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#3 癖、みたいなものです

サブタイトルは話の中のセリフから。

 姿が見当たらず、今日もあきらめて帰る支度をし始めた璃祢。そんな彼の教室のドアが勢い良く開かれた。


「ほんとにここなの?」

「信じてよーん!俺の情報網すっごいよん!んーと、あ、ほらいたじゃん!!」


 そういってどんどんその人たちは璃祢の方に近づいてきた。一瞬何事かと身構えていた璃祢だったが、それが入学式のとき、助けてくれた不良の二人組だと思いだした。


「お二人は確か……」

「あ、覚えててくれたの!うっわー、マジ感激―!」

「インパクト強かったからじゃないの、ウザさの」

「ひどっ!!そんなことないっしょ?」


 半分そうだったというのは、黙って置くことにした。そして代わりに、抱いていた疑問を投げかけた。


「何か御用ですか?」

「つうか―、なんでそんな敬語なの―?俺先輩だから?」

「癖、みたいなものです。気にしないでください」


 というより、母親の教育のせいと言った方がいいだろう。母親は日本人の礼儀正しさが好きらしく、璃祢は大和撫子さながらの育て方をされた。はしの持ち方からお辞儀の仕方、礼儀と名のつくものはすべてこなしてきた。

 とくに厳しかったのは言葉遣いだ。日本語特有の敬語。これを標準装備するまでどれほど叱られたことだろう。


「なんか慣れないなー」

「癖って言ってんだからしょうがないじゃん。そのチャラいのは癖?」

「チャラくねーよ。普通じゃーん」

「どこが?おっと、そろそろ行こうか。ちょっとついてきてくれるかな」

「え?」


 どこに?と聞く前に、チャラい不良に腕を掴まれた。そんな心配しないでと、背の変わらない不良に言われるものの、そうもいかない。二人に促されるまま、璃祢はついていかざるを得なかった。



 ◆



 たどり着いたのは、一見普通のお店だった。だが、こんな雰囲気のお店に、璃祢は今まで一度も来たことがなかった。


「ここって……バー……ですか?」

「昼は喫茶店で、夜はバーかな。でも、ビリヤード台とか、ダーツとかあって俺らの遊び場みたいな?此処のマスター怖いんだぞぉー」

「いい人だけどね」


 そう言いながら、二人はなれたように中へとはいっていく。背の変わらない不良に促され、璃祢もそのあとに続いた。中は一見シンプルに統一されていたが、どこか落ち着いた雰囲気があった。黒を基調にしていて、とてもかっこいい。カフェよりはバーの方に力を注いでいるんじゃないのだろうか。と思えるような印象だ。

 現に、カウンターの奥の棚にはずらりとお酒の瓶や、変わったグラスが並んでいる。


「お、お前ら今日は遅かったな」


 今までカウンターの中でしゃがんで何やら作業していたらしく、立ち上がってようやく璃祢はそこに誰かがいたのだと知った。バーテンダーの服を着ているからお店の人だろう。

 ぎらぎらしい銀色の髪の毛に淡い水色のメッシュが入っている。やや焼けた肌にはよく似合っている。そつなく着こなしたバーテンの服は、シャツが腕まくりされていて、それがさらに彼の男らしさを引き出していた。


「ちょっと寄り道っすー」

「明彦さん見て、俺らの後輩。可愛いっしょ!」

「可愛いっていうか、お前と同い年くらいに見えるぞ?」

「俺と違って見たまんまなんだよ」

「常識はその子の方が備わってそうだな」


 そういって、バーテンダーは背の低い不良の頭をぐりぐりなでまわした。そんな風景を見ていると、結構親しい間柄のようだが一体どんな関係なのか非常に気になった。

 そもそもここに何しに来たのかをまだ聞いてないのだ。


「ところで、今日はこの後あんのか?」

「そ。だからとりあえず鞄置かせてー」

「君もここ置いて良いよ」

「あ、はい」


 奥の個室のようなスペースにある黒革のソファーの隅に、鞄を置かせてもらった。その場に顔をのぞかせた、バーテンダーが璃祢を見て驚いていた。


「おいおい、まさかそいつも行くのか?」

「ううん、俺と留守番」

「あ、あの……」

「「「ん?」」」

「全然状況がわかりません……」


 ここで漸く、今まで抱えていた疑問を口に出すことができた。そうでなければこのままもんもんとしたまま過ごすことになっていたかもしれないのだ。


「あ―、言ってなかったっけ?」

「はい」

「お前ら……大事なことだろそれ。とりあえず時間はあんだろ、なんか飲みながら話してろよ」

「じゃ、俺いつもの―」

「俺も、君はどうする?」

「え、えと……」


それから飲み物を頼み、しばらくの間不良二人の話を聞いた。










誰一人名乗らないとはどういうことだ!?


次話で一気に名乗り出しますので。

いい加減不良不良ばっか書きすぎてますねw



敬語標準装備の僕っ子ください((殴


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