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副委員長は大変です

お久しぶりです。

またあとで加筆修正も予定していますが、とりあえずアップ。

 きらびやかなシャンデリアの光が、広いホールへ集まった雪城学院の生徒たちを明るく照らし出す。

 隅の方では楽器を抱えたオーケストラが生演奏を披露し、中央に設えられたダンスフロアではその音に乗っていくつものペアがくるくると回っていた。

 脇に寄せられたいくつものテーブルには彩り鮮やかな軽食がいくつも並び、そのテーブルを囲んで何人かの少女たちが楽しげに談笑する。



(……ふぅ。これなら、立食パーティーは成功したと言って良さそうね)



 和やかな空気に包まれたホール内を隙無く見渡していた私は、そう判断を下して肩に入っていた力をゆっくりと抜いた。今まで、通りすがる同級生たちに笑顔を振りまきつつ顔色の悪い者はいないかと気を配っていたのだ。そりゃあ肩に変な力も入る。

 この立食パーティーでは『お金持ち』側の生徒と『一般人』側の生徒の間で衝突が起こる事もしばしばだと聞かされていたので、それが不安だったというのもある。



(それぞれ育ってる環境が違うワケだし、多少は仕方ないかもしれないけど……衝突なんて無いに越したことないもんねー)



 私が内心でホッと胸を撫で下ろしていると、相も変わらず仏頂面の菅原様と担任の高橋先生が私に気付いて近付いてきた。



「高橋先生に菅原様、お疲れ様でございます」


「あぁ……そちらはどうだった?」


「幸いにも、こちらは問題なしですわ。菅原様の方はどうでしたか?」


「……こちらも異常なし」


「いやぁー、すまないねぇ。せっかくの立食パーティーだというのに自由時間を削らせてしまって」



 顔を合わせてすぐに打ち合わせを始める私たちを見て、高橋先生は申し訳なさそうに頭を掻いた。謝るくらいならちょっとは仕事を減らしておくれよ私はそこのプチケーキが食べたいんだ、じゃなくて。



「大丈夫ですわ、高橋先生。これも仕事のうちですもの」



 私は大和撫子な表情(穏やかver)を顔に浮かべると、高橋先生の方へにっこりと微笑んだ。その隣では菅原様がうんうんと頷いている。

 ――そもそもこの仕事は、毎年一年の委員長と副委員長が行っているといういわば慣習のようなものだ。別のクラスの委員長ペアも身を粉にして働いている中、自分だけワガママを言うわけにはいかないしねー。

 そんな私たちの様子を確認した先生は、ひとつ頷き返すと『じゃあもう少し見回りをしてくる』とだけ言って人混みの中へ入っていった。

 その背中が完全に消えるまで見送った私は、菅原様の方へ向き直るとにっこりと微笑む。



「さて、それでは私たちもパーティーを堪能しましょうか!」


「……そうだな、俺も少し喉が渇いたし」


「では貴方がエスコートしてくださいね、パートナーさんっ」


「……善処する」



 少し悪戯っぽく笑えば、菅原様もほんの少しだが表情を緩めた。そのまま、連れ立って近くのテーブルへと移動する。

 ――この仕事について聞かされたのは、私と敬太様が部屋で妙に食い違った話をしていた時の事だった。



『……西園寺、すまない。午後からの立食パーティーの件で少し重要な話がある』



 そう言って私の部屋を訪れた菅原様は、何故か不満げな表情をしている敬太様をサックリと無視して業務連絡をしてくれた。

 内容は以下の通り。



1、立食パーティーでは毎年生徒同士の衝突が発生しやすいこと

2、そのため、性別に関係なく委員長と副委員長はお互いに『パートナー』となってもらい、立食パーティー内での見回りを手伝って欲しいこと

3、この件について拒否権はあるが、できたら協力してほしいこと



 ざっと言ってこんな感じだろうか。

 ちなみに、『パートナー』というのは立食パーティー限定で組まれるペアのようなものだ。あぶれる人が出てくる可能性もあるため、もちろん強制ではない。



『つまり、これだと西園寺はそこの西山とパートナーになれないという事なのだが……』


『別に問題ないですわよ?その仕事、私も手伝いますわ』



 言葉の端を濁す菅原様に、私は躊躇なく頷いた。『天シン』での敬太様は真凛ちゃんの『パートナー』になるはずだし、そうなれば私はフリーになる。特に問題は無かった。

 というかむしろ、菅原様の話はとてもありがたかった。



(このままだと敬太様、私に『パートナー』を申し込みそうだったからね……どうやって断るか頭を悩ませていたところだったし、まさに渡りに船!)



 もしも私が敬太様に『パートナー』を正式に申し込まれてしまっていたら、ほぼ確実に私はその役目から逃れられなかっただろう。だって私たちは婚約者、断る理由が無いのである。むしろ、断れば断るほど『面白いやつだ!』とかいってこちらに詰め寄ってきていた可能性もあった。そのまま断り切れなくなる→パートナーにされる→傍から見れば仲良しカップルに見える→婚約から逃げられない→敬太様と真凛ちゃんが結ばれない!!なんて未来が簡単に想像できて、思わず私は身震いした。

 ……しつこい男は嫌われますよ、って今度さりげなく伝えておこうかな。

 閑話休題。

 とりあえず、『副委員長の仕事が……』を建前に敬太様の『パートナー』にならないで済んだのは幸運だった。っていうかむしろ、原作の『西園寺星華』がどうして立食パーティーで敬太様とパートナーになっていなかったのかやっと分かったよ。

 あれだけ『敬太様の婚約者特権』を利用していた原作の彼女だもの、立食パーティーでは確実に敬太様の『パートナー』の座を射止めてそうだけどなぁとは思っていたんだけど……こういう裏話があったんだね。納得。



(あのあと、部屋を去っていく敬太様の眼光が獣のように鋭かったけれど……あれは気付かなかった事にしておこう)



 菅原様が皿に取ってくれたプチケーキに舌鼓を打ちながらそんな事を考えていると、突如ホール内の空気がザワリと動いた。

 すわケンカ勃発かと思いながらケーキを食べる手を止めた私は、すばやくホール内に視線を走らせる。

 そしてその先で見つけたのは――会場内からの視線を一身に受けている、ドレスアップ状態の敬太様と真凛ちゃんの姿だった。

まだスランプ気味のため、文章の質・量ともに低下中です。

頑張って精進します。

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