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オレと、華と、ヒットマン  作者: のあ
1.事件の始まり【押花】編
1/3

01 日常と非日常

2作目です

書きたいように書きましたので、面白がって読んでもらえたら嬉しいです(^^♪

 これだけは確信を持って言える。


 オレこと藤宮光治ふじみやこうじの人生は、神に嫌われまくっている。


 そうはいっても中2までのオレは成績オール3、顔は人並み、彼女いない歴=年齢というごく平凡な男で、少し不幸体質ながらも真面目に勉強したり、たまに男友達と協力して悪さをして怒られたり…と、それなりに楽しい生活を送っていた。


 そんな今思えばとてつもなく幸せだった生活が変わったのは、中3のあの蒸し暑い日。幸せだった分の代償のように、あの日から全てが180度変わってしまった。


 あれさえなければ、俺たちはずっと幸せに、守られながら暮らしていたのに…と今でも時々思うほど、あの事件は忘れ去りたいものであり、また絶対に忘れられない出来事だった。


 そんな仕打ちをした神を恨んだ。恨んで恨んで恨みまくって、16になった今でもそれは変わらない。


 だが……そのおかげで彼女に出会えたことは、感謝してもしきれないぐらい、感謝してる。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「…じ……こ…う‥…」

「んあ…あと…ちょっと…。まだはええって、ゆかり…」

「藤宮光治!!!」

「っ!!はい!!葵さんっ!!??」

 オレががたっと机を揺らしたつと、教室中からくすくす…と笑い声が響いた。そして目の前には、鬼の中川と呼ばれる数学教師の中川広務なかがわひろむがいた。えっと…この状態は…やべえ、よな?

「藤宮……私の授業で居眠りをするとは、いい度胸だなあ……?なぜねむっていたのか、理由を聞かせてもらおうか?」

「えっと…昨夜仕事‥…じゃなくって!!ほら、外もポカポカ陽気で暖かいし、いい天気だし…」

「ほほう…お前はこの景色がいい天気だというのだな?」

 シャッと中川が勢いよくカーテンを開ける。外の景色は土砂降りの雨。気温、28度。

 …快適とは言えない天気だよなあ…。だって今、7月上旬だしなあ。夏服、汗でびっしょりだもんなあ……はは…。

 終わった。

「藤宮光治!!廊下に立ってろ!!!」

 どっとせきが溢れたように笑いが巻き起こる。こうしてオレは現代でやるか、フツー?な方法で授業の終わりまで立たされたのであった。

 ついてねえ。 





「アハハハハ!!!今日のお前、傑作だわ!!いつもの十割ぐらいましに運悪くねえ?」

「う…うるせえ、黙れ、是満!!運がわりいのはもともとだから気にしてねえ!!」

「だからってよりによってあの鬼教師の前で寝て、そのうえ弁当まで忘れて俺に恵んでもらってる奴は誰だよ~。あー、超うけるわ~~」

 数時間後、屋上にオレと悪友(?)である斎藤是満さいとうこれみつはいた。話の内容にもある限り、今日のオレはとことんついていなかった。

 一時間目・数学のときの居眠りから始まり、ニ時間目の国語では教科書を忘れ、三・四時間目の家庭科では指を切り保健室に運び込まれた。一・二時間目は自分の不注意であったことは認めるが、家庭科はあくまで『事故』だ。合わせると、午前の授業いっぱいオレは笑われるか悲鳴をあげられるかのアクションを起こしたってことになる。認めたくはないが…このままいくと、きっと午後までこの災難は付いてまわるのだろう。

「それはそうと光治。お前立ったとき、『葵さん』っていったよな?誰だ?女か?」

「っっ!!!オレ、んなこと言ってたか!?他には!!?」

「いや…あとは紫ちゃんのことかなあ。寝言でいってたぞ。」

「…そうか…ならいいんだが…。」

 ほっと肩をなでおろす。こいつにあのことを言うと、後でめんどくさいことになるしな。

「…さて、そろそろ昼休みも終わりだし、帰るか。」

「…なんか、はぐらかしてねえか?って、かえんのはええな、おい!」

「お前がとろいんだよ、バーカ。」

 他愛もない雑談を交わしていたその時、

「…ずいぶんとお気楽じゃない、藤宮光治。口を滑らせて、『あのこと』を言わないようにね。」

「…っ!!花散……」

 昇降口のところに、彼女はいた。

「召集よ。今夜十一時〇〇分に廃ビル街に来なさい。…パートナーは、私よ。」

「……分かった。だからその嫌そうな顔、やめてくれないか?」

「この顔は生まれつきですもの。しょうがないわ。…それじゃあ、また、ね…」

 その用件だけを伝えると、短くしたスカートの裾を翻し、彼女は颯爽と去っていった。

 少し遅れて、是満も走ってくる。

「おいおい、今のってまさかあの『花散美里』かぁ?なんであんな美人がお前に…」

「…さあ…な……なんにも言わずに(・・・・・・・・)去っていった(・・・・・・)からわかんねえよ。」

 この言葉も、一年前まではホントウの言葉になるはずだったのに。

 花散美里はなちりみさと。オレ達が通う高校・公立帝国大附属高校一年三組のクラスメイトにして、文武両道なクラスのマドンナ的存在。横サイドの髪が長いボブショートに真っ黒な瞳、クールな性格は整っていていてとても美しいが、そのせいでイマイチ孤立してしまってる…そんな少女だ。

 彼女と出会ったのは、今年の四月…綿密に言えばもっと前になる。

 ともかく、早く家に帰って…『仕事』をしなければいけなくなった。

 本当に、今日はついてねえ。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「お兄ちゃん!!まぁたお弁当忘れて学校行ったでしょ!!もう今週三回目だよ!?だからあれほど早起きしなさいって言ったのに!!」

「うわ…帰って来ていきなりそれかよ、ゆかり…。」

「まず靴脱いで上がって!!それから話を聞きます!!」

 家に帰ってまず飛んできたのは妹・紫の怒鳴り声だった。小学五年生であるこいつはその年齢にふさわしくないほどしっかりしていて、たまにオレを言い負かすほど口が達者だ。

 オレたちには、親がいない。

 いや、正確には『いなくなった』と言うべきなのだろうか。

 約一年前の夏、オレたちの親がふたりともいっぺんに死んだ。オレは中3で紫はまだ9歳。ドライブに出かけると言って見送ったのを最後に、父さんと母さんは事故で逝ってしまった。

 それから、オレの生活は劇的に変わった。今は、妹を護る為にも、こんな仕事をしている。ただひたすらバレないように、そっと。

 ふっと妹を見る。まだお説教は続いていて、時々「聞いてるの!?」と怒ってくる。聞いてるよ、と適当に答えながら、口調とか仕草が母さんに似てきたな、と実感する。オレは今度こそ、守らないといけない。この笑顔を、絶対に。

 カチリ、と時計がなった。見ると時刻はもう10時を過ぎていた。紫は…寝ていやがる。それも正座のまま、器用に。すげぇな、と感心しながら2階のベットまで運んでやった。

 さて…と…。11時に廃ビル街だったっけ。時間もねえし、さっさといくか。

 そしてオレは仕事着に着替える。暗闇でも目立たないように作られた真っ黒なスーツ。そして装備である真っ黒な拳銃(・・・・・・)と防弾チョッキを着て、夜の街へ繰り出す。


 オレが誰にも秘密にしなければいけない仕事。それはーー‥…


「今日も張り切っていきますか。真っ赤な花を咲かせに……ね。」


 決して表社会に出ることはない…殺し屋だった。

 


 

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