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始まり始まり

 自分で言うけど、自分で書いている作品の登場人物の良さが出せるのが当分先(人気が出なかったというのもある)ので、先に紹介系をと。

 あまり長くない作品にする予定です。

 私が思うに、科学技術というのは、進めば進むほどに使い勝手が悪くなっている。

 多くの人物は、この主張に首をかしげるだろう。

 昔に比べて、多くの事柄がより便利に、そして使い勝手がよくなった。

 蛇口を開けば容易に水は手に入り、スイッチを押すだけで明かりが、はるか遠く離れた人物とも会話が可能。

 こうした事柄を便利といわずに何を便利と呼べばいいのだろうか。


 だが、考えてみてみよう。例えば、原子力発電所。

 福島で起こった事故が、安全とされていた神話を崩壊させた。

 世界には、地球すべてを吹き飛ばしても余りあるほどの核爆弾が存在しているし、この原子力発電所が生み出した放射能でも、世界すべてを汚染たらしむのだ。


 ここである最近の話をしよう。

 原子力が機械文明の申し子とするならば、これは自然が生み出した脅威そのもの。

 ボツネラス菌という生物をご存じだろうか。

 食中毒の原因の一つであり、今なお多くの被害者を生み出している。

 この自然界において普遍的に存在している、この細菌は自然界において最も強力な毒素を発する。

 その毒素は強力だ。強力すぎるといえる。

 何しろ誰もが持ち運べるだけの分量で、人類すべてを殺すに足るのだから。


 こうして考えると、科学技術とはあまりにも度し難いと感じられてしまう。


 アポロ十三号が飛び立ち、我々人類は地球という枠組みを超え、宇宙という視点を手に入れた。

 ここでは我々には広すぎると感じる地球ですら、砂漠に存在する一粒の砂程度の価値すらない圧倒的なスケールを誇るのだ。


 進みすぎた科学というのはそういったもの。ありとあらゆる事象を解明していくと、視界が大きく広がっていく。そうして生まれた視点は時として、これまで大切だったものがひどくちっぽけに映ってしまうのだ。


 人の化学は、我々の想像すら飛び越え、一つの星すら破壊するところまで来ている。

 これを恐怖といわずなんといえばいいのか。

 少なくとも、古代人は、自分で自分が住んでいる星を壊す心配などしなくてもよかったのだから。


★ ★ ★ ★


「やぁ、初めましてだね。ヒロインちゃん。フムフム、こうしてみると本当に可愛らしいね。

 多くの雄どもがせめぎ合って奪い合うことも納得できる。

 まぁ、私から言わせてもらうとするならばただのビッチなんだが、でもまぁ、オトメゲーのヒロインをイコールでビッチと考えるのは、話が進まないから、考えないようにしないとね」


 「パンドラの箱ってやつだね」


 突然現れて、訳の分からない言葉を言い出した少女を私は知っていた。

 直接会ったことはないが、それでもこの世界において非常に重要な役割を持っている存在だ。


 今は夜だというのに、月明かりに照らされて、彼女の美しい髪は黄金の輝きを放っている。

 そして、彼女が纏う雰囲気もまた、彼女が持つ幻想性に拍車をかけていた。

 彼女くらいの年頃では決してもちえない、深い教養をもった存在だけが持つ理知的な雰囲気。

 その美しさとチグハグさに、確かにそこにいるはずなのに、思わず、幻ではないかと思ったものだ。

 しかし、気の強そうな瞳は生の活力にあふれ、彼女が確かにそこにいることを示していた。


「ええ、初めまして。それと本人に向かってビッチとか言わないでよね。割と傷つくから」


 内からあふれ出る知性を感じ取った瞬間理解できた。彼女もまた、転生者であることを。


 ならば、交渉に来たのだろう。


 このままでは、彼女は処刑コース一直線だし、私も、相手が同じ転生者だと知って、処刑に追い込むほど鬼ではない。


 この世界の未来のために、彼女の婚約者を奪うことになるだろうが、そこはしょうがないと諦めてもらうしかない。


「処刑の件なら、安心してよ。さすがに同胞を処刑なんかしないわ」


 あなたの思いは全て分かっている。そんな風に話しかけたのだが、彼女はきょとんと首をかしげると、次の瞬間には大きく笑い声をあげた。


 しかし、あまりにも笑いすぎたためか、呼吸困難を起こして、こちらに助けを求めるかのように手を伸ばすものだから、仕方なく、彼女の背中をさすってあげる。


「いや、悪いね。あまりにも君の答えが見当はずれだったものだからさ。まあ、いいだろう。

 ここで、私が行った実験の話をしようじゃないか。実はね、君に逢う前に崖から飛び降りたことがあるんだ」


 待て、この爆弾発言を私にどうしろというのだ。思わず、静止の声をかけようとしたのだが、早口でまくしたてる彼女に対して、タイミングかつかめず、結果、彼女はそのまま話し続けてしまう。


「その時は、崖から延びていた枝に引っかかって事なきを得たんだ。次に崖に落ちた時は鳥にさらわれた。もう一度やろうとしたんだけど、今度はうちの使用人が駆けつけてきてね。聞いた話だと、適当に進んだだけだというのに、迷うことなく私のもとにたどり着いたんだ。

 理不尽な話だと思わないか。山育ちとか訓練を受けた騎士なら話は違ってきたんだが、都会で生まれ育った商会の娘がだよ、理不尽な話さ。

 次に私は馬車の前に寝転んでみたんだ。想像がつくと思うけど、車輪が壊れてね。それを私が見つけたことにして、新しい車輪に変えてもらって再度挑戦したら、馬が暴れてご破算さ。私の方には来やしない。

 ここまでくれば、さすがの私も三度目をしようとは思えない。上手くいったかもしれないが、恐らく無駄だろう。

 そこで侯爵家、ああ、知っていると思うけど私の実家ね。そこから逃亡。

 予想はできていたけど、中々上手くいかない。すぐに見つかってしまった。

 次の挑戦は細心の注意を払ったんだ。人手のない倉庫に、私の同年代の少女をぶち殺して火をつけたんだ。当然屋敷はてんやわんやの大騒ぎ。これなら見つかるまいと考えたのに、町でばったりと使用人に出くわした」


 いやぁ~、あのときは言い訳が大変だったなぁ~、と当時の状況を懐かしんでいる彼女に対して私は警戒度を引き上げた。


 初めは淡々と、最後の方は激情を織り交ぜ語られた話は多くの狂気で満ち溢れていた。

 そもそも、確かめる程度で死にかねない行為を執り行う彼女の精神性が理解できない。

 加えて、さらりと流したが、この女ははっきりと一人の人間を殺したと言ってのけたのだ。

 この時点で素直に死にたくないと、私に伝えに来たわけではあるまい。


「あなたの目的はいったい何」


 そういうと、彼女は独りでにうんうんと頷きだした。


「話をするとしたらまずはそこからだね。いいよ、もう少しだらだらと雑談を楽しむ予定だったけど教えてあげる。勧誘さ」


 「僕と契約して、この世界を終わらせないか」


 彼女は疑似マスコットの言葉をパクって、私に手を伸ばした。


 決して、キツネを真似た訳ではないんです。正直、あの作品、さわりしか読んでいないので。

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