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〜プロローグ〜

初めて書きます。是非読んでいって下さい!


 「ハァ・・ハァ・・ハァ・・」


 どれくらい走り回っただろう。僕は今、全速力で逃げている。お腹から鈍い痛みを感じる。刺された所から血が溢れてくる。それでも追いつかれないように走り続けている。


 未だその男からは逃げ切れておらず、むしろ振り返れば直ぐ後方、数メートルのところを狂気のこもった目で、僕のことを追いかけている。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー


 ~数時間前~


 そに日は何の変哲もない、普段と代わり映えのしない日だった。季節は冬でその日は珍しく、朝から小振りの雪が降っていた。


 僕は都心にほど近い公立大学に入学する為に、両親と住む田舎の実家から遠く離れた、少し畑や田んぼなどが見られる郊外のこの住宅街に引っ越してきていた。


 いつも通り目が覚めたら、日課のTVニュースを見ながら朝食を済ませていた。その時、残っている記憶ではニュースキャスターが確かこんな緊急速報をしていた。


 『皆さん緊急速報です。つい先ほど警察庁から殺人事件の情報が入りました。昨日、未明に◯◯区◇◇丁で数十名におよぶ一般人が道中で通り魔に襲われ、病院へ搬送されましたが、多数の死亡が確認されました。被害者は全員刃物のようなもので刺された痕跡があり、傷口や被害者の証言などから、全て同一人物であると予想されます。犯人は40代半ばの男で青いジーンズに黒いジャケット着ていたそうです。男は未だ見つかっておらず、警察が総力を上げて捜査を行なっています。皆さん、外出する際は細心の注意を払って外出してください。続いては、・・・・・』


 「へぇ〜・・・殺人事件なんてこんな都会で珍しいなぁ〜・・・」


 その時の僕は他人事だと思って深く考えもせずに聞き逃していたと思う。今思うと、僕はその時のことをすごく後悔していた。


 何も考えずに僕は普段通りに大学に行く準備を整え、時間通りに家を出て駅に向かって歩き始めた。


 そして数分後、僕は件の殺人鬼に遭遇した。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー   


 その男を初めて見たのは家を出て駅に向かって真っ直ぐに歩いて行っていた時だった。


 僕は、最初どこにでも居る普通の通行人だと思っていた。だって朝早くに家を出たとしても、都心の住宅街であったし、少ないながらも僕以外にも歩いている人はいた。


 でも、その考えが甘かったことを数秒後身をもって体験した。


 その男は僕とすれ違う直前で懐から抜身の血のついたナイフを取り出し、僕のお腹に向かって突き刺してきた。油断していた僕は、お腹を刺され痛みを感じながらも、反射的に男を突き飛ばし距離を取った。


 突然男が突き飛ばされたのを見て驚いた他の通行人は、突き飛ばされた男の手に握られている血のついたナイフを見て状況を把握したのか身体を硬直させ、思考停止させていた。


 それを見ていた僕は直ぐ近くにいた女子高生と思われる女の子に向かって叫んだ。


 「逃げろ!?ニュースでやっていた殺人鬼の通り魔だ!!」


 僕の声にビクリと怯えながらも、言っていることを理解したのか、女子高生や周りの通行人は脱兎の如くその場から逃げ始めた。


 その間も僕の目線は目の前の通り魔を、捕らえ続けていた。男はゆっくりとした動きで立ち上がると僕を視界に捉えて、充血した赤い目で見返してきた。


 男はナイフを持っている手を僕に向けなが視線を外さない。逃がさないと暗に言っているようだった。どうやら男は僕に狙いを定めたのか、周りの通行人が逃げて行くにも関わらず、ジリジリとにじり寄る様に、僕との距離を縮めている。


 周りにはまだ完全には逃げ切れていない通行人が数名と、先ほど声を掛けた女子高生が恐怖で腰が抜けたのか、地面にへたり込んでいる。このままだと僕以外の通行人に狙いを変えるかもしれないと思い、気づいた時にはまたも女子高生に声を掛けていた。


 「そこの君、今すぐ警察に通報して・・・!おい!そこのお前僕が狙いなんだろ、だったら着いてこい!」


 僕は男にそう言いながら全速力でその場から走り出した。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー


 あれからしばらく走り続けたことによって、刺されたお腹の傷口が広がり血が地面へと垂れてる。


 この状況どうにかしないと、いずれ僕の血が足りなくなって終わりだ。何か・・何か無いか・・


 そこでふっと視線を上げると左手に建設中か、はたまた解体中かわからないが、4階程までしかなさそうなビルが目に入った。あの中に隠れれば警察が、僕の血の跡を辿って来てくれるか・・?

