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無秩序な弾道と工学の盾

精鋭衛兵の放つエーテル弾は、予測不能な軌道を描き、通路の壁を削り取った。エリアンはライラを庇いながら、壁の陰に隠れた。

「くそ、弾道計算 (Dandō Keisan) が通用しない! 何だ、あの弾の動きは!」エリアンは激しく息を吸い込みながら叫んだ。

ライラは流星 (Ryūsei) の弓を構えようとするが、衛兵のエーテル式マスケット (Ēteru-shiki Masuketto) は連射が可能で、頭を出すことすら許されない。

エリアンは目を閉じ、構造鑑定 (Kōzō Kantei) を弾丸そのものと、衛兵の手元にあるマスケットに集中させた。弾丸が発射される瞬間、ごく微細なエーテル流の波長 (Ēteru-ryū no Hachō) が変化していることを捉えた。

『解析完了:弾道はランダムではない。 0.005 秒ごとに、標的エリアンの次の 0.1 秒の動きを予測し、軌道を非線形制御 (Hisenkei Seigyo)** で修正している。これは… 予測と対フィードバックの原理 (Yosoku to Tai Fīdobakku no Genri) の応用だ。』**

「ライラ! 奴らの弾は、俺たちの動きを読んで (Yonde) 修正してくる! 予測不能な動きをするほど、奴らは正確になる!」

「じゃあ、どうすればいいのよ?」

「動くな! 停止 (Teishi) こそが、奴らの予測を狂わせる! そして… 盾 (Tate) を作る!」

エリアンは、手に持っていた折れたダガーの柄を床に叩きつけた。彼は体内のエーテル全てを、防御のために使うと決断した。

「『運動エネルギー吸収の原理 (Undō Enerugī Kyūshū no Genri)』!」

彼は、壁と自分たちの間に、エーテル錬成 (Ēteru Rensei) スキルで、即席の複合盾 (Fukugō Tate) を構築し始めた。それは、衛兵が持つ巨大なエーテル盾の構造を逆解析したものだった。

ゴオオオオ!

純粋エーテル結晶と、通路に散らばっていた鋼鉄の破片が、エリアンのエーテル流によって空中で再構成される。それは、単なる分厚い盾ではない。内部には、エーテル弾の持つ運動エネルギー (Undō Enerugī) を 5 層に分けて吸収し、熱に変換するダンパー構造 (Danpā Kōzō) が組み込まれていた。

衛兵たちは、エリアンが立ち止まったのを見て、集中砲火を浴びせた。

ダダダダダッ!

エーテル弾が盾に命中する。激しい衝撃音と、凄まじい熱波がエリアンを襲う。しかし、盾は破れない。弾丸の運動エネルギーは 5 層の構造で段階的に吸収され、盾から放出される熱は、エリアンのエーテル消費によって即座に冷却される。

「くっ… これが天空の鍛冶師 (Tenkū no Kajishi) の力か…」衛兵たちは戸惑い始めた。

「盾はできた! ライラ、弾薬だ!」エリアンは叫んだ。

ライラは、自身の流星の弓を盾の横から素早く突き出し、衛兵の足元に三本の矢を連続で撃ち込んだ。これは攻撃ではない。エリアンが指示した弾薬供給装置 (Dangan Kyōkyū Sōchi) の近くへの囮 (Okori) だった。

エリアンは盾を固定し、再びエーテル錬成を発動した。彼のターゲットは衛兵ではなく、彼らが弾薬を供給している装置そのものだった。

「『連鎖破壊の原理 (Rensa Hakai no Genri)』! 0.1 秒でコア構造を溶断する!」

エリアンのエーテル熱流が、ライラの矢が着弾した箇所から地中へ潜り、衛兵たちのエーテルマスケットの弾薬供給コアをピンポイントで破壊した。

ガシャァァン!

衛兵たちのマスケットは弾薬供給を断たれ、ただの鉄の棒と化した。

「今だ!」エリアンは盾を蹴り倒し、ライラと共に衛兵に肉薄した。

衛兵たちは武器を失ったが、そのエーテル盾 (Ēteru Tate) はまだ健在だった。

「『破壊と回収の原則 (Hakai to Kaishū no Gensoku)』!」エリアンは、衛兵の盾に手を触れ、構造鑑定でその接着構造を特定した。

エリアンの次の行動は、剣士の動きではなく、外科医のそれだった。彼は盾の特定の結合点に指を押し当て、エーテル熱流を注入した。一瞬で結合が緩み、盾はバラバラに分解した。

衛兵たちは武器も盾も失い、エリアンとライラの素早い反撃の前に、為す術もなく崩れ落ちた。

二人は、主要エーテル導管 (Shuyō Ēteru Dōkan) へ続く中央シャフトの入り口を確保した。しかし、要塞の奥からは、さらに大規模なエーテル流の波動が近づいているのが感じられた。

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