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彼女たちの学校

ツンデレさんと卒業式

作者: 依

 

 私の名前は相良美和。柿菅小の代表委員を務める五年生で、無口でクールな女の子 (のつもり)。

 お母さんが弁当屋さんをやっていて、やけに古めかしいアパートに、お母さんとおばあちゃんと弟の四人で暮らしている。お父さんは単身赴任中で、生活費をたまに送ってくれるけど、私も稼ぐことができたなら、お母さんももう少し楽になるのにな。なんて思ったりする。りく(弟)は三つ下の現在二年生で、絶賛反抗期中だ。特に、「母さんじゃなくて父さんが良かった」みたいな事をよく言ってお母さんを困らせている。私にできる事と言えば、家の手伝い(お母さんのお店は手伝わせてくれないけど)と、勉強くらいだ。

「はぁ………」

 休日の昼間、自分の机に頬杖をついて、思わず吐いて出たため息に、(ダメだな、私も。)なんて考えている時だった。

「相良!」

「え?」

「相良!!」

 なにやら聞き覚えのある声が遠くで聞こえて窓を開けると、湿った冷たい空気が流れ込んできた。

「うぅ…寒い…」

 窓の隙間を最低限にして外を覗き込むと大きめのジャンパーを着込んだ紗和村委員長がこちらに気がついてもう一度名前を呼んだ。

「相良!ちょっと出れるか?」

「…今行きます」

 とりあえずさっさと窓を閉めて、勿体無いからと電気ストーブの電源を切った。

 厚手のパーカーの上に、玄関でとって羽織ったダッフルコートを重ねる。

 がちゃ、と扉を開けると、瞬間に吐いた息が白く見えた。「冬…ですね。」

「あぁ冬だよ。とにかく早くしろ。寒いんだよ。」

 委員長こと紗和村水樹が手をポケットに突っ込み、首を縮こませて出てくるよう促す。

「はい、なんですか?」

 ゆっくりと扉を閉めて玄関前にしゃがみ込んだ。

「…何してんだ?」

「いや、私だって寒いですし。」

 その理由で納得したのかなんなのか、紗和村は背負っていたショルダーバッグを下ろして何かの資料だがなんだか分からない紙束と分厚いファイルを取り出して、玄関前に並べていく。

「紗和村さん。」

「ん?」

「中でやりません?凍え死にます」

 紗和村は私の言葉に何故かとても驚いた顔をして、少し間を空けてから口を開いた。

「……お前が、いいなら。」

 そういう事になった。


「こっちが六年生を送る会の台本とプログラム。役割分担表と出し物の内容をまとめたやつだ。で、こっちが卒業式の詳細。特に代表委員がやることはないけど一応流れ。そいで最後のが、一年生を迎える会のプログラムと台本。まだ出し物は決まってないからその内な。」

 紗和村を自分の部屋に招き入れて、切ってしまったストーブをもう一度付ける。

「…紗和村さん。もしかしてこれって紗和村さんいないやつじゃないですか。」

「ああ。先生に、一番信用できるやつに説明しとけって言われてさ。ついでに来年委員長任せられそうなやつ、とも言ってたけど。」

 紗和村は今さらジャンパーを脱いで、渡してあったハンガーにかけながら言った。ジャンパーの下は白いセーターとジーパンを着ていた。

「一番…信用出来るやつですか、これが。」

「これ、って。面白いな、お前。」

 紗和村は大げさに笑顔をつくると正座のようなものをしてた姿勢を崩して胡座をかいた。

「全然面白い話じゃないですよ。」

「はいはい、そーかそーか。」

「…本当に。なんで私なんですか?大体副委員長は由加里ちゃんでしょ?紗和村さんは私が仕切ったりまとめたりするのが苦手だってことくらい知ってると思ってたんだけど。」

 一気に吐き出して、 高まった感情を誤魔化すように、目を見開いた紗和村から顔を背ける。

「お前、俺と会ってから初めて敬語っぽいの崩れたな!」「そういうのいいですから!」

(ほんと…何が言いたいんだか分からない。紗和村さんはいつもそう…)

「そういえば、結構大声出してるけど家族は?」

「今は居ませんよ…お母さんとおばあちゃんは買い物で、弟は友達と公園に遊び行ってます。」

「そーか…お前は何してたの?」

「?ぼーっとしてました。」

「俺はな、一応縁野に伝えようとしたんだぜ?でも、来年お前が卒業するときそれじゃ寂しいだろ。」

「どういう意味ですか?」

「お前が面倒くさがりなのは知ってるけどさ、縁野に、他の代表委員の面倒が見られると思うか?」

「……」

 肯とも否とも言えず、黙り込む。

「それで、お前が手伝うっつっても自分の問題だからって口も出させてくれないぜ、きっと。それって寂しくないか?最後くらい一緒に頑張って準備して、本番だけ黙って任せてあげられたら、それで良いじゃねーか。ほったらかすんじゃなくてさ。縁野一人にやらせたらどうなるか心配しか無え。」

