#7 嫌いじゃねーけど
R-15とまでは行かないかもしれませんが
男同士でいちゃいちゃしてるので注意です。
店内の淡い照明に金髪がキラキラ輝き、逆光なはずなのに妙に光る赤い瞳から目が離せなくなった。自分の今の状況が全く分からず、まるで夢の中に居るようにも思えてしまう。むしろ夢じゃないかと思えるほどの現状に、もはや璃祢の思考は停止しかけていた。
時が止まったかのように、ゆっくりと時間が流れるような錯覚にも陥っていた。だがそれは璃祢だけだった。
ゆっくりと近づく赤い目。もちろん近づいていたのは眼だけではなく、薄く開いていた璃祢の唇にそっと、だがしっかりと彼の唇が重なった。そこでようやく、璃祢の思考が戻ったのだったが、時すでに遅かった。
最初は触れるだけだったそれだが、いつしか璃祢の唇を啄ばんだ。ふにゃりとした柔らかさを存分に堪能したといわんばかりに、今度は柔らかな何かが、璃祢の口内に侵入してきた。
「んふ……っは……くちゅ……ん……」
今まで璃祢の口内を支配していたケーキの味が、見る見るうちになくなっていく。それを拭う様に動く舌が、口内のポイントをかすめるたびに、璃祢の呼吸は乱れる。タバコの独特の感じに酔わされ始めたころ、ようやく絢斗の口が離れた。
絢斗の顔が離れるのにつられて、天井に伸びた透明な線が、照明に照らされ銀色に輝いて見えるのを、乱れた呼吸とうるんだ視界で見つめることしか璃祢にはできていなかった。
「はぁ……ぁ……あ……」
「甘。嫌いじゃねーけど」
「何……するんですか……はぁ……」
「あ?此処にクリーム付けて、誘ってたのお前だろ?」
「くりぃ……む……?」
せっかく正常に戻りつつあった思考が再び止まりかけてきたのだろうか、すっかり呂律すら回らない。そんな璃祢を、よそに絢斗はしばらく考えた後再び璃祢に視線を戻した。
「せっかく来てやったのに、まぁ……いねーならいいか」
そういって、絢斗はさっさと店から出て行ってしまった。
残された璃祢は、いまだ横たわったままだった。だが徐々に落ち着気を取り戻していくと、今度は驚愕と羞恥に襲われた。
「何だったんですか……今の……」
手で顔を覆ってはいたものの、その下の顔が絢斗の瞳よりも赤く染まっていたのは隠してもわかるほどだった。
天井を見つめ、しばらく押し倒された時のまま璃祢はつい今しがたの事を思い返していた。
照明の輝きと、きれいな金の髪、そしてあの瞳。それらに見とれてる間に起こった出来事が、理解できそうになかった。嫌悪感というものはない。だったら一体この感情は何なのか、今の璃祢にその答えは導きだせそうになかった。
食べきれないケーキをお店の冷蔵庫にしまい、璃祢は家へと帰った。
◆
とあるマンションの一室。
「んぁ……っぁあ……んん……ふぁっ……あぁああっ」
夕日が差し込む室内にあるベッドの上で、体の熱を交わらせる裸の二人。
しかし二人とも男である。
◆
情事を終えぐったりとした体を横たわらせた。だが密接にではなく、二人の間には若干の距離があった。
しばらくしてそのうちの一人が、痛みがわずかに生じている腰をかばいながら体を起こし、床に散乱している制服を広い身につけ始めた。
「あ?もうそんな時間か?」
「そう。いくらなんでも顔出さないと。あとでめんどくさいことになるから」
「そろそろ、良い情報期待したいんだけどよ」
「簡単に言わないでほしいな」
ゆるくネクタイを閉めた後、ドアの傍に置いていたカバンを拾い上げる。
ドアノブに手をかけたが、ふと思い出し振り返った。半裸のままベッドの上で煙草をふかし始めた彼を一瞥し、問いかけた。
「今度はいつ?」
「……さぁな。俺がヤりたくなったら呼んでやるよ」
「わかった……」
マンションを出てとある場所に向かう道すがら、彼は苦しそうに顔をしかめた。
(どうして、俺を見てくれないの)
想い通わせた関係ではない。そんな関係に苦しみながらも、彼はやめられはしなかった。
彼との今の関係すら、終わらせたくないものだった。身体の関係だけでも、今の彼には幸せなものだったから。
喘ぎ声www
どうしてそんなにへたくそなのww
この作品は一部の登場人物が節操なしなのでそういう描写がほかの作品より多めです。どこまで書くかは様子を探りながらですが、書ける範囲で書いていく予定です。