#22 マジざけんな
「そんなの汚いです。最低です」
そうつぶやいた璃祢の声は、倉庫内に鮮明に聞こえた。その言葉に今まで笑い合ってた不良は一瞬にして静まり返った。そして一人の不良が璃祢の胸倉をつかんで持ち上げた。
「あ?なんか言ったか?」
「こんなの汚いやり方です。卑怯です。最低です」
「てめ……自分の状況わかってんのか?あ?」
「んぐ……僕を人質にしなきゃ、絢斗先輩にケンカ売れないんですか?そんなの弱虫です。ケンカ売るのはだめですけど……こんなやり方は汚いと思います」
「調子に乗ってんじゃねーぞこのくそガキ!!」
遠慮のない拳が、璃祢の顔に振り下ろされた。衝撃で璃祢の体はコンクリートの床を滑る。口の端が切れ、血がにじみ出てきた。余りの痛さに璃祢は呻き声をあげた。
「おい、まずいんじゃね―の?」
「こいつに手を出すなって言われたかよ?」
「そうそう、言われてねーだろ?」
「たとえこいつをボコろうが犯そうが、そんなの自由だろ?」
そう言って一人の不良が再び璃祢に掴みかかった。殴られた痛みにより、璃祢に恐怖の色が顔に現れていた。
「おいおい、さっきまでの威勢の良さはどうしたよ?え?ほらもっと言いたいことあんなら言ってみろよ。なんだっけ?最低とか言ってたっけなぁ!!」
「うぐっ!?」
床にたたきつけられるようにしておろされ、璃祢は苦痛に身を埋めた。さっきまで戸惑いを見せていた不良すら、今は璃祢に近づいてきている。
「やめ……来ないで下さ……嫌……やっ!!」
(ガァン!!)
更なる暴行が加えられようといていたとき、倉庫の入り口の扉が力任せに開かれた。そこにいた不良たちはみな、絢斗が来たのかと動きを止めたが、それは違った。
「テメェら……なにしてやがんだ!!」
息を切らし怒りを露わにしたその人物は、倉庫内に入りそういった。
「翔……君?」
息を整えつつ翔はゆっくりと倉庫内を進んだ。中程まで進んだところで翔は歩みを止め、顔をしかめた。璃祢の口の端ににじむ血を見たからだ。
「おいおい、お前はお呼びじゃねーんだよ」
「あ?んだよ、お前らも絢斗をご指名かよ。あいつは連絡とれねーから来るかわかんねーな。なんだ?俺じゃ役不足かよ。対した自信だな」
「たいいた自信持ってんのはてめぇのほうじゃねーのかよコラァ」
にじり寄ってくる不良たち。だがそんな中でも、翔は変わらずそこにいた。
(璃祢を傷つけやがってマジぶっ殺す)
近くにいた不良を翔が殴り飛ばして、そこから殴り合いが始まった。圧倒的な人数の差に、はじめは余裕の表情を浮かべていた明星の不良たちだったが、怒りをあらわに拳を振るう翔の様子にその表情は消え去った。
(流石に……キッツ……)
一人を殴り倒すも、すぐにほかの不良の攻撃が顔のすぐ脇をかすめる。攻撃を避け、振り返りざまに蹴りを放つ。それは見事一人の腹に命中。だがその隙をつかれ、翔の背中にだれかの蹴りが入った。
「ッハァ……マジざけんな……くっそ!」
喧嘩はさらに激しさを増す。その終は未だ訪れはしない。
本当に不定期というか統一性がない更新の仕方ですね。
今回も更新するのを忘れてましたね。
(だらしない作者ですみません)