 紗和村はそこで一旦言葉を止めて静かに笑った。

「それは…」

「それにお前は一度負わされた責任途中で放り出したりしないの知ってるし。出来るくせにやる気出さない勿体無い奴だし?」

「紗和村さん。…何が言いたいんですか。」

 紗和村は資料を片手に差し出した。


「やってくれるな、相良委員長。」


 頷いて資料を受け取る。

「…気が早いですよ、紗和村さん。」


「お前は素直さが足りねーな!」

「馬鹿にしてるんですか?」

「いやいやいや…」


 この時期、もう冬も終わりかと思っていたが。いつの間にか降り出していた雪の為に傘を貸して送り出すと、紗和村が玄関の扉を開けたところで慌てて走ってきた六が家の中に滑り込む。

「あれ?姉さんのカレシ?」

「違うよ。弟くん。」

 紗和村はそう言い残してさっさと歩いて行った。

「弟くんじゃねーぞ!六だぞ!」

 六がそう叫んだのももうきっと聞こえない。

「それよりどうしたの?六早かったね。」

「雪降ってきたからなー止めになった。」

「そう…」

 靴を脱ぎながら答える六の髪からそーっとかかっていた雪を払う。

 曇った窓を拭きながら外を覗いてみると、降り出した雪が地面に当たっては溶けていた。

 このまま降り続けなければ積もることもないだろう。

「姉さんなんか食べたい!」

「お腹空いたの?」

「おかし食べたい。」

「今日はなんか食べた?」

「まだ」

「じゃあ少しにしときな、夜ご飯はちゃんと食べてね。」

「うん!」

 頷いて六はさっさとキッチンに消えて行った。


 私がこの世界で、敬語を使わずにいられるのは自分に対してと六に対してだけだ。

 他の人には、意識しなくても敬語じゃない言葉が出てこない。なんでだろう。



 二月中旬。何度も経験している癖になんだか真っさらな気持ちになる季節だ。

「相良さん、役割決めた?」

「あ、すみません…まだです。」

 放課後の廊下を歩いていると、声がかかって立ち止まった。

 六年生を送る会。

 この季節の代表行事で、六年生に知り合いがいる人にとっては大事な行事だ。そう、私みたいな。

(知り合いだけど、そこまでじゃないし。一応尊敬してるから、ちゃんと送り出してあげたいなとは思うけど…)

「相良さん、もしかして代表委員でも仕事ある?」

 そう言って再び顔を覗き込んでくるのはクラスメイトの吉澤成姫。(←こんな漢字だが男子だ。)

「…あります。委員長が六年で準備に参加できないので今忙しいんですよ」

「そっか…じゃあ出し物の役割は勝手に決めておくから、代表委員の仕事頑張って。」

「はーい…」

「それじゃ。」

 吉澤は今まで私を追って歩いていた廊下から外れて頰を膨らませた女子の友達の所へ急いて向かった。 と、途中で窓ガラスを見ながら髪型を軽く整える。待っている女子(あれは川原亜由ちゃんだ)の頰がどんどん膨らんでいく。

(ナルシだな…)

 私がそう思った瞬間だった。


「いいか?これからは相良に仕切ってもらうからな。質問がある奴は相良にしろ。俺は参加できなくなるからな。卒業式の練習とかで。」

 放課後の会議室。端の机にランドセルが四つ、バラバラに置かれている。

 すっと伸ばされた手に紗和村が対応した。

「紗和村…委員長。俺は何をやればいい」

「そういうことは相良に聞いてくれって言ったんだ。ほら、相良。」

 紗和村に背中を押されて、横に立っていた私は仕方なく口を開いた。

「…六年生を送る会の司会進行をお願いします。」

「俺が全部?」

「はい」

「おい相良!?」

 私の頷きに紗和村が慌てて口を挟む。

「菅野さんは今まできちんと行事に参加していなかったので。」

「だからって言って。お前と縁野だって居るのに…」

「黙っていてください紗和村さん。菅野さんだって何もできない人じゃないんです。今まできちんと出来なかった分ちゃんと見せてもらいたいんです。私がそう考えたので、そうして下さい。私と由加里ちゃんは他の仕事に専念できるし役割分担に悩まなくていいから一石二鳥じゃないですか。」

