3. 記憶喪失
コンコン
来たな。
今回は流石にノックしてきた。
「あー、もう入っていいか?」
普通に返事していいのかな…まあいいか。
「…どうぞ。」
ガチャ
「おう、邪魔するぜ。つっても俺の家だけどな!ハハ…」
「……」
「あー、さっきはすまなかったな。お前さんはまだ寝てると思ってたもんでよ…」
「…いえ、大丈夫です。」
「そ、そうか。もう起きて平気なのか?見た所怪我とかは無さそうだったから、大丈夫だとは思うが。」
「はい、問題はないと思います。」
んー、話してる感じ見知った仲ではなさそうかな。
「そうか。なら起きて早速で悪いんだが、お前さんなんであんなとこで倒れてたんだ?」
「…あんな所?」
「覚えてないのか?」
「はい…えと、実はなにも覚えてなくて…すみません。」
大方倒れてた所を拾われたって感じかな。
まあこの流れで記憶喪失を装っとけば、自然と情報を得られるだろう。何かと都合いいしな。
「記憶がないのか?そいつはまた大変だな…。自分の名前とかもか?」
「分かりません…」
「…そうか。ちなみに俺はモルガンってんだ。この辺の森で薬草を摘みに行ってたんだが、森の奥でお前さんが倒れてたのを見つけたもんで、ここまで運んで来たんだぜ。あのままじゃ魔物の餌になってただろうからな。」
モルガン…てことはモっさんでいいな。覚え直さなくてよかった。
いやそんな事より、魔物だと?この世界はそんな奴らが居るのか。こりゃまたファンタジーな世界観だな。