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古の遺物の間に

古代の仕掛けを全て無効化し、エリアンとライラは塔の最深部にある円形の広間に辿り着いた。部屋全体が、純粋なエーテルでできた半透明の壁に覆われ、静寂に包まれていた。

広間の中央には、宙に浮いた祭壇があり、その上に古の遺物 (Inishie no Ibutsu) が安置されていた。それは剣でも杖でもなく、複雑な歯車とエーテル導管が組み合わされた、直径 1 メートルほどの機械的構造物 (Kikai-teki Kōzōbutsu) だった。エリアンの構造鑑定 (Kōzō Kantei) が、その複雑さに唸りを上げた。

「これだわ… エーテル安定装置 (Ēteru Antei Sōchi)」ライラは、感極まったように囁いた。「大公爵がエーテル精製を独占するために使っていた装置。これがあれば、奴らの防衛ラインを崩せる。」

エリアンは装置に手を伸ばした。彼の鑑定は、この装置がエーテル流を操作するための制御ユニット (Seigyo Yunitto) であり、非常に洗練された古代の技術が使われていることを教えてくれた。

その瞬間、広間に第三者のエーテル波動が流れ込んできた。それは、彼らがこれまで出会った魔物とは比べ物にならないほど、強大で組織化された力だった。

ドォォン!

入口の扉が爆発音と共に吹き飛んだ。煙の中から、全身を豪華な銀色の鎧で覆った男性が現れた。彼の背中には、大公爵の紋章が誇らしげに刻まれていた。

「見つけたぞ、ライラ」男は冷たい声で言った。その声には、一切の感情がなかった。「裏切り者め。そして… 虚空の鍛冶師 (Kokū no Kajishi) か。まさか、お前たち二人がここまで辿り着くとはな。」

男の名はゼオン騎士 (Zeon Kishi)。大公爵直属の近衛兵であり、エーテル操作においては下層世界最強と謳われる人物だった。

「ゼオン…!」ライラは憎しみに満ちた声を上げた。彼女は即座に流星 (Ryūsei) の弓を引き絞った。

ゼオンは動じない。彼は片手を上げ、その手のひらから強力なエーテル流が放出された。広間のエーテル濃度が、彼の意のままに凝縮されていく。

「遺物には、大公爵様の権限 (Kengen) が必要だ。お前のような裏切り者が触れる資格はない。そして、その不完全な武器を鍛造した穢れた鍛冶師 (Kegareta Kajishi) も同罪だ。」

エリアンは、ゼオンの鎧とエーテル操作を鑑定した。ゼオンの鎧は、魔術的コーティング (Majutsu-teki Kōtingu) が施されており、ライラの弓でも容易には貫けない。さらに、彼のエーテル流はフィードバック制御 (Fīdobakku Seigyo) が完璧で、エリアンのノイズ攻撃は通用しないだろう。

「ライラ、奴は俺たちの予測 (Yosoku) を超えている」エリアンは低く囁いた。「俺の機械の十二原理でも、奴の高速反応 (Kōsoku Hannō) と完璧な鎧を同時に破るには、時間が必要だ。」

「時間を稼ぐ? どうやって?」

エリアンは、祭壇のエーテル安定装置の前に立ち塞がった。

「防御 (Bōgyo) は、時に最大の攻撃 (Kōgeki) となる。『作用・反作用の原則 (Sayō Hansayō no Gensoku)』。奴の力を、奴自身に返すぞ。」

ゼオン騎士は、エリアンの言葉を嘲笑った。

「くだらない。死ね!」

ゼオンが手のひらをエリアンに向けた瞬間、濃密なエーテルが鞭のように変化し、凄まじい速度でエリアンに襲いかかった。

エリアンは、避けなかった。彼は、一歩も動かず、そのエーテル鞭を自身の両手で、まるで熱された鉄を掴むように、受け止めた。

ゴオオオオオオ!

凄まじいエーテルの衝撃がエリアンを襲うが、彼の両手は赤く輝き、鞭のエーテル流の構造 (Kōzō) を瞬時に解析し、そのエネルギー (Enerugī) を彼の体内に取り込み始めた。

「な、何を…?」ゼオンは初めて動揺した。彼のエーテルが、まるで掃除機に吸い込まれるように消えていく。

「言ったはずだ。俺は鍛冶師 (Kajishi) だ」エリアンは笑みを浮かべた。その笑みは、狂気と熱意に満ちていた。「お前のエーテルは、俺にとって上質な素材 (Sozai) だ。受け取ったからには、それを使って、お前を再構築 (Sai Kōchiku) してやる。」

エリアンの体から、吸収したゼオンのエーテルが、今度は凝縮された純粋な熱となって放出され始めた。鍛冶場の炎のように熱い、新たな戦いの火蓋が切って落とされた。

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