 私は、言おうと考えていたことをはっきりと口にする。

「相良お前な…」

「それで良い。俺がやる。」

 紗和村が文句ありげに口を挟むが、納得した様子の菅野にすぐ遮られた。

「良いのか?菅野。」

「…最後くらいは。」

「そうか。」

 紗和村がやっと納得したところで、今まで黙っていた由加里が声をあげた。

「あのー、美和ちゃん、私は?」

「えーと…」

 用意していた資料をパラパラとめくり、紙を数枚取り出して見せた。

「六年生紹介を私と分担してやって下さい。それと、始めの言葉を。」

「は、始めの言葉ですか?」

 始めの言葉用の原稿用紙と先生が作ってくれた見本を渡す。

「内容を考えるのは一緒にやりましょう、ただ、その後覚えて言ってもらうのはお願いします。」

「頑張ります…」

 由加里はあからさまに面倒くさそうな顔をして答えた。

「とにかく、頑張りましょう!紗和村さんの最後の一年ですから。」

「あぁ…」「はぁい!」

 菅野と由加里の返事を聞いて、私は満足気に頷く。

「任せて下さい…先輩。」

「任せたぞ〜!」

 紗和村はなんだかとても嬉しそうに、ところどころ色が剥げたランドセルを片肩に背負って会議室を出て行った。

(やるからには…しっかりやらないと。紗和村さんの為にも)

 私は心の中で密かに意思を固めた。


「…何ですかこれ。」

「司会の台本だけど」

 全く意味がわからない。

「菅野さんあの…あなたにお願いしたのは六年生を送る会の司会ですよ?」

「そうだな。」

「これは?」

「六年生を送る会の台本。」

 あちゃー、と頭を抱える。

(そういえば、菅野さんってあんまり学校来てなかったんだっけ。…知らないかー)

「?」

「えーと…今日の放課後空いてますか?私と作り直しましょう。」

「何なんだよ。任せるとか言っといて…」

 私の言葉を聞くと、菅野は誰に言うでもなく顔を背けて呟く。

「あ……あの、菅野さん待っ、」

 待ってください、と言おうとした。

 休み時間の廊下にばたばたという足音が響き、菅野は走り去っていった。

 ぐしゃ、と握った司会原稿を、私に押し付けて。

「菅野、さん……?」

 ただ呆然と何が起こったのか整理しようとする頭が、酷く熱かった。


「美和ちゃん、どうかしたんですか?」

 会議室が先生たちの仕事で空いていないため、今日は由加里が五年の教室に来ている。ちなみに、放課後なので教室も廊下も他に人はいない。

 私は由加里に首を振って返事を濁した後、手元に目を移して問いかけた。

「……それより、由加里ちゃんの方はできたんですか?」

「っ、ああ、できました!」

 差し出された原稿に軽く目を通して、出かけたダメ出しの言葉を慌てて飲み込む。

「いいと思いますよ、ただ、『これから六年生を送る会を始めます』は、一番最初にした方がいいかと…」

 ついつい菅野のことを思い出し、説明しながら由加里の顔を盗み見ると、由加里は「うんうん」と頷いてにっこり笑った。

「わかりました!じゃあ直します!」

 そう言って新しい原稿に直したものを丁寧に写していく。

 しばらくその様子を眺めていた私は、由加里が

 顔を上げると慌てて自分の仕事に戻った。


「あのーできましたけどこれでいいですか?」

「いいですよ。一回先生に確認してから暗記頑張ってくださいね、由加里ちゃん。」

 少し安心して微笑むと、反対に由加里はハッと顔を青ざめて「暗記すんですか…」とほぼ声を出さないで呟いた。

「由加里ちゃん、うわっ…」

 何かと言うといきなり原稿を握りつぶして由加里が飛びついて来たのだ。

「美和ちゃん!私暗記無理なんですけど!暗記だけは絶対できませんけど!無理です!無理無理!どうにかなりませんか!?」

「どうにかっ、て…なりませんけど。」

 一瞬経って、自分の言葉に苦笑いを浮かべる。

「最悪は見てでもいいですから、頑張ってみてください。由加里ちゃんならできますよ。」

「…頑張りますー」

 最後に大きなため息を残して、由加里は原稿を先生に見せるために教室を出て行った。

 そしてこう見えて私は。

(由加里ちゃんにそんな弱点があったとは…)

 軽くショックを受けていた。

「あ、やば」

(少しクラクラする…)


「じゃあ相良」

「はい」

 無意味だ。

 席を立って黒板に向かって歩く。

 教卓で偉そうに話す先生はしっかりとカンニングペーパー(教科書)を抱えて、意味のない説明を繰り返す。

「えーとー、よし、12だな。正解だ。」

(自分で解いて確認したらどうですか)

