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蛸壺の島  作者: 成田ごんぞう
13/25

確信

診療所の医師の診断だと、突発的な心筋梗塞だろうという事だった。


「葛西さん、これ一体どういう事なんですか!」


事情を聴いてやって来た和真が葛西に詰め寄る。

和真の語気ににはぶつけようのない憤りが感じられた。


「……分からない」


「…………っ!!」


湧き上がる感情をぶつける所のない和真を見て、瀬奈は再び顔を手で覆って泣き始めた。


葛西にとっても初めての事だ。呪いで人が亡くなるのを見るのは……

だが、既に確信に近いものはあった。


亡くなった直樹の身体……あれだけ禍々しく覆っていた痣がすっかり消えていたのだ。

恐らくその死をもって呪いが解けた、という事だろう。


葬儀に向けて準備をする住職が、葛西と瀬奈にこう告げた。


「呪いの事は伏せておいて下さい。今島民を不安がらせるのは危険です」


葛西は静かに頷く……

そして和真にもその事を伝えた。


「わかってる……わかってますよ……」


ひなこの時にも呪いの噂が立ち、島内は混乱したらしい。

その事は和真も理解していた。


「でっ、でもこのままじゃ……」


「……分かってる」


葛西は和真の目をしっかりと見て言った。

明確な強い意志――和真もそれを感じ取った様だ。


「俺も協力出来る事はしますよ!」


「あぁ、当事者の助けがなければ解決出来ないかもしれない……よろしく頼む」


「ええっ、任せて下さい!」


和真も葛西の態度を心強いと思ったのか、少し表情が和らいだ。


瀬奈は直樹の死を受け止めきれないのか、うずくまったまま動けないでいた。

これ以上何かを頼む事は出来ない……葛西はそう感じていた。


「和真くん、移動する時に車を出してもらう事は出来るかい?」


「家に2台あるんでたぶん出せますよ。いつでも呼んで下さい」


「……ありがとう」



既に夜の帳が下りている。

葛西は東を向き、闇に包まれたその先を見ていた。


(あの森に……手掛かりはある……)

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