表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛸壺の島  作者: 成田ごんぞう
5/25

呪術

「恐らく呪術の類なんじゃないのか?」


葛西の電話の相手……オカルト雑誌の編集長だった。

壺の正体が分からないかと、見つけた時点で頼んでおいたのだ。


「一応いろいろ当たってみたが…蛸壺を使った呪術は聞いた事がない」


その島独自のものなのではないか?そういう結論だった。


「問題は誰が、その壺を用意したって事だな」


ひなこの母親が最も有力だろう。

今の所は別の人物が思い浮かばない。


「母親だって事は、その健志って子供に向けての可能性が高い、

 だが、呪いってのは術者に返ってくる事もある」


「……心中もそれが原因だと?」


「それは分からん……だが、術者が死んでも呪いは残る可能性があるんだ」


「つまり災いがまだ残っているという事……ですか?」


「まあそのつもりで気を付けろってこったな」


どこか軽い感じの返事。

そう、この稼業ではこういった事は日常茶飯事である。

それは葛西の承知していた。


ただ、どこか今までのケースとは雰囲気が違う気がした。

都合良く割れた蓋……何かこちらを誘い出しているような……


「どうかしました?葛西さん」


隣で目をクリクリさせてこちらを覗き込んでいる瀬奈。

ひなこの話では元気がないが、それ以外ではきわめて明朗快活、

いつの間にかお客さんとも呼ばれなくなっていた。


「明日はどこに行きましょうか?」


島を巡っている間、ずっと話をしていた。

若い人がそこまで多くない為か、話し相手がいると嬉しいようだ。


「あぁ、じゃあ明日は直樹さんと、えっと…四人目の……」


「和真くんですね。私も久しぶりに会うから楽しみだなあ」


まるで遊びに行くかのようだ。


「和真くんとは島を出るまで仲良しだったんですよ」


どうやらあの一件以降も和真とはよく遊んでいたらしい。

瀬奈が楽しそうにしているのはそれもあるのだろう。

とりあえず、明日の出発時間を決めて今日は解散となった。


(和真はともかく……直樹は何か知っているかもしれない)


一番の年長者だった直樹は当時11歳。

それくらいなら十分当時の状況も記憶しているはずだ。


明日聞くべき事を考えながら葛西は床に就いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