クルミ割り人形
とにかく包んだ。
終わりのないくるみとチョコチップのシロップ漬け地獄と戦った。
わたしはこの全てのシロップ漬けを包み終わるまで解放されない。
カラカラ~
手がボールの底に当たった!!
終わりだ!そう思ったその時、現れた。
リス!
シロップ漬けの中からリスが現れた。
「わたしのくるみを残しておいてください。」
"おいおいやめてよ~。"
確かにここらじゅうに現れる害虫はたらふくごはんを食べて最期の時を迎えるけど…
そりゃみんな見たって言うよ。油と熱のそばにいっぱいいたって。
でもここにはありがたいことに哺乳類の困ったやつはでないんだよ。
「少しでいいんです。味見をさせてください。」
またリスが言った。「不良品はありませんか」
わたしはリスに聞き返した。
「何をもってして不良品と言うか?形が悪いからか?苦いからか?…
商品価値の無いものを不良品と言うのだぞ、リスさん。」
むむ!つまらぬ時間をとってしまった。リスごときに構ってしまうなんて…
リスは小首をかしげて言った。
「わたしは客観的視点をもち商品価値を判断します。ちゃんと板切れに書いておきますよ。
"損失クルミひとつ"と。」うむ!一緒に食べようか!!
リスさん、これ意外とおいしかったんだね。こりゃ売れるよ。
さあ、次の仕事に取り掛かろうかな。りすさんありがとう。