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4話

紙の効果が切れて、彼らは逃げる。

魔物たちから。

丁度休憩を終えて、魔物がいるところを堂々と歩いていたところだった。

紙の効果が切れたようで、襲われる。

時間を測るものもなく、森の中は薄暗いままで時間感覚なんかつかめやしない。

ただ、いつもより効果が切れるのが、早いということは三人が共感したことだった。

時間を測ることができないため定かではないが、三人とも同じ意見だったのだから間違いないだろう。

「三人ともそのまま前見て走っててよ。」

オーリアは懐から紙を出した。

紙にかかれた丸の中にいろんな記号みたいなものが書かれている。

きっと、文字なのだろう。

読むことは難しそうだ。

彼女が紙を持っている手を後ろへ向けると強い光が発生した。

魔物たちはその強い光にやられていく。

「一枚しかない貴重なものよ。一掃できたみたいでよかった。」

しかし、それもその場しのぎで後ろ、前、横からも次々と出てきた。

安心している暇はないと緩めた気を引き締めた。

前門の虎後門の狼どころじゃない。

四方八方、魔物だらけだ。

後ろにいた魔物は消えたが、また現れたようで……。

一掃できたと思ったらまた現れるなんて酷いだろう。

そんなことを考えている場合ではない。

少女を中心に置いて、少女を守るように囲む。

「省エネなんて言っている場合じゃねぇ。だけど、後のことも考えたい。」

「それなら三人の中で一人が呪文を使うことが有効な手段。」

「この中だったら、メルフィトが使うのがよさそうね。」

魔物を退治しながら、話す三人。

結論は以外にも早かった。

いや、こんな時だからこそ早めの回答が必要なのであろう。

「早めにやれよ。」

「えっと、メルフィトさん。頑張ってください。」

「メル、なるべく早くね。」

三人の言葉に頷き、彼は目をつぶった。

詠唱の間は彼も守らなければいけない。

だから、キツイものもあるが、全員が呪文を使う訳にはいかない。

だから、彼を急かしたのだ。

「強く輝く光よ。(いかずち)よ。我ら仲間を守り、敵を排除しろ……。我は許す。仲間を守るために、仲間を傷つけない(かみなり)が落ちることを……。邪の者に制裁を……。我はお前を操るもの。雷よ。仲間を傷つけようとする輩に落ちて、敵の身を焼くことを許そう。天よ、落とせ。災いのもとに……。」

ゆっくり長い詠唱が終わったときに落ち始めた雷。

光の刃。

魔物の身は焼かれていく。

全ての魔物がいなくなった時、メルフィトは膝をつき、呼吸を整えていた。

オーリアとレグリズは彼のもとへ行き、声をかけていたために気づかなかった。

少女が震えていたことに……。

彼らは気づかなかった。


メルフィトが強い力を使ったためにご飯を食べる。

その間に残った二人は、周りを警戒していた。

彼が力を使ったためにしばらくは心配ないだろうが、確認を怠らないようにすることは大事だ。

少女も休ませておく。

走ったために疲れているだろうし、精神面で追い詰められただろうから。

あんな魔物の近くにいて襲われることになったのだから。

その優しさを気配を消した時に発揮できていない時点で意味がないと思うのはおかしいことだろうか。

少女は力をもってはいないために彼らの邪魔をしないことが唯一のできること。

足手まといがこれ以上足手まといになったら困るから優しくしたのか。

謎だ。

泣いていた少女もいつの間にか泣き止み、魔物に囲まれることには泣かなかった。

彼らに置いて行かれたと思って泣いただけ。

普通ならどちらのことでも泣くだろうけれど、少女は魔物には涙を流さなかったから不思議だ。

ミストの近くにいたことで慣れていたからだろうか。

少女のことに疑問は尽きないがあとにしよう。


食料も思うほど無くなってはいない。

一日しかもたないだろうと思われていた食料があと四日分は残っている。

気配を消したのと力を少ししか使わないようにしたことが大きい成果になったのだろう。

これなら、最奥部までなんとかもちそうだ。

今度は、翼が生えた魔物に遭う。

翼を持っていてすばしっこい魔物のために厄介だ。

それの周りには、小型の翼を持つ魔物。

小型のモノたちは音を出した。

高くうるさい音。

頭が割れるような音。

「水よ。我らを音から守れ、吸収しろ。」

レグリズの呪文で四人の周りに水の膜ができ、音が緩和される。

しかし、一瞬で小物を従える大型の魔物が攻撃してきた。

なんとか攻撃を防ぐが、音から身を守っただけであって、彼らからの物理的な攻撃は防げない。

しかも、魔物は優れた知性は持っていないはず。

協力のようなことをするなんてどういうことだ。

同じ系統の魔物だから協力関係になっているのか。

それとも、従えている奴が指示を出しているのか。

でも、そんな面は見られない。

考え過ぎなだけか。

もし、魔物に知性があったとしたら、まずいことになる。

強い魔物同士が協力関係になったとき、力ある者たちは苦戦を強いられるだろう。

死ぬこともあるかもしれない。

ここで、すべて終わらせる。

必ず。

戦いながら、考えること数秒。

ついに、捌ききれなくなったのだろう。

オーリアは手の甲を翼で切られた。

奴らの翼は武器の一種だ。

固く、刃のように鋭い。

そして、毒をもっている。

「清き水よ。我の仲間を癒せ。」

その言葉から水が表れて、彼女の傷を治した。

そして、彼は言った。

「オーリア、俺を守れ。メルフィトの奴はレリスを守るのに精一杯だ。こんなに数がいるし、小物を従える親玉もいるしよ。」

「傷を治してもらった分はキッチリと返すわよ。」

彼女の返事を聞いて、レグリズは詠唱に移る。

ざっと見ると、百は超えている。

しかも、真っ黒くて不気味。

親玉は人型に見えなくもない。

小型は丸い体に翼を付けている感じですばしっこくないだろうと思われるだろうが、これが案外早く動く。

うっとおしいくらいだ。

紙を使いながら彼を守る。

傷つけないように気を付けなければならない。

詠唱には、集中力も必要だ。

軽い怪我なら集中力は途切れることはないだろうが、相手は毒をもっている。

少しの怪我でも命取りになる。

私は彼の盾になるということだ。

早く終わらせてよね。

そうしないと、血を失い過ぎて死ぬか、毒がまわって死ぬかのどちらかよ。

この詠唱が終わってからもアンタには仕事があるんだからね。






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