呪いの連鎖
葛西は和真に痣の有無を尋ねた。
「ん-、ないはずですけどねぇ……」
シャツをめくって自分で見る仕草をしている。
念のため後ろから見てみてが、直樹の様な痣は見当たらなかった。
(和真にはないのか……)
そう思いながら瀬奈の方を見た。
彼女は葛西が何を考えているか察した様だ。
「私のも……見てみたいですか?」
「いっ、いやっ……別にそういう……なんというか」
「ふふっ、大丈夫です。私もありませんよ」
いたずらっぽく笑う瀬奈、葛西もやれやれといった顔をしていた。
「あの痣は直樹だけに付いているのか……」
「ん、何すか?直樹くんのアザって……」
(そういえば、和真は知らなかったんだな)
直樹に奇妙な痣が出来ている事を伝える。
すると若干青ざめた様な顔をした。
「あの……そういえば思い出したんですけど……」
「何をだい?」
「健志にも……そんなアザが出来てたっぽいんです」
まさかの情報……
どうやら当時の会話を思い出したらしい。
「大人の1人が言ってました。このアザが動いてるって……」
動いてる?まさか……
だが、もしかしたらという思いもあった。
食事をしながら1時間程度……
一通り話を聞き終えただろうか。
「ごちそうさんです。じゃ、俺イベント走らないといけないんで」
そう言ってスマートフォンを取り出した。
こういった所は今の若者、と言った感じだ。
「ありがとう。助かったよ」
「和真ちゃんじゃあね。また時間がある時に会おうね」
和真は既にスマホの画面に没頭している。
瀬奈の声に手をあげる和真を尻目に、2人はカフェを後にした。
「次はどうします?お昼過ぎですけど……」
葛西はこの島にある寺を訪ねた。
どうやら今もひとつだけあるらしい。
「分かりました。その前に自販機で飲み物買っていきすね」
どことなく楽しそうな瀬奈……
少し不思議に思いながらこの島唯一の寺へと向かった。