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いつも一緒だったのに。  作者: くろねこどらごん
第二部 夏休み
31/62

お誘い

今回は夏葉視点です

コロコロ視点変わってすみません

ちょっと修正しました

「はぁ…」


気分はアンニュイ。思わずため息をついてしまうほど、私のテンションはガタ落ちの真っ最中です。

まぁ原因は分かってるのですが。ずばり先日の湊くんとのデートが、未だ尾を引いているのです。



というか、あれをデートとは認めたくありません!霧島さん、さすがに空気読んでくださいよ!

まさかこんな身近に天然幼馴染の体現者がいたとは…普段の私なら小躍りするほど喜ばしいことなのですが、さすがに実害を(こうむ)ると話は別ですね。


なんでラブコメ主人公が天然ヒロインの行動に疲れた顔をするのか、分かった気がします。

あれはさすがに逆らえませんよ…なんかオーラでてましたし


モールで一緒に水着を選んでいちゃいちゃしたり、適当にカフェでいちゃいちゃしたり、帰り道でひたすらいちゃいちゃしたいという私のささやかな計画は全部ご破算。

完全に霧島さんに振り回されて終わったデートは、がっくりと肩を落としてひとり寂しく帰った記憶が、一番残るものになりました。あの日は夕日が目に染みたなぁ…



湊くんを送り届けた時も思いましたが、霧島さんはかわいい顔してかなり押しが強いです。

前原くんも大変だろうな…とと、あの二人は別れたんでしたね。

かなりのスピードで破局したようにも思えますが、やっぱりあの件が原因でしょう。



期末テストが終わってすぐに湊くんが怪我をした事件、あれには前原くんが絡んでいたようでした。

その場に私はいませんでしたし、中学の頃の前原くんも知っているのでちょっと信じられないところがあるんですよね…でも、月野さんもすごく怒っていましたし、きっと事実なのでしょう。


もやもやした感情は残りましたが、私は前原くんを責めることはできませんでした。

彼女失格なのかもしれませんが、どうにも友人としての情が捨てきれまん。

きっと私は、甘いんでしょうね。




おっと、話がそれました。

霧島さんが別れたことについてはしょうがないことだと思います。事件を差し引いてもタイミングや相性というのもありますしね。

あの見かけで清楚ビッチだったりしたらドン引きですが、私のクラスにも話が聞こえてくるほど、性格もいい人らしいのでそれはないでしょう。男子の一部では、天使扱いまでされてるとかなんとか。


月野さんともども、クラスの男子がよく彼女達の話をしているのも耳にするほどですしね。

しかし男子って、なんであんなにおっぱいと金髪が好きなんでしょうね。

盛り上がって大声で話してるのも気付かないくらいですし。

私も好きですけど、おっぱい。



まぁそんなわけで、きっとすぐに霧島さんにもすぐに新しい彼氏はできると思うんですが…思い返すと、なーんか湊くんとの距離近かった気がするんですよね。気のせいだとは思うんですけど。

それとも男女の幼馴染ってあんなものなんでしょうか?


はっ!もしや、これは私から湊くんを奪う寝取られ展開!

…なーんて、そんなことはないですね。どこのエロ漫画だよって話ですよ。

しかも幼馴染とかないない。いくらなんでもベタすぎます。

まだテニサーの先輩がいきなりポップアップしてきたほうがよっぽど説得力ありますよ。



だからないない。アッハッハッハ

…ない、ですよね?




ピロン♪



「おや?」


ちょっとおバカな妄想をしてしまい、悶々としていたところで、スマホに着信がありました。


「ひょっとして湊くん!?不安になってる私に、ニュータイプ的な直感で励ましのエールを!!」


喜び勇んで飛びついた私でしたが、チャットアプリには霧島綾乃さんの名前が表示されていました…そういえば交換してましたね。うん…


まぁそんな都合のいい話はないよねと思いつつ、アプリを開くと謝罪の文面が浮かんでいます。


曰く、この前はデートの邪魔をしてごめんなさい。空気読めてませんでしたとのこと。



…ははーん、これはさては湊くんに怒られましたね。

影でこっそり注意してくれてるとはさすが湊くん。

ほんとはデート中に言ってくれるのが一番良かったのですが、私は許しましょう。

あのプレッシャーで逆らうとか無理ですもん。

無理無理絶対無理、ホラーの中の人でも逃げ出しますって。


「気にしないでいいですよっと」


私はすぐに謝罪を受け入れます。彼氏が人知れず仕事をしたのなら、素直に許すのが女の度量というもの。ねちっこいのは趣味じゃないですしね。


そもそも霧島さんを敵に回すとか無理ゲーです。魏と蜀どころじゃない戦力差がありますよ。陽キャの一番怖いところってその人脈ですからね…



私の言葉にすぐに既読がついて、ありがとうの返信が。

うんうん、これで良し。なんだか溜飲(りゅういん)の下がる思いです。

せっかくだし、このまま湊くんと次のデートの予定でも話そうかな…なんて思っていたところで、さらに文章が表示されました。


どうやら霧島さんの話は、まだ終わっていないようです。


(佐々木さんは今週の土曜日の夜、暇かな?)


これはあれですか?夜のお誘いってやつですか。同性なのに、私には彼氏がいるのに!


(暇ですよ)


まぁ素直に返すんですけどね。嘘つく理由ないですし。

というか予定あるとか見栄張って、湊の耳に入るほうが最悪です。


(良かった。なら仲直りの記念に、一緒に夏祭りいかない?土曜日に毎年行っている神社でのお祭りがあるの。みーくんや渚ちゃんもくるんだけど、それでもいい?)



いや、良くないんですけど。



なんで彼女差し置いてあなた達が湊くんの予定押さえてるんですか!?



メインイベントの花火大会とか海とかは来月誘おうと思ってましたが、お祭りだって二人で行きたかったんですよ!あなた達と一緒とか、浴衣着ても私のインパクト薄れるじゃないですか!


(あ、それじゃ参加させて頂きます。何時にどこで集合ですか?)


…そんなことをいう勇気は、私にはありませんでした…

でも、ここはポジティブに考えましょう。湊くんもくることには変わりないのですから。

湊くんが忠告してくれていたのなら、あの人達も現地で気を使ってくれて、二手に別れるのかもしれません。

そうでなくても人混みに紛れて、二人きりになれるチャンスもあるかもしれませんしね。



そう考えると、急に元気が湧いてきます。こうしてはいられません。

私は勢いよく立ち上がり、階段を駆け下ります。


「お母さーん、浴衣どこにしまってましたっけ?」


「タンスの中だと思うけど…あ、もしかして例の彼氏くんと出かけるの?」


「えへへ…そうなの。土曜の夜、着付けお願いしてもいいですか?」


母はにっこりと頷いて了承してくれました。

これで準備万端。土曜日がくるのが早くも待ち遠しいものです。


はしゃいでた私はまた妹に怒られるのですが、それよりも湊くん達と出かける夏祭りが、今からとても楽しみなものとなりました。



…いい思い出に、なるといいな

次は夏祭りです

四人で出かけるはじめてのいべんとですね

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当に佐々木さんの心の内は陽キャそのものですね( *´艸`)3人のレースどうなるか楽しみです(≧∇≦)b
[一言] 夏の血祭りか・・・
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