 教科書の答えと照らし合わせた先生が偉そうに頷いた。

 そして、当たり前のように

「戻っていいぞ」

 と感情のない笑顔を向ける。

 私の手から零れた白いチョークが教室の床に当たって砕けた。

「…すみません」

「あー、悪いけど拾えない分は後で掃除しといて貰えるか」

「ええ…」

 やる気があるんだか無いんだか。

 割と静かに授業を受ける。

 その殆どは別のことで頭を埋め尽くし、きちんと聴けた説明は半分程だった。

「なんだろ」

(今日の私はなんか変だ)


 たったったっと、機嫌の良い足音が聞こえた。

「ゆーきー!」

「おう」

 由加里は握りしめた鞄の紐を離して数メートル先の結喜に気づくと大きく手を振った。

「遅いな。」

「ごめんちょっと、やる事があって。」

「やること?」

 結喜は進みながら答えた。

「始めの言葉覚えなきゃいけないんだ。私暗記とかほんともー…」

「でも、まだ先じゃね?何焦ってんの」

「焦ってない。ただ、美和ちゃんにいいとこ見せたいし。」

「なんだそれ」

 若干笑って結喜は由加里の頭に手を置いた。

「なに」

「べっつにー」

 よっし。と拳を握って由加里は走り出す。

「はしゃぐぞー!」

「待てって。他の奴らもう入ってるから電話する」

「…はいはい」

 2月23日金曜日。

 柿菅小の創立記念日である。

 由加里は結喜や江里、幸太達と遊園地に行く約束をしていたのだ。

「うん…じゃあ今から行くから。ーーよし、行くか。」

 結喜の腕時計が十時半を指した時だった。

「で、覚えられたの?」

「ん、勿論!」

 ちなみに約束の時間は朝の十時だった。


 1日前。

「…行ってきます」

 私は誰もいない家にそう告げて鍵をかけた。

(そうだ、由加里ちゃん覚えられたかな…って、焦るからダメなんだ私は。)

 さっさと行こうと、私の歩きは自然と早足になった。


「すみませーん」

 菅野と書かれた表札に、ぽたりと落ちた水滴を見つめる。

(雨?…そういえば)

 前回訪ねた時も降っていたなと、私はどんよりと曇った空を見上げた。

「降ってきたらどうしよう。」

「…なに」

 声のする方に顔を向けると、菅野津鶴(※不登校)が控えめに開いたドアから顔を出していた。

「あ…あの、司会の原稿あれでいいですから、その、やってくれないと」

「やってくれないと何?」

 間。

「俺はやろうとしてたんだよ!最初からあからさまに馬鹿をみなくてもいいだろ、どーせ出来ないって思ってたんだろ!」

「菅野さん、」

「帰れよ…俺には関係ねえ。」

 菅野が思い切り開け放したドアが限界まで開いて静かに止まった。


「すみません、でした。」


 足が動かない。

 なんで、あんなこと言っちゃったんだろ。

 もう何がしたいのか、解んないよ…。

(雨…)

 サー、と降り出した二月の雨は雪になることもなく、私に降り注いだ。


 頭が熱い…、相変わらず怠い。掛け布団が熱い、けど気温は死ぬほど寒い……。手が凍りそう、っていうか熱い。湯気でてるみたい…。

 っていうか全身軽く火照ってるんだが。

 なんだかはっきりしない視界に映った時計が正午を指して小さな音色が微かに耳に入った。

「…昼?」

 昨日は確か木曜日だった筈。

「学校じゃん!」

「うぉっっ、、」

 ?

「っくりしたぁ〜…」

「っっ、、!紗和村さん、なんで」

 私が我に返って目の前で腰を抜かす人物に気づくと。

「安心しろ、今日は創立記念日で休みだ」

「…そ、か。」

「頑張ってんな、あいつら。」

「…」

「いやー、急に大役押し付けて悪かったな。復活するまで今までどーり俺があいつらの面倒見れるから、心配するなよ。」

 紗和村はゆっくりと腰を上げて、私の部屋を出て行った。

「紗和村さん、私、」

(私、本当にできるの…かな。紗和村さんに頼まれて出来た気になってただけじゃない。実際菅野さんの気力を削いで、由加里ちゃんに無理矢理出来ないこと押し付けて。あなたならできる?なんて。自分に言ってよ!何一つ満足いってなくて、紗和村さんに心配させて、……使い物になってないのは私の方だ。)

