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駅に着くと、ホームで電車を待った。
制服を着た人もいれば、スーツを着た人もいた。
僕はぼんやりと遠くの景色を見ていた。
つい先日まで僕は陸上部だったが、引退した。
春の大会が最後になった。
電車はしばらくするとやってきた。
僕はバッグを持って、乗り込む。
端の席に座り、窓の外の風景を見ていた。
昔からよく見ていた風景だった。
それでも今は少し新鮮に感じた。
電車で四駅目のところに通っている高校の最寄り駅がある。
電車を降りると同じ高校の生徒がいた。
「よお。圭介」
ふと声を掛けられたので、後ろを振り向くと、同じ陸上部だった高井がいた。
「受験勉強してる?」と僕は聞いた。
「一応やってるよ。でもあんまりはかどらないんだよな。お前は成績がいいからうらやましいよ」
「今日から新しいクラスだな」
「同じクラスだといいな」
僕らはそんな話をしながら、高校までの道を歩いて行った。
空には太陽が輝き、どこまでも水色の空が続いている。
僕は高井と歩きながら、校門の中に入って行った。
校舎の掲示板の前には多くの生徒が集まっている。
僕は張り出された紙の中に自分の名前を見つけた。
「違うクラスだったな」と高井は言った。
「まぁしょうがないよ」
僕らは下駄箱で靴を履き替えて、階段を上って行った。
校舎は古いがどこか趣があり、懐かしい感じがする。
この高校に通うようになってから、この雰囲気が好きだった。