西園寺星華/菅原大河
お久しぶりです!
20歳になってから初めての投稿ですw
遅くなってすみません…
あと一発書きなので後から修正入れます
まぁとりあえず、このイベントでさらに敬太様と真凛ちゃんの仲が深まるといいなぁ――なんてウキウキしながら家へと帰ってきた私は、自分の部屋に入ったところでハタと気が付いた。
(あれ?でもこのままだと、私って悪女認定されないんじゃないの……?)
そもそも原作の西園寺星華は、主人公の二人を窮地に立たせた張本人にも関わらず、いけしゃあしゃあと二人に恩を売る面の皮の厚さから『悪女』認定をされていたはずだ。
けれど今回、二人の情報を掴み――意図的ではないにせよ――二人の立場を悪化させそうになっているのは真奈ちゃんの所属する新聞部。私は、敬太様の婚約者という関係から『新聞に掲載する』という話を聞いただけ。そんな状態で私を『悪女』呼ばわりする人間なんて、恐らくほとんどいないだろう。
というかむしろ、普通に『婚約者を別の女に取られたかわいそうな女』だと思われて終了の気がする。実際原作でも、裏から情報を渡していたことが発覚するまではそう思われていたって描写があったし。
……ってことは、もしもこのまま二人の証拠を掴まないでいたら、みんなに同情の視線は向けられるものの特に悪女とは思われないってこと!?
(うわ、あぶなっ!もう少しで私、完全に悪女の道から外れるところだったんだ!!)
私はガバリと顔を上げると、即座に制服のポケットからスマホを取り出し、真奈ちゃんへ『昼休みに聞いた件、新聞に掲載するのは少し待って欲しい』という内容のメールを送った。後は、明日にでも敬太様と真凛ちゃんの密会現場を写真に収め、匿名で新聞部に情報を流せば万事解決のハズだ。
(ふぅ、気付けて良かった……!)
私はいつの間にか額に浮かんでいた汗を拭いながら、『悪女は一日にしてならず』という言葉を心に刻み込んだのであった。
***
【菅原大河Side】
俺が始業式で出会ったのは、等身大の日本人形のような少女だった。
(なんだあれ……本当に人間か?)
思わずそんな事を考えながら、俺こと菅原大河はその少女へと視線を注いだ。
キメの細かい雪のような肌と、滑らかそうな黒い髪。手には薄紫色の扇を持っており、微かに頬に差した赤みだけが人間らしさを伝えてくる。
周囲の人間の目を根こそぎ奪うような、そんな人間離れした美しさを湛えた少女――それが、俺の西園寺星華に対する第一印象だった。
どことなく居心地悪そうにしていた彼女に声を掛けたのは、ただの好奇心。話してみると、予想どおりの落ち着いた声に思わず聞きほれそうになった。
しかし、本当に驚いたのはその後だった。
「星華、残念。俺たちは別のクラスだったよ」
「きゃっ!?や、やめてくださいませ敬太様……!」
思わず『滅びてしまえ!』と心の中で唱えてしまいそうな、無駄にキラキラしいイケメンに後ろから抱きつかれた瞬間、今まで彼女を取り巻いていた人形めいた雰囲気が嘘のように消えたのだ。
(……なるほど、そういうことか)
それだけでなんとなく二人の間柄を察した俺は、それから少しの間、二人のやりとりを観察していた。
そうして判明したのは――どちらかというとイケメンのほうが少女の方を気に掛けているということ。少女もイケメンのことを気にはしているようだが、どちらかというと照れているというよりは困っているように見える。
そんな様子を見ていてふと思い立った俺は、イケメンの腕の中で真っ赤になっている少女の腕を軽く引いた。すると予想通り、イケメンの方から物凄い顔で睨まれる。
その反応を見た俺は、
(……なんだこいつら、超おもしろそう)
突っかかってくるイケメンに仏頂面で対応しつつ、心の中でニヤリとほくそ笑んだ。
もともとクラスの中でも目立たない組に所属していた俺は、遠巻きにクラスメイトや先生の様子を観察するのが好きだった。
だから、これからはこの二人がどんな風に距離を縮めていくのか観察しようと思ったのは、ごく自然のことだった。
幸い、彼女――西園寺星華とは同じクラスのうえに前後の席、さらには委員長と副委員長という関係になったので、彼女やその周辺を観察しつつ傍観するのに絶好なポイントを手に入れることができた。
しかも、同じ外部生ということで知り合った八車真奈は新聞部志望だという。これで、情報の仕入れは万全だろう。
(さて、二人はこれからどんな風に進展していくやら……)
幸先のいいスタートに、俺は思わずウンウンと頷いていた。
いた、のだが――
「……西園寺さん。こんな人気のない教室でいったい何を?」
「え、と、……カ、カラスの写真を撮影しようと?」
始業式から2週間ほどしか経っていないある日の放課後。とある人物からメールをもらった俺が社会科準備室で見つけたのは、窓際でカメラを構えて唸っている西園寺さんだった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。