 冷え込んだ二月の空気は、ほっとすることを赦してくれない気がした。

「はぁ…」


「いよいよ来週となった訳だが…どうだ?」

「……」

「あー…縁野。その、二人はどうした。」

 お馴染みの会議室。集まったのはいつ以来かの委員長と由加里の二人だけ。

「菅野先輩は気力がなくて、美和ちゃんは体力がないみたいでーす」


「…相良あんのやろー!!!」


「い、委員長?」

「縁野、お前なんか機嫌いいな。」

「はい!だって美和ちゃんが私を頼ってくれたから。」

「頼った?」

「昨日、電話で…」


『美和ちゃん、珍しいですね、どうしたんですか?』

『すみません、私上手くまとめられなくて。』

『え!?いやいや、私なんかよりはずっと。』

『そうじゃなくて、菅野さんとか。』

『…いいえ。忘れたんですか?紗和村委員長のときもずっと来てなかった菅野先輩が来るようになったの、美和ちゃんのお陰じゃないですか。』

『それは…由加里ちゃん達が』

『細かいことはいいんです。私は、美和ちゃん頑張ってるの知ってますから!」

『…じゃあ、頼むけど、構いませんか?』

「頼む?」

『はい、いいですか?』

「え、ええ!もちろん!」

『ーーーー…


 紗和村は未だにやにやと笑みを浮かべる由加里を前にして、軽くため息を吐いた。

「相良がねぇ…」

 委員長、と由加里が紗和村の肩を叩く。

「?」

「頼ってもらうことってやっぱり嬉しいですよ。…歳上でも、小さい子でも、親でも、先生でも…。紗和村委員長ならわかりますよね?」

(頼って欲しくて、でも後輩の成長を邪魔したくはなくて、どのくらい口を出していいものか悩んでいるんでしょ?)

 由加里は微笑む。

「お前、本当に大人だな縁野」

 紗和村は『頼れる委員長』の顔をして力なく笑った。



(どうしろって言うんだよ)

 確かに嬉しかったのだ。

 ーー菅野さんだって何もできない人じゃないんです。

 できるって思ってもらえて、サボってばかりの委員会で仕事をもらえて。

 菅野は、会議室のドアに背を預け、静かに二人の話を聞いていた。

 素直に、誰からも頼られる由加里が羨ましいと思う自分がいた。

(俺だってできるのに)

 ほんの少し前まで放棄していた全てに今は憧れている。

 なりたくてなったわけじゃない代表委員でも。

 ーー私だってなりたくてじゃないですよ…

 そんな言葉を思い出した。

(今さらやりたいなんて言えるかよ。)

 菅野はそっと会議室を後にした。



「じゃあ、私はこれで。」

「ああ、俺も何か考えておく。」

 由加里が会議室のドアを開くと立ち去る人影がちらっとその目に映り込んだ。

 ドアを閉めながら考える。

 もしかして。

(…菅野先輩?)


「って…おい!何あっさり帰ろうとしてんだよ、縁野!まだ何もやってねーだろうが、聞こえてんのか?縁野!おい!」

 焦る紗和村の前で会議室のドアが勢いよく閉められた。



「じゃあ合奏の練習してから、その後出し物を一回入場からやってみよう。」

 六年生を送る会、出し物の練習である。

 キーボードに指を合わせて楽譜を確認した。

 正直、なんとも思わない出し物だけど、形だけでも卒業を祝っておきたい。

(面と向かって言う自信ないし)

「じゃあ最初からね。」

 この行事でかなり中心的に仕切っていた藍原かなちゃんが声を上げると同時に指揮者が腕を振る。

 威風堂々。卒業式でも演奏する曲で、台詞を言う何人かはは、四小節演奏した後、合奏から抜けて卒業生に感謝を述べる、と言うことになっている。

 私はもちろん台詞なしで、ずっとキーボードだ。他にもたくさんやることはあったが、これが一番楽だと思った。

 が、正直上手く行く気がしていない。

(大丈夫かな…)

 こんなにボロボロで。

 練習中の楽器の雑音。よそ見する指揮者。呑気に笑ってみている仕切り役(藍原かな)。飽きて携帯をいじる担任。それを見てなお、何も口を出さない代表委員(→自分)。

 私はうっすらと苦笑いを浮かべた。

 もともと団結力も何もないクラスだったけど、私が代表委員で本当に良かった。

(頑張らなくちゃ、紗和村さんがいなくなっても大丈夫だと思えるくらいには。)

「…ちょっと皆さん!」

 だいぶ静かになった空間でもう一声。

「皆さん来年は最上級生なんですよーーー

(私が、やらなきゃ!)



「相良。」

 急に聞こえてきた声にびくっと体を震わせる。

(誰…)

「菅野さん。」

 切ったばかりの黒髪がドアを開けた瞬間に風に煽られ顔にかかった。

「…どうしたんですか?」

「何で若干驚いてんだよ」

 そりゃそうだ。

 って、驚かない方がおかしいでしょ!

「なんですか。」

「教えてくれ。」

(!?)

