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いつも一緒だったのに。  作者: くろねこどらごん
第二部 夏休み
25/62

夏は

2部夏休み編開始です

どうも!佐々木夏葉でっす✩



え、テンション高いって?やだなー、そんなの当たり前じゃないですかー

だってー、今はー

な・つ・や・す・みなんですから!ですから!


大事なことなので二回言いました!反省はしません!





いやー、こうこうせいかつはじめてのなつやすみ♪

平仮名で書くとなんか卑猥な感じがしますね、不思議です!


まぁ悪ふざけはここまでにしましょう。

夏の暑さに、私もちょっとやられちゃったみたいですね!

でも反省はしません!






黙っていたら清楚な文学少女に見えるのに…って響子ちゃんにも言われるんですけどね。

これでも湊くんの前じゃ、結構頑張ってるんですよ。

別に猫かぶりしてるわけではないのですが、これが恋する乙女のなせる技というやつでしょうか。



無意識でやってしまうって怖いですね、遺伝子に刻まれた本能が頑張ってくれているのかもしれません。

恋愛初心者の私には全く持ってありがたやありがたや…ご先祖様、お盆はちゃんと拝みに参ります





閑話休題





ここまで私が浮かれているのには、もちろん理由があります。

私だっていつもこんなテンションではないんですよ、ほんとですよ!


私は今、朝の日差しを浴びながら、駅前の広場に向かっているところです。

昨日は眠れなかったので少し寝不足ですが、テンションが最高潮に高まった今の私には、何の障害にもならないでしょう。



広場に向かう理由はもちろん、私の彼氏である水瀬湊くんとのデートがあるからです。





本当は夏休みに入る前の試験休みに、2度目のデートをするはずだったのですが、いろいろあって予定はキャンセル。

夏休み初日の今日、再デートと相成りました。



夏休み前に前原くんから、湊くんとは別れたほうがいいとかチャットで言われもしましたが、そんなこと言われても正直困りましたね。

湊くんにはなんの不満もないですし、別れる理由がないのにそんなことを言われてもというやつです。



あ、以前のデートがキャンセルになって残念だったとかは思ってませんよ。

彼氏さんであろうとなかろうと、断る理由が体調不良なら仕方ありません。

具合が悪い状態で相手をあちこちに連れ回すほうが、こちらとしても申し訳がたちませんので。



一緒に出かけるなら、やっぱりお互い楽しまないとですから。

当たり前のことです。相手に気を使ってばかりいてもしょうがないですからね。


特に湊くんはそこらへん無理しそうな人なので、向こうから言ってもらえて助かりましたよ。

やはりできた彼氏さんです。えへへへ









さてさて、そんなことを考えてたら、いつの間にか駅前に着いていました。広場は日差しを遮るものなど一切なく、直射日光全開です。

日焼け止めクリームがなければ危ないところでした。

即死とまではいかなくても、肌の弱い私には油断のならない相手。

君子危うきに近寄らずといいますが、私は湊くんがいるなら、虎穴にすら飛び込む覚悟です。



湊くんはもう着いているのかなと、辺りを見回してみると…見つけました。

前回よりも人が少ないというのもあったのですが、すごく目立っていたからです。





私の彼氏、ナンパされてました





…おっかしいなぁ。そこは逆じゃないかナー

これ、私が助けなきゃいけない流れ?え、本気で?初体験なんですけど。いやらしい意味ではなく。

いきなり覚悟を試される事態が起きたようです。どうしてこうなった。



とはいえ、ここは逆に考えましょう。前回の名誉挽回するには絶好のチャンスであると。女は度胸、なんでもやってみるもんさ!



佐々木夏葉、いっきまーす!



私は虎の穴に突貫しました…正直、内心はかなりテンパってました。乙女ですもん。



あ、相手のお兄さんは聞き分けが良くてとても助かりましたね。世の中そう捨てたものでもなさそうです。



「あ、ありがとう。夏葉さん…」



「いえいえ、どういたしまして」



湊くんはかなり恥ずかしそうにしています。

そういう顔が男の人を引き寄せてしまうのではないでしょうか。いいませんけど。



至近距離でこんな顔を見れるとか、まさに彼女の特権と言えるでしょう。

ヨダレは垂らしません。腐ってませんし、私は淑女ですから。







今日の予定は図書館デート。涼しいクーラーの元で静かに過ごしながら、午後はモールまで足を運ぶことも考えてます。



一応、新しい水着も、買ったりして…お、大きくなってますし…







湊くんと一緒にこの夏の間でやりたいことは、たくさんあります。

水族館にも行きたいし、海やプールにも足を伸ばしてみたいもの。

焦ることなく一歩一歩、湊くんと進んでいければ、私はそれで満足です。



…キ、キスとか、まだ早い気もしますし!







でも、今日はちょっとだけ勇気を出して





「行きましょう、湊くん」





私から手を差し出しました。湊くんは私の顔を見て、おずおずと手を伸ばしてきます。



…は、恥ずかしいですね。これは…





私は早くも、夏の暑さではない汗が背中を伝ったのでした。

それでも、ギュッと握った手を離すことなく、私達は歩き出します。

図書館まではちょっと距離がありますが、バスを利用せずのんびり歩いていくのもオツなものです。



青空と白い入道雲、立ち並ぶ街路樹にひぐらしの鳴き声。

すれ違う人々と、暑くなったアスファルトを踏みしめながら歩く二人の男女。



本の中に迷い込んでしまったかと思うほど、今の私達は、青春というものの只中にいるのではないでしょうか。





そんなことを考えてしまうのは、きっと





隣に、この人がいるから





私はもう一度、湊くんの手を強く握り締めました。

…お互い手の汗がだらだらで、結局すぐに離しちゃいましたけど。



でも、これもいい思い出になるでしょう。



だって







―――夏は、まだ始まったばかりなんですから

ブクマありがとうございます

2部もよろしくお願いします

最初は夏葉視点でした。これは予定通りのお話です


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― 新着の感想 ―
[気になる点] その間に前原くんから、湊くんとは別れたほうがいいとか言われもしましたが、そんなこと言われても正直困りましたね。 ↓ そんな場面ありましたか? もし見落としていたらすいません(-_-;)…
[良い点] 他の小説が甘々である中でこういう作品があるのは大変貴重なことなので、あまり方向転換せずにこのままの方向性でいかれたらいいんではないでしょうか? 個人的にせっかくの長所だと思っているシリア…
[良い点] 佐々木さんが結構陽キャなのはビックリしました( *´艸`)湊ナンパされるのも良かったです( ̄▽ ̄)b次回も楽しみに待ってます(●´ω`●)
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