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中央要塞への強襲

夜明けまで数時間。エリアンとライラは、下層世界の中心に聳え立つ、大公爵の中央要塞の巨大な城壁を見上げていた。それは魔術的な防衛システムと、最新のエーテル合金で覆われた、難攻不落の要塞だった。

「まるで、世界を飲み込むための巨大なエンジンだ」エリアンはつぶやいた。彼の構造鑑定 (Kōzō Kantei) の視界は、要塞の全層を貫き、内部のエーテル導管や防御回路の複雑なネットワークを解析していた。

ライラは身をかがめた。「警戒が厳重すぎるわ。上空には監視ドローン (Kanshi Dorōn) が飛んでいるし、地上には魔法式センサー (Mahō-shiki Sensā) が張り巡らされている。」

エリアンは自信に満ちた笑みを浮かべた。「大丈夫だ。あらゆる防御システムには盲点 (Mōten) がある。『信号抑制の原理 (Shingō Yokusei no Genri)』を使う。」

彼は懐から、精製したばかりの高純度エーテル結晶を取り出した。通常、高純度のエーテルは発見されやすくなるが、エリアンはこれに不純物 (Fujuunbutsu) をごく微量だけ混ぜ込んだ。

「純粋なエーテルはノイズを発生させない。しかし、0.001\% の不純物を加えることで、周辺のエーテルセンサーの感知範囲 (Kanchi Han'i) を一時的に歪ませる (Yugamaseru) ことができる。これは一種のカモフラージュ (Kamofurāju) だ。」

エリアンは、その調整された結晶を砕き、微細な粉末にして風に乗せた。粉末が要塞の壁に触れた瞬間、壁面のエーテルセンサーが一瞬 (Isshun)、機能停止した。

「今だ! この静穏時間 (Seion Jikan) は 3 秒!」

二人は同時に走り出した。ライラは驚くべき機動力で地上センサーの隙間を縫い、エリアンは最速で要塞の城壁へと到達した。

エリアンは城壁の特定の一点に、手に持ったエーテル長弓 (Ēteru Chōkyū) の先端を押し当てた。

「この壁はエーテル合金でできている。硬度は高いが、その結合は高温 (Kōon) に弱い。『熱伝導効率の原理 (Netsu Dendō Kōritsu no Genri)』!」

彼は、自身の体内に残る全エーテルを一気に熱エネルギーへと変換し、弓の先端からピンポイントで放出させた。この高温は、ゼオンとの戦いで使用した熱収束塊よりも遥かに集中されたものだった。

ジュゥゥゥッ…

硬いエーテル合金の壁が、悲鳴を上げて溶け始めた。エリアンの周囲は灼熱の蒸気に包まれるが、彼は決して手を緩めない。彼は、10 センチの厚さの合金壁に、完璧な侵入穴 (Shin'nyū Ana) を開けた。

「ライラ!」

ライラは迷わず、その穴から要塞の内部へと滑り込んだ。エリアンもそれに続いた。

内部は、予想通り、巨大なエーテル導管 (Ēteru Dōkan) が縦横に走り、まるで巨大な血管のように要塞全体にエネルギーを送り込んでいた。彼らの目の前には、主要導管へ続く、巨大な中央シャフトがあった。

そのシャフトの入り口を、二体の精鋭衛兵 (Eritō Heiei) が守っていた。彼らの鎧はゼオン騎士のものよりも簡素だったが、手に持った巨大なエーテル盾 (Ēteru Tate) は、銃弾すら弾き返す硬度を持っていた。

「侵入者だ! 撃て!」衛兵の一人が叫び、銃口からエーテルを圧縮した弾丸 (Dangan) を発射した。

エリアンはとっさにライラを庇い、通路の隅に転がった。

「くそっ…! 『弾道計算 (Dandō Keisan)』の原則を無視した、ランダムな弾道だ!」

これは、単純な破壊ではない。彼らは、大公爵の用意した、より高度な迎撃システム (Geigeki Shisutemu) の餌食になろうとしていた。二人の目の前には、絶望的な状況が立ちはだかっていた。

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