「え、と、話が見えないんですけど」

「入れろ!」

 菅野が私の家の戸を押し開けて中に入ろうとしている。

「え、え、ちょ、説明!」

「説明ーー!」


 Tシャツ一枚に薄手のパーカー、それにいつも通りの半ズボン。

(それでよく寒くないな…。)

 対する私は部屋の中にも関わらず厚着も厚着だ。

(でもやっぱり寒い)


 ーー菅野から伝えられたことは、予想外過ぎて泣けてしまいそうだった。

 まだちゃんと謝れてもいないのに。

「あのさ、…頼られるのは嬉しい。から、俺も頼る。俺はできない。から、お前が作った台本でもいい。から、俺に、司会を…やらせてくれ、下さい。」

(私は情けない先輩だなぁ…)

 気持ちの落ち着かない顔で、菅野はそれでも一心に言ってくれた。

「…そう」

(結局思うことは同じなのよね。できるって信じたかったけど、頑張ってもいい顔をされなくて。でも頼られたくて、迷惑をかけたくなくて、そして何より、認めてもらいたくて。)

「期待…してますよ。菅野さんの台本。」

「相良、じゃあ…」

「いきなり馬鹿にするみたいな言い方をしてすみませんでした。初めはできなくて当然なのに、ちゃんと教えないで押し付けた私が悪かったですよね、プレッシャーを与えるつもりは無いですけど、できるって信じてますから、わからないことは聞いてください。」

 そう言うと、菅野は今までにない年相応の安心した顔をして、

「やる。やるから、教えてくれ!」

 と意気込んで目を輝かせた。

(素直にしてれば可愛いのに。)


 ーーお前は素直さが足りねーな!

(そう、なのかな?)


 三月に入ってもまだまだ肌寒く上着は手放せない。

 ただ少し光が見えてきた。

 いろんな意味で。

「それでは今年最後の委員会を始めるー!お、今日は全員いるな。」

 紗和村は会議室に集まった三人を見渡して満足気に笑った。

「で、相良はなんでさっきからそっぽ向いてんの?」

(…まだ実感わかないな。紗和村さんが居なくなるなんて)

 私は咄嗟に前を向き直して呟くように言う。

「……別に。なんでもないです」

「とにかく、泣いても笑っても今日で最後だ。いよいよ明日は六年生を送る会なんだし、今日は仕上げだ。思い残すことないように、な!」

 じゃ、任せた。とでも言うように私に視線を投げると紗和村さんは大きく背伸びをしてから席に着いた。

「紗和村…委員長。これ言わなきゃ駄目か。」

「ん?…もちろんダーメ!そこが実力の見せ所だろ。上手いこと言って学校中を感動させてやれ。」

「はぁ、、」

 紗和村の相変わらず為になるのかならないのかわからないアドバイスを受けて、菅野が無感情な肯定を返す。

「それよりさぁ、紗和村委員長が居なくなる実感が全く無いですよ私。りゅうねん?とかあったらいいのに。」

「おいおい縁野!俺を留年生にする気かよ。」

 本当にこの人が居なくなった代表委員会が想像できない。ちゃんと委員会として成り立つのだろうか。

 私が委員長をやるのだろうか。

 できるのだろうか。

 私は、この人達を、まとめられるの?

「おい相良!またなんかぐるぐるしてるだろ。」

「え?」

「俺が選んだんだから大丈夫だ!自信を持て!」

(デタラメな理由に笑いたくなってしまう。でも暖かい気分になるのは紗和村さんだからなのかな?)

「そんなの、なんの保障にもならないですよ…うれしい、ですけど。」

「お!今若干デレたよな?」

「殴りますよ?」

「すみませ〜ん」

 由加里や菅野が笑い出すと、自分も当たり前にこの空気に溶け込んでいることに気づいた。

 私は、誰にも気づかれないようにそっと口元を緩ませた。


 そして六年生を送る会当日。

 体育館に集まる全校生徒を前に。続いて舞台の雛壇に立つ卒業生に。由加里はマイク越しにすらすらと言葉をつなげていく。

「これから、六年生を送る会を始めます。一年生から五年生は、出し物に心を込めて、六年生に精一杯感謝の気持ちを伝えましょう。卒業生の皆さん、少し早いですが、卒業おめでとうございます。皆さん頑張って準備したので、楽しんでいってください。」

(おお、やるじゃん)

 由加里の始めの言葉に感動したのもつかの間。

「ぁぁぁぁぁあああ…美和ちゃん、必死に言葉絞り出してたら、精神的に死にそうだよ…」

 戻ってきた由加里がすごい形相で喚き始めた。

「由加里ちゃん、良かったですよ!」

 呆れ半分感心半分。

「…ありがと。美和ちゃん。」

(頑張ってくれたんだね)

 由加里はほっとして力が抜けたのか大きくため息を吐いてほんのり笑みを浮かべた。


 各学年の出し物は、概ね成功と言っていいだろう。


 問題があるとすれば、一学年終わるごとにコメントを言うはずの菅野が固まって止まって助けに行こうとする紗和村を必死に遠くからなだめながら由加里とともに助け舟を出すという事態があった事くらいだ。


