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黒と灰色に塗れた道

作者: 七志
掲載日:2023/01/19

一部分を切り抜いて書いた作品なので、かなり荒い作りになってしまいました。

重めな形の終わりになりましたが、彼は今幸せな人生を歩んでいますので、それを念頭に置いて読んでいただければ、辛い事も経験の一つとして見ていただけるのかもしれないです。


兄貴が逮捕されたらしい。


自宅に掛かってきた一本の電話は警察からだった。

後から分かった事だが、警察は網を張っていたそうだ。

既に9件、余罪の疑いがあり、次に行われるであろう現場を予測して、範囲を絞っていたとの事。

犯行に入られたコンビニの所在範囲から、犯人像を特定して、それが兄貴であると目星をつけていたのかもしれない。

警察は優秀だから。


衝撃はあったが、正直な話、ただ単にめんどくさいなとか、迷惑だな程度にしか思わなかった。

はっきり言って他人事に近い感覚を持っていた。

対して連絡を取ることもなく、離れて暮らしていた。

そもそも兄貴の事がそんなに好きではなかったし、どうでもよかったところもある。


でも、母親は頭を抱えていた。

自分の子供が突然犯罪者になったのだ、言葉で簡単に表現できるような感情ではないのだろう。

想像出来ない程、辛いはずだと思った。

とりあえず、心配するフリはしておいたけど、それに構っていられる程、俺も暇じゃなかった。


高校生活が始まったばかりの俺にとって、最優先はクラスの立ち位置と、振る舞いをどう取るか。

今思えば、本当にくだらない事に、当時の俺は命を削り、時間を割いていたと思う。


新聞にも載った。

顔写真はなかった。年齢と犯行の詳細が記されていた。

母親は大人のやりとりに追われ、色々な雑務が続いていた。

当時の俺にはよくわからなかったけど、コンビニ強盗で懲役7年という判決は重いらしい。

みせしめにされたのだと、知らないおっさんが言っていた。

後から、おっさんが兄貴の保護観察官だと知った。


俺自身も、なにかと巻き込まれた。

いい迷惑でしかない。

俺は全く関係ないし、犯罪者の弟だとか、他人様から言われる筋合いもない。

俺は俺だし、兄貴は兄貴だろう。

でも世間様はそういう考え方ではないみたいだ。

社会という、そのシステムそのものが畜生なのだと思った。


親父がいてくれたら、きっと違ったのだろう。

兄貴も強盗だってしていなかったかもしれない。

あくまで結果論ではあるけど。

責める相手が違うのは分かっている。

でも、アンタが生きていてくれたら、どれだけ母親は楽だっただろうか。

そんな風に、誰かのせいにして、不条理な状況から、当時の俺は逃げていた。

逃げるしかなかった。

別に俺は悪くないのだから。


母親はコンビニに歩きまわって頭を下げていた。

兄貴のためにそこまでやらなくてもいいんじゃないのか、出所してから本人にやらせたらいいのに。とか思っていたが、そんな甘っちょろい事が通用する世界ではない。


それから、僅か2週間後の事。

祖母が亡くなったという連絡が叔父から入った。

悪いことは重なるというが、ここまでクリーンヒットさせる神様は、かなり性格が悪そうだ。


母親方の祖母はもともと鬱病で、薬を服用していた。

以前から、自殺未遂はあったけど、そのほとんどが本気ではなく、構って欲しいレベルのモノばかり。


今回はというと、何の予兆もなく、唐突に死んだのだ。

薬を飲み、そこに日本酒を大量摂取。

それが死因だそう。

二度と起きることは無かった。


発見者は叔父で、いい天気だからツーリングでも行っておいでと、祖母に言われたそうだ。

気分が安定していると踏んで、叔父はバイクを走らせてた。

帰ってきた時には、実の母親が冷たくなっていたそうだ。そして、その側にあったのは、空になった日本酒瓶と、いつも服用していた薬の空容器だった。


兄貴の事なんかより、俺にとってはこの悲報がショックで堪らなかった。

祖母のことはどちらかといえば好きな存在ではあったし、思い出もそれなりにあった。

そして、母親の事も、流石に本気で心配になった。

精神的なダメージで、母親が死んでしまうんじゃないかと思ったから。


母親の妹と弟。

俺からしたら叔父と叔母。

三姉弟は支えあいながら育ってきたようで、今回の件も三人で必死に受け止めつつ対応していたみたいだ。


悪いことは、度重なるもので、あれからしばらくして落ち着いてきた頃、俺が高校二年に上がった年。

今度は、母親が癌になった。

ここまで来ると、神様はどうにか俺たちに消えて欲しいのだろうと思えて仕方ない。

前世で余程悪いことをしたのかもしれない。

いい事があれば悪い事もあるとか言う奴に言いたい。


いつになったらいいことはやってくる?って。

俺は薄暗く、前も後ろも見えない、世界に一人だけ放り出された気分だった。


一つわかった事は、神様は絶対にいないという事だ。

いたとしたら、ただの迷惑野郎だ。


それともう一つわかった事は、人生いい事よりも悪い事の方が記憶に残るという事。

これは俺の価値観だから、正解ではないと思う。


でも、今も俺が歩く世界は、バラ色の輝く彩り鮮やかな道じゃない。

灰色一色で、希望だとか夢だとか、そんな甘っちょろい言葉は存在しないイバラの道だ。


出口はあるんだろうか。

あるならだれか教えてくれよ。

俺はどぶネズミのように、いつまでもこの道を歩いてくしかないのだろうか。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

高評価・感想をぜひよろしくお願いします!

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