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#12 そんなの嫌です

やっぱり中盤になると続きを書くのが遅くなりますね。


危うくストックがなくなりかけました。

今もそんな書き溜めてはないんですが……



 璃祢が真野に狙われている。



 そのことが絢斗に知られるのにそう時間はかからなかった。というより、彼が知っていなければならないのだ。真野は強い。お世辞抜きに喧嘩の強さはそこらの不良とは格が違うと言っていい。そしてそんな真野に対抗できるのは峯川では絢斗そして翔くらいだろう。


「面倒なことになったな。あいつはほんとに最低野郎だ」


 学校の屋上で、煙草をふかしながらフェンスにもたれかかった絢斗が煙を吐き出しながらそう言った。その傍らに立つ翔も、先日の出来事を思い出し眉間にしわを刻む。


「お前にそう言わせんだから本物だな」

「どういう意味だ?……あいつは気に入ったものはとにかく手中に収めようとする。どんな手を使ってでもだ。そのための犠牲なんかどうだっていいんだ……。翔、気をつけろよ」

「わかってる……」


 たばこの煙を吐き出し、ふと空を見上げた絢斗が思い浮かんだ疑問を口にした。


「……にしても……どっから漏れたんだ?明星の奴がどこかで見かけたのか?」

「そうじゃないのか?隆平達に聞いたら、あいつ名前知らなかったみたいなんだよ。ただ最近可愛がってる後輩いるらしいなって聞いてきたんだと」

「らしい……か……。誰かに聞いたのは間違いなさそうだな。それもうちの弱みになりうるあいつの事を……。すごい情報網だな。市野以上の情報屋でもいるのか」

「……絢斗」

「言うな。だけど今お前が思ったことも視野に入れてた方がいい。とにかくあいつを一人でいさせるな。とくに学校の外ではお前か市野達と一緒にいるようにしろ。家にいる時とかはお前に任せる。俺も注意してる」

「あ――――。こんな風に巻き込みたくなかったのになぁ――――!!マジあいつにだけは会わせたくなかった!!でも璃祢すっげえ楽しそうにしてっから今さら来るなとも言えないんだよなぁ――――」


 フェンスをがしゃがしゃゆすりながら、翔は叫ばずには居られなかった。


「そういえば、市野達は大丈夫だったのか?」

「今更だな……。一応病院行って、骨とかに異常はなかったってさ。まぁあざとかは大量にあったけどな。璃祢も特に変わったとこはない。けど……」

「けど?」

「すっげぇ気にしてる。隆平達が痛い思いしたのは自分のせいなんだって。今日あいつら休みだっつったら、目に見えるほどがっかりしてたな」

「あいつのせいじゃないだろ。あの喧嘩好きのせいだ」

「そう言ったけど聞かねーんだよ。あれでも頑固だからな。昔から変わらないんだ……璃祢は……」


 その時、ちょうど昼休みが始まるチャイムが鳴りだした。二人揃って授業をさぼっていたのだ。その音に翔は立ち上がる。


「おっと、俺今日購買で昼なんだよ。今から行ってくる……なんか食う?」

「あ―……ホットドック」

「あいよ。じゃ、またな」


 屋上から翔がいなくなり、一人屋上に佇む絢斗。ふと上に視線を上げれば青い空にゆっくりと動く雲が見えた。そこに昇る煙草の煙をぼんやりと眺めていた。




 ◆



 ふと屋上の入り口のドアが開いた。そこから姿を現したのは先ほどまで話題に上がっていた璃祢だった。


「あ……こんにちわ……」


 そういってなぜか戻ろうとした璃祢を絢斗は引きとめ、そばに来るように言った。少し戸惑いを見せた璃祢だったが、小さな紙袋を抱えて絢斗の隣にやってきた。タバコを足で踏み消した。

 その紙袋は購買のものだった。璃祢が言うには弁当を家に忘れて、急遽購買で昼ご飯を買ったそうだった。


「翔も購買に行ったけど、会わなかったのか?」

「此処に来る前に、ロッカーにお財布置きに行ったので、すれ違ったようです」

「そうか……。なんで屋上に?」

「何となくです……」


 それっきり璃祢は黙り込んでしまった。いつもより大人しく感じられるのはやはり、落ち込んでいるからなんだろうか。


「喧嘩の最中、飛び出してったらしいな」

「あのまま、隠れてるなんて嫌だったんです。僕だけ無事だってしょうがないです。そんなの嫌です」

「やっぱりお前……」

「はい?」


 絢斗はすぐそばにあった璃祢の頭をガシガシ撫でまわした。訳も分からず璃祢はきょとんと絢斗の顔を見あげる。そんな璃祢を絢斗は引っ張り抱きしめた。


「だからってあんま無理すんじゃねーよ。とくにあいつは、何するかわかんねーんだ。お前は喧嘩なんて無縁だったんだし、誰かが守ってやんなきゃいけねーだろ」

「……」

「まぁ、頼まれなくても守ってやるけどな」

「っ……はい」


 自信に満ちた絢斗の言葉は、璃祢の心にやんわりと広がった。



 絢斗の腕の中にすっぽりと収まっている璃祢の姿を目撃して、屋上の入り口の前でこぶしを握り締めて歯がゆくいる人物がいた。


「なんでいつも……あいつばっかり……」












自分が考えた話なのに難しいです。

まぁそれはいつものことですが……


まだまだ続くのでこれからもよろしくお願いします。

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