 五年の発表も無事終わり、にやにやと視線を送る紗和村を無視しながら、最後に六年生の発表と、代表委員の引き継ぎがある。


「はぁー…」

「どうしたんですか、美和ちゃん。」

 司会席でプログラムに目を通していた私を覗き込んで由加里が声をかける。

「ねえ、本当に私でいいんですか?受け取るの。由加里ちゃんがやるなら」

「いいんです!美和ちゃんが委員長やるって、言ってたじゃないですか。」

「…そうですね」


『続いて、六年生の発表、です。六年生の皆さんお願いします。』

 だいぶ慣れてきた司会に菅野のやる気を感じる。

 というか、さすがというかなんというか。

(すごい)

 六年生の発表は合唱だった。いい声で、綺麗な声で、あるいは私だけかもしれないが。追いつけないなと思ってしまう。

「すごいですね!」

「はい、とても。」

「私も六年生になったら、すごいって言ってもらえる先輩になるんです」

 ◇◯◇◯◇◯◇◯

「なれますよ…由加里ちゃんなら」


「今まで、いろんなことを経験できて楽しかったです。これからは、皆さんで柿菅小を引っ張って行ってください。」

 そう言って渡された校旗は、すごく重かった。最後にいつもの憎めないような笑みを浮かべて紗和村は一歩下がる。

「え、と…今まで、ありがとうございました。何度も何度も、助けていただいてありがとうございました。こんな私たちでも、力を否定せずに伸ばしてくれてありがとうございます。紗和村さんには及ばないかもしれませんが、これからは私たちが協力してよりよい学校を作っていきます。本当に、」

「「「ありがとうございました!」」」

 なんの打ち合わせもなく同時に向けた感謝は、紗和村にとってもなにか思うことがあるようで。

「…お前らなっ、、」

(嬉しいなちくしょう!)

 とっても嬉しそうで安心した。


 そしてそれだけでは終わらない。

「もうすぐ卒業式だなー。」

「実感ないですね。」

「紗和村委員長なんでここにいるんですか?」

「あのー、遅れてすいません」

「「ああ」」

 何もやる気が起きない三月下旬。

 なんの用もなく会議室に集まる四人。

「別に委員会ないから遅れじゃないですけど」

「そう言いながら由加里ちゃんもきてるじゃないですか」

「んー…」

 なんだろうね、と顔を見合わせる。

 宿題を広げて、本を読んで、駄弁って。

 好き勝手過ごしているだけなのに安心できる空間。

 私はここを守っていけるだろうか。


 とても強い心を知っていた。ずっと見上げていたいと思うほど尊敬できる人がいた。

 同じように、私をすごいと言ってくれる人がいて、私を必要とする人がいてくれた。

 失くしたくないかけがえのない日々があって、その日常が変わる瞬間を知っていた。

「卒業生が入場します。大きな拍手でお迎えください。」

 早くも溜め込んだ感情が溢れ出しそうだった。

 なにも呑み込めないまま次々と来賓祝辞のお話が通り過ぎていく。

 卒業式は原則五年生だけが在校生代表として参加する。

 副校長先生が「門出の言葉」と言い、卒業生が一斉に起立した瞬間だった。

 突然バンと開いた体育館の扉に、教師含めこの場にいる全員が振り向いた。

(はぁ…?)

「え、あ、あの。少しいいすか…」

「菅野さん…」

 良いわけないだろと眉間にしわを寄せる先生に菅野が手を振り後ずさる。

「相良さん?」

 隣の女子が私の動きに気づいて不審な声を漏らすのも気にせず、そっと立ち上がって、副校長先生のいる司会用のマイク台へ向かった。

「すみません、お借りします。」

「え、えーと、相良さん?」

『お騒がせして申し訳ありません。門出の言葉の前に、本校の代表委員からも卒業生に祝辞を。構いませんよね?先生方。』

 こればかりは首を縦に振ってくれないとこまる。

 威圧も含めてそう言い切った。

 菅野を帰そうとしていた先生も動きを止めてこちらをうかがっていた。

『菅野津鶴さん、やりますか?』

「ああ!っ、はい!」

 菅野が駆け出す。

(まさか卒業式に来るとはね…)

「あ、あの、相良さん?」

「はい?」

「どういうことですか?」

「さあ、でもとってもわくわくするんです。」

「はぁ……」

(すみません副校長先生。ただの私のわがままです)


