#11 可愛がってやるよ
3人が内心焦ったのも無理はない。少ししか離れていない場所に、璃祢がいるからだ。気付かれてはいけない。もし万が一気付かれたらその時は……。
「仲いい後輩?ま―いなくはないけどねぇ。でも仲がいいからってー、今どこに居るなんかわかんないしー。つかわかったらある意味ストーカーじゃん。なにそれやべぇ」
「そういうこと……ここにはいないんだし、俺らは知らない。だったら他のとこさがしに行った方がいいんじゃない?」
「じゃあ……お前らもういいわ……。ここで終わらせてやるよ。なぁ、お前ら?」
泰章のその言葉に、後方に居た明星の不良達が卑下た笑みをうかべた。泰章を入れて6対3。3人も弱くはない。だが相手はあの明星トップ。とても状況は芳しくない。それどころか、此処で喧嘩になったら見つかってしまうかもしれない。
だが彼らに喧嘩から逃れられるすべはなかった。
誰とも言わず、それは突然始まった。放たれるこぶしや蹴り。それが容赦なく肉体にぶつかり沈む。8人が入り組み、ごちゃごちゃになりながら繰り広げられる喧嘩に、通りかかる人々は思わず遠巻きによけていく。誰も止めようとはしていない。
「やめてください!!」
誰もが近寄りがたいと思う喧嘩。そのすぐそばに飛び出した璃祢は精一杯叫んだ。ほとんど声を荒げることがない璃祢の喉がひりひりと痛む。それでも、そんなことを構っていられなくなるほど璃祢は真剣だった。
璃祢の突然の行動に、おもわず不良は全員動きを止めた。いち早く我に返ったのは、意外にも隆平だった。
「璃祢ちゃん何やってんだよ!!さっさと逃げて!!」
「できないです!!」
「なんだ、いんじゃねーかよ。無駄な汗かいちまった……なぁっ!!」
「ぐッ……」
胸ぐらをつかんでいた歩夢を蹴っ飛ばし、すばやく璃祢の目の前にまで移動した泰章。璃祢は逃げることなく、その場に立っていた。
「探したぜ?」
「探し方がおかしいです。何で……先輩たちに痛いことするんですか」
「あいつらの方がおかしいだろ?知ってんなら知ってる、って言やぁよかったんだよ」
「僕……不良さんの事よく知らないですけど。貴方は嫌いです。同じ不良さんでも、先輩達の方がいい不良さんです。お探ししてたようですが、僕は貴方とこれ以上お話しする気はありません」
予想もしなかった事態に、辺りは静まり返っていた。さっきまでの騒動が嘘のように静まり返るその場に、聞こえてきたのは笑い声だった。
「っは、お前……予想以上に良い性格してんなぁ……気に入ったわ」
「っ!?」
「もともと写真見て顔は気に入ってたけど……中身もいいんじゃ最高だな。わりーけど、帰らせねーぜ?ついてこいよ、可愛がってやるよ」
そういって璃祢の方に手を伸ばしてきた泰章だったが、その手は何かによってはじかれた。
「触んな。璃祢が穢れんだよ」
「テメェは……」
「翔君……」
璃祢の前に現れた私服姿の翔は、泰章を睨みつけていたがはっと思いだしたように、璃祢の方に向き直った。
「つか……璃祢!さっきのメールは何だ!!」
「何かおかしかったですか?『先輩たちが不良さんに絡まれて喧嘩してます。助けに来てください』って送りました」
「そう読むのか!?『参拝たちが風呂さんに絡まれて喧嘩してます。たすけぬきてくたさい』……じゃわかんねーよ!!あわてすぎだろ!!とりあえず場所と喧嘩だけわかったから来てよかったわ!!」
「すみません、混乱してました。でも、手を蹴っちゃだめだと思います」
「お前はなぁ……。で……?何人攫いしようとしてんだ、璃祢に触ったらぶっ殺すぞ?」
「ちっ、邪魔なやつが来たもんだ。別に大した理由はねーよ。ただ……あの城戸の奴が随分気に入ってるみたいだし?どんな奴かと思っただけだよ……まぁ、結構気に入ったのは事実だけどなぁ」
「黙れボケ。璃祢帰るぞ」
「はい」
「隆平達も来い。真野、俺ら峯川の不良に手を出すならいい。不良やってんだ、喧嘩くらい売られるさ。でもな、璃祢はそうじゃねー。だから、金輪際……璃祢にかかわんじゃねーぞ」
先ほどの喧嘩で痛みが生じてる個所を押さえながら駆け寄ってきた3人とともに、璃祢たちはその場から立ち去った。
「あ―……やっぱ最高だわ……」
そう言い残し、泰章もまたどこかへと立ち去って行ったのだった。
いい加減に登場人物の名前を覚えろ、と自分自身に言いたくなります。
というのも登場人物設定を作ったからです。
一応一番最初に割り込みさせました。
そんな大した設定は書いてないかもしれませんがw




