルと一緒に朝食を食べ終えたあと、私たちはそれぞれ準備を整え、門の前に集合しました。


 準備といってもまだ転生してからそれほど経っていないので、そんなに時間はかかりませんでしたが。



 「じゃあロシエル。街はどの方向にあると思いますか?家の前の主人が残した日記によると近くにはリカレオという街があるそうですが、場所までは書かれていませんでした。」



 日記にはその街の兵士と一緒に、あの凍てつく山脈の向こうへと調査隊が向かったとだけ書かれており場所までは書かれていませんでした。話の内容から考えてここから何ヶ月も遠い場所というわけでもない筈です。



 「私も詳しくは分かりませんが、街であれば恐らくですが、川に沿った下流の方に街もしくは村などがあると思われます。人間が生活していくには水は必須ですから。」



 確かに人が生活していく上で水は必須ですね。畑など作物を育てるためには水がいりますし、汗など体の汚れを流すためにも水が入りますからね。



 「では、すぐそこの川に沿って、下流へ行きましょう。街を探す手がかりはそれぐらいしかありませんしね。」



 私たちは門を出て正面にある小道を通って川へと向かいます。


 この小道は最初にこの森を探索した時の帰りの際に、またあの川へ行けるよう私が切り開いた道です。もうすでに幾度も川へ訪れたので、道は人が一人二人楽に通ることができるくらいにはなっています。



 「そういえば、ロシエル。」



 「はい。何で御座いましょうか?」



 「私は転生してから少ししかこの世界のことを知りませんから、悪魔がどうやって戦うのか分からないんですが、貴女はどのようにして戦うんですか?」



 ロシエルは契約してからは、ずっと家の掃除や庭の整備ばかりで、私の探索や朝の鍛錬などにも参加しなかったので、戦う姿を見たことは一度もありませんでした。


 彼女は悪魔の中でも上位の存在だそうですし、しかも肉体は彼女がとても褒めていた体なので、戦闘が全くできないということはないと思いますが、実際のところはよくわかりません。



 「そうですね。悪魔の戦い方は先ず、肉体を持たない精神体か、現世に依代、又は肉体をを持つ個体かによって天と地程の差が存在します。」



 「肉体を持つか持たないかでですか!?」



 「はい。先ず、精神体であれば基本的に戦い方は、魔法や呪術などが主です。この場合、私たち悪魔は召喚主が対価とした物によって扱える魔法が大きく異なります。例えば、人の命1人分と、人の命100人分とでは人を数人殺せるか、村程度の規模の人を殺せるかの違いがあります。」



 「ごめんなさい、ロシエル。私はこの世界に転生して数日しか経っていないから、村の平均的な規模がわからないし、力の桁の違いがわかりません。」



 すでに数か月が経ちましたが、情報源は家の図書室に残された数冊の本なので、村や街の規模などに関してはあまり知識を持っていません。



 「申し訳御座いません。シア様が転生者であることを失念しておりました。」



 私が転生者であることはこの数ヶ月の内に話しておきました。これから一生を共にする彼女に隠し事をするのは、私の気分的に余り良くありませんでしたので。



 「そのことに関しては大丈夫ですよ。改めて説明をお願いします、ロシエル。」



 「はい。では、魔物の危険度・・いわゆるランクで考えましょう。」



 「魔物の・・危険度?・・ランク?」



  「はい。魔物の危険度はそのままその魔物がどれくらい危険であるかを示した値のことです。それをよりわかりやすく、見やすくしたものがランクです。例えば、スライムは危険度は最下級、村人であっても核を攻撃すれば一撃で倒すことができます。ですのでランクはGです。」



 確かに初めてスライムを鑑定した時、ランクの欄にはGという表示がありました。



 (あれがランクだったんですね。どう言う基準で決められているか疑問だったんですよね。)



 「他には以前シア様が狩って来られたクレイジーハイボアですが、危険度は中級、経験を積んだ冒険者パーティーが狩ることができるレベルです。ランクは確かBだった筈です。」



 なかなか高いランクですね。経験を積んだ冒険者パーティーとなると一般人からすると脅威以外の何者でもありませんね。



 「しかも、シア様が御狩りになった個体はクレイジーハイボアの中でも長い年月を生きた個体のようでしたので、実際には上級かもしれませんが。」



 「なるほど。それで、悪魔であればどのくらいのランクですか?」



 「個体差にもよりますが精神体の場合はだいたいランクで言うと最低でBです。そして、肉体を悪魔は依代によりますが、最低でもA依代が良いものであればランクSになる者もいます。」



 「ランクSですか・・!?で、ではロシエルはランクSなんですか?」



 ランクSだとこの世界では上位の存在です。余程強い魔物じゃなければロシエルは余裕ということですね。



 「そうですね、ランクはSあたりだと思われます。ですが、私自身まだこの体を十全に扱えているわけではないので、それ以上である可能性もあります。」



 「ランクS以上・・・しばらくは貴女に守ってもらうことになりそうですね。」



 「はい。元より私はシア様の僕として御守りするつもりです。」



 「ええ、頼りにしていますよ、ロシエル。」



 「はい。」



 彼女が居てくればとても頼りになります。でも、彼女に頼り切ることも良くありません。私ももっと強くならなければいけません。


 ロシエルとそんなことを話ながら穏やかな川の流れに沿って順長に下っていた時・・・




 「ガオォォッォォーーーー!!!!」




 空気が震えるような雄叫びが、森の中から聞こえてきました。




 最後までお読みくださりありがとうございます。誤字・脱字やアドバイスなどのご意見があればコメントしてください。


   次回もよろしくお願いします。


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