 舞台に立った一人立った菅野は渡されたマイクを握りしめて一礼。

 たちまち体育館に静けさがもどる。

 菅野はそっと持っていた紙を広げて声を発した。

『俺は、あ、いや、僕は、じゃなくて。……

 …卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。そして、六年間お疲れ様でした。やる時はきちんとけじめをつけて真っ直ぐ取り組めて、でも休み時間なんかは僕より子供っぽくて、ふざけて、友達と笑いあっていて。そんな、皆さんは、とってもかっこよかったです。いつも真面目にするだけじゃなくて、休むときは休んで、遊ぶときは遊ぶことができる人のほうが伸び伸び成長できるので、僕みたいに捻じ曲がらないで六年生の皆さんはいつも生き生きしてました。僕はこの場を借りて、心からお礼を言いたい人がいます。…紗和村、委員長。不登校で、やる気の一つもなくて、なに一つ期待に応えられなかったはずなのに、ようやくかろうじて参加し始めたときに、いつも「お前ならできる」とか、「お前がいて助かった」とか、言ってくれて、実は…すごく嬉しかったです。いつも無愛想ですいません、でした。ほかの委員と変わらず接してくれて、なんでも喜んで教えてくれてありがとうございました。自分の仕事も大変なはずなのに、仕事の遅い俺でもちゃんと役割をくれて、不十分でも、「よくやったな」って褒めてくれて。…いつも尊敬してました。宿題が進まなくて先生に注意される事はあっても、委員会の仕事が進んでなくて紗和村委員長に注意されたことはありません。一人で出来ないことは、委員会のみんなで話し合って、わからないことがあってもすぐに駆けつけて教えてくれて。「六年だから卒業する前にできることはやる」って言っていたときに、この人はすごいと、改めて思いました。

 出来ない人を馬鹿にしないで、同じところに立って同じことを目指して、きちんと進み方をおしえてくれる。そんな先輩に、俺もなりたいと思いました。誰かを特別扱いすることもなく、何もかも平等にみんなをまとめて引っ張っていく。簡単にできることじゃないと思います。でも、それをやれる人だから、誰かに尊敬してもらえるんだと思います。普段はふざけたお調子者でも良いんです。やるときにやって、誰かがありがたいと思えたなら、それは幸せなことだと思います。俺は紗和村委員長の話をしましたが、彼だけじゃないでしょう。困っている後輩を助けたり、下級生と一緒に遊んでいる六年生がいたのも俺は知ってます。人を認めて、自分の持つものを与えてあげる。先を行くものとして、自分を見本とする後輩の面倒を見て、きちんと伸ばしてあげられる。卒業生の皆さんには、中学校に入学しても、そういう存在であってほしいと僕は思います。あまり関わりはない人が多いですが、いつも頼りになる六年生が僕は大好きでした。今まで、本当にありがとうございました!四年一組代表委員、菅野津鶴。』

 私が始めた拍手が、広がって菅野の立つ舞台に降り注ぐ。

(話すの上手くなったじゃん)

 ただ、溢れる涙で歪んでしまって上手く前を見れなかった。

 次は門出の言葉、のはずだが、卒業生のほとんどは既に涙で顔がすごいことになっていた。


「ふぅ…なんとか終わったな。お前菅野!泣かせるなよ。ピンチだったぞ門出の言葉!」

 紗和村は見慣れない正装で、羽織っている黒いジャケットがやけに様になっていた。

「…どうしようかと思いました。」

「あ、ありがと、ございました。さっき。」

 菅野が私に軽く頭を下げる。

「ええ、菅野さんの話が聞けてよかったです。」

「お前、俺の中学来いよ、それで俺の卒業式また同じ話してくれ。あれ程心に響くものは無いわ、マジで。」

「…どーも」

 とそのとき。

「あー!いたいた」

「由加里ちゃん。」

 校門から走ってきた由加里が息を切らして私の肩に手を置く。

「そろそろ卒業式終わるかなと思って覗きにきました。紗和村委員長、あ、委員長じゃないんだっけ。まあいいや、紗和村にも会っておきたかったし。」

「おい呼び捨てかよ!」

「卒業おめでとうございます。今までどうもありがとうございました、本当に。」

 いきなり頭を下げた由加里に一瞬たじろいだ元委員長は、「頑張れ」と後輩の頭を撫でて卒業生の輪の中に入っていった。

「紗和村…」

「負けない、とは言えませんね。あの人相手だとなかなか。」

「相良は優しくすることを覚えたほうがいい」

(あーそうですか、菅野さん)

「わかりましたよ!努力します!」


 ようやく桜の季節になった。これからは頼れる「委員長」はいないから、私が私なりに頑張らないといけない、けど、できそうな気がする。

 だって、あの紗和村水樹が選んだんだから。


 小学六年生の春。

 私は相良美和。代表委員長を務めている。

 今度紗和村さんに会ったら、今度の新しい代表委員会の話をしよう。

 きっと笑って聞いてくれる。

「やっぱり相良はすごいな」と言って。


 《おしまい》


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