 

 そんな希望的観測を頼りながら考えを巡らせていく。幸い今日は朝早くから家を出ていたので、まだ作業員の人は来ていないだろう。とにかく今はあそこに逃げ込もう・・


 数メートルも走らないうちに建物の入り口に到着し、そのまま中に逃げ込んだ。一瞬こんなに堂々と入り口が空いていて、大丈夫なのかと疑問に思ったが、今は考えている暇もないので気にせずに入って行った。


 建物の中に入って周囲を見回すと、朝にも関わらず薄暗く一瞬廃墟かと思ったほどだった。鉄骨などの骨組みしかなく、壁らしい壁も無かった。地面にはこの工事現場の従業員の道具と思われる工具や、細かい廃材などが散らばっていた。


 どこか隠れそうな場所がないか視線を巡らせると、奥に光が差し込めるホールのような開けた場所があった。天井に穴が開いているのか、そこだけ雪が降り積もっておりとても幻想的で見入っていた。だがそれも長くは続かなかった。すぐ後ろから通り魔が追いかけて来ているのを思い出し、その場所のすぐは脇にある支柱の後ろに急いで身を潜めた。


 程なくしてあの男のものと思はれる足音が、ゆっくりとホールの中に入って来ているのが分かった。


僕は物陰で息を潜めていたがお腹の痛みが大きくなっている事に気がついた。このままでは何力尽きるだろう。その時になって僕は何故自分が今こんなにも死にそうになっているのか、行き場のない怒りを感じていた。


 まだ大学を卒業もしていないし、親孝行もしていない・・人生の目標ややりたかったこともまだまだ残ってる!こんな所で僕の人生が終わってたまるか・・!!そんな憤りを感じながらなにか無いかと手探りで探していると、ちょうど手に棒状の細い鉄筋が当たり咄嗟にそれを握り鋭い方を先端に息を潜めた。これでこの男に一矢報いてやる・・・!


 そして足音がすぐそばで止まったのを聞き、タイミングを見計らってその場から男の方に向けて一気に飛び出した。


 男は急に飛び出して来た僕に動揺した様子を見せ、体を硬直させ一瞬動きが遅れた。その隙を見逃さずに好機と思い、僕は手に握った鉄筋を男に向かって思いっきり突き出した・・・


カランッ!


 男は握っていたナイフを落とし、数歩後ずさるようにして下がると、後ろに向かって倒れた。僕の突き出した鉄筋は男の喉元に深く突き刺さっていた・・


 「バカ・なぁ・・・あ・る・・・に・あぁ・・」


 男は首から血を流し何事かを呟きながら、その瞳から光を失った。


 「はぁぁ・・・これでやっと終わっ・・・たぁ・ぁぁ・・」


 そのときクラッと視界が傾いた。あぁ・れぇぇ・・身体がぁ・・・


 気づいたら僕はホールにある小さな壁にもたれかかっていた。あぁ・・クソッ・・やっと終わったと思ったのに・・・僕まで最後を迎えるなんて・・・


 どうやらこれまでの逃走劇や今の奇襲で完全に傷口が広がり、血がより一層流れ出て来るようになったようだ。結局・・やりたいことはやれずじまいで終わっちゃったなぁ・・


 「もし次があるなら・・もっといい人生を送りたいなぁ・・」


 その呟きは誰かに聞かれることもなく消えていく。段々と意識が消えそうになりながら最後に見たのは・・・



 (ああぁ・・・ゆきぃ・かぁ・・)



 日の光に反射してキラキラと光り輝いていた。その光景を目に焼き付けながら、そこで僕の意識は途絶えた。


     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 「ううぅん・・眩しいぃ・・」


 そう呟きながら顔の前に手をかざした日の光を遮ろうとした。


 (うん?・眩しい?・・・あれ?・・なんで眩しいなんて感じるんだ?・・)


 目を開けるとそこは見渡す限り、白い空間が何処までも続いていた。


 「えっ・・・」


最後までお読みくださりありがとうございます。誤字・脱字やアドバイスなどのご意見があればコメントして下さい。


   次回もよろしくお願いします。

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