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古代魔術の試練

禁断の区域 (Kindan no Kuiki) の扉は、純粋エーテルで鍛造された流星 (Ryūsei) の弓を持つライラの一撃によって、音を立てて開いた。内部は、これまでの場所とは比べ物にならないほど濃密なエーテルが充満しており、空気そのものが粘り気を持っているように感じられた。

「濃すぎる… このエーテル濃度は異常だ」ライラは息を詰まらせた。「この奥に、大公爵が狙う古の遺物 (Inishie no Ibutsu) が眠っている。だが、その守りも厳重だ。」

エリアンは、ライラに先立って一歩踏み出した。彼の構造鑑定 (Kōzō Kantei) の視界は、この濃密なエーテルの中でさえ、その真価を発揮した。

壁、床、そして天井… 全ての構造物に、細かく複雑なエーテルの回路が張り巡らされていた。それは、巨大な魔法陣 (Mahōjin) ではなく、巨大な回路図 (Kairozu) に見えた。

「これは魔法じゃない。ただのフィードバック制御システム (Fīdobakku Seigyo Shisutemu) だ」エリアンはつぶやいた。

その瞬間、床に敷かれた石板が光を放ち、天井から高出力のエーテル光線 (Ēteru Kōsen) が二人の立つ場所をめがけて照射された。

「エリアン! 罠よ!」ライラは流星で光線を弾き飛ばそうとするが、その強大なエネルギーに押し戻される。

エリアンは冷静だった。彼は光線を回避するのではなく、光線を生み出している天井の発射ユニット (Hassha Yunitto) に鑑定を集中させた。

『解析完了:光線出力 80\%。床の圧力センサーによる起動。再起動までの待機時間 2.5 秒。』

「『誤差修正の原則 (Gosa Shūsei no Gensoku)』を使う!」

エリアンは素早く懐から取り出した二つの混濁エーテル結晶を、発射ユニットの下、床から 1 メートル離れた場所の壁に勢いよく投げつけた。結晶は壁に当たると同時に砕け、大量の不純エーテルを周囲に撒き散らした。

光線が消え、発射ユニットが再起動しようとする。しかし、不純エーテルが周囲に充満したことで、ユニットの制御ユニット (Seigyo Yunitto) はエラー信号を感知した。

『警告:エーテル純度 10\% 低下。動作不安定。制御システム、一時停止。』

発射ユニットは沈黙した。

「すごい… 奴らをショート (Shōto) させたのか?」ライラは信じられないといった様子で尋ねた。

「ショートじゃない。ノイズ (Noizu) だ。このシステムは完璧なエーテル環境下でしか機能しないように設計されている。俺がばら撒いた不純物が、奴らのフィードバック回路 (Fīdobakku Kairo) にとって許容範囲外のノイズとなったのさ。」エリアンは埃を払いながら言った。「完璧なシステムは、完璧な環境でしか機能しない。これは『理想環境依存の原則 (Risō Kankyō Izon no Gensoku)』だ。」

彼らは先に進んだ。しかし、次の部屋はさらに悪質だった。

部屋全体がエーテルの熱循環機構 (Netsu Junkan Kikō) で守られており、温度は灼熱の窯のように高かった。さらに、四隅には小型の自動修復ゴーレム (Jidō Shūfuku Gōremu) が配置されていた。このゴーレムは、ダメージを受けると周囲のエーテルを吸収して即座に修復する。

ライラは弓を構え躊躇した。「奴らは倒せない。破壊してもすぐに再生するわ。」

「倒す必要はない。『エネルギー保存の法則 (Enerugī Hozon no Hōsoku)』を使えばいい」エリアンは鋭く目を光らせた。彼はゴーレムそのものではなく、部屋全体を鑑定した。

「ライラ、俺が熱循環機構を一時的に停止させる。その間、全力でエーテル貯蔵庫 (Ēteru Chozo-ko) を狙え。この部屋のゴーレムは、部屋の貯蔵庫からエーテルを供給されている。供給源を破壊すれば、奴らはただの金属の塊 (Kinzoku no Katamari) になる!」

エリアンは、再び手元の結晶を加工し始め、通路の壁の目立たない場所にそれを埋め込んだ。彼の新しいエーテル錬成 (Ēteru Rensei) スキルは、単なる武器鍛造だけでなく、周囲のエーテルの流れを短時間操作する能力も彼に与えていた。

「行くぞ、ライラ! 起動時間は 5 秒だ!」

エリアンの号令と共に、部屋の灼熱の熱気が一瞬にして冷気に変わり、自動修復ゴーレムの動きが鈍った。ライラは流星の弓を引き絞り、その五秒間に、ゴーレムの背後にある隠された壁の窪みを矢で貫いた。

キィィィィン!

エーテル貯蔵庫が破壊され、轟音と共にすべてのゴーレムは崩れ落ちた。古代の試練は、現代の機械工学 (Kikai Kōgaku) の知恵によって、あっけなく打ち破られた。

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