再会
「和真ちゃん!」
「おーっ、瀬奈久しぶり!!」
会うなり2人は抱き合った。
男女が食堂の真ん中で人目もはばからず…といった感じではなさそうだ。
「和真ちゃん、この人が葛西さんだよ」
「ウィッス、和真っス!!」
見るからにチャラい格好だが、中身もそのままの様だ。
東の海岸近くに空港があり、併設されたカフェで食事がてら会う約束をしていた。
「和真くんは、私と同い年なんですよ」
話しぶりからみると兄妹の様に見える。
和真は今、内地の大学に通っているようだ。
直樹と違い、島民らしさみたいなものは感じられない、そこらにいる普通の大学生だった。
「うーん、もう島にいないんでわかんないですねぇ」
確かにすでに島の人間ではない和真に近々の情報を聞いた所で、大した情報は得られないだろう。
そこで葛西はひなこの事について質問する事にした。
「……正直、あんま話したくないっすね」
陽気だった和真も、この話になると沈んだ表情になる。
瀬奈にうながされ、ようやく口を開いた。
「俺聞いたんすよ、ひなこがいなくなってから…呪いが出たって」
呪いの話はこうだ。
ひなこが行方不明になってからしばらくして……健志が学校に来なくなった。
和真は健志が心配だったのと、借りていた漫画を返す為に健志の家に行ったそうだが、その時大勢の大人がいたので中に入れなかった。
中では健志の叫び声が聞こえ、廊下を慌ただしく歩く住職の姿が見えた。そこで耳にしたのだ。
「住職!健志の呪いを何とかしてやって下さい!!」
辺りに重い空気が漂っていた。
「呪い…ハッキリそう言ってたんです」
葛西にはその言葉が冗談に聞こえなかった。もちろん瀬奈にも……
2人は…先ほどの直樹の事を思い出していた。