魂の武器鍛造
結晶の守護者を撃破した後、エリアンとライラは遺跡の塔の隅に身を寄せた。周りには、守護者の残骸である純粋エーテル結晶が大量に散らばっている。エリアンは早速、その中で最も純度の高い大きな結晶を手に取った。
「さて、約束通り、お前の武器を鍛造する番だ」エリアンは、獲得したばかりのスキルエーテル錬成 (Ēteru Rensei) の詳細を頭の中で展開した。このスキルは、構造鑑定 (Kōzō Kantei) で解析した素材の理想的な形状を、エーテルを用いて迅速に再構築することを可能にする。
ライラは、自身の旧式で傷だらけの短弓を見つめた。「あたしが欲しいのは、この弓に替わる強力な武器 (Kyōryoku na Buki) だ。何が出てくるか知らないが、すぐに壊れるような代物はごめんだ。」
「壊れないさ。俺の『最小材料浪費の原理 (Saishō Zairyō Rōhi no Genri)』に従えば、素材の潜在能力を 100\% 引き出せる」
エリアンは、ライラの体格、戦闘スタイル、そして彼女が持つエーテルの微かな波長を鑑定した。彼女には、速射性と一撃の重さを両立できる、精密な長弓 (Chōkyū) が適している。
彼は手に持った純粋エーテル結晶を地面に置き、両手をかざした。手のひらの虚空の鍛冶師 (Kokū no Kajishi) のタトゥーが、血のように赤く輝き始めた。
「エーテル錬成 (Ēteru Rensei)、開始!」
結晶は、エリアンの手から放出される熱とエーテル流によって、瞬時に液状化した。その液体は銀と青の光を放ちながら宙に浮き、ゆっくりと、しかし着実に弓の形を成していく。一つ一つのエーテル分子が、エリアンの頭の中で計算された完璧な内部骨格 (Naibu Kokkaku) に配置されていく。
ライラは息を飲み、その光景をただ見つめていた。まるで、光の精霊が武器を作り上げているかのようだ。
「どうして、そんなに急いで強い武器が必要なんだ?」エリアンは、集中力を保ちながらライラに問いかけた。
ライラはしばらく沈黙した後、低い声で答えた。「…あたしは、この塔の奥にある『禁断の区域 (Kindan no Kuiki)』を目指している。そこに眠っている古の遺物 (Inishie no Ibutsu) を手に入れるためだ。」
「なぜ?」
「あたしの故郷は、上層の大公爵 (Daikōshaku) に支配された。奴らはエーテル精製所を独占し、死地へ穢れたエーテルを垂れ流している。あの遺物があれば、奴らの防衛機構を一時的に停止できる。」ライラの声には、強い憎しみが込められていた。「あたしには時間が無い。奴らの衛兵が、あたしを捜しに来る前に…」
エリアンは、彼女の言葉を聞き、作業をさらに加速させた。彼にとって、これはただの鍛造 (Tanzō) ではない。これは、誰かの未来 (Mirai) を修理する作業だ。
ギィィィィィン!
最後に、エリアンは自身の指先から微量の穢れたエーテル (Kegareta Ēteru) を取り出し、それを弓の弦の部分に微かに混ぜ込んだ。
「なぜ不純物を?」ライラは驚いて尋ねた。
「『対比の原理 (Taihi no Genri)』だ。純粋すぎるものは脆い。不純物は、弓に柔軟性 (Jūnansei) と、お前自身のエーテルに馴染むための接続点 (Setsuzoku Ten) を与える。これにより、この弓はただの武器ではなく、お前の魂の延長 (Tamashii no Enchō) となる。」
光が収束し、エリアンの手のひらに残ったのは、銀色のエーテル結晶でできた、優美な曲線を持つ長弓だった。弦は、エーテルの糸が何千本も撚り合わされてできており、触れると微かに暖かかった。
[魂の武器:エーテル長弓『流星 (Ryūsei)』が完成しました。]
ライラは弓を受け取った。彼女の手が触れた瞬間、弓全体が淡い青色に輝き、彼女の体内に残るエーテルと共鳴した。
「すごい… 軽い。そして、あたしの体の一部みたいだ…」ライラは感動で言葉を失った。
エリアンは立ち上がり、塔の奥の暗闇を指差した。「さあ、ライラ。お前の未来を修理するぞ。禁断の区域へ進む。」
二人は、流星 (Ryūsei) の弓の微かな輝きを頼りに、古代の塔のさらに深部へと足を踏み入れていった。彼らの背後には、彼らが打ち破った守護者の残骸が静かに転がっていた。




