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第九話 卑劣な猪に鉄槌を

 朝起きたらかけていた猪の毛皮から出て簡易的に作ったベッドから起きる。

 そして起き抜けに《イブンハズ・サントリ》を使って宙を舞う手を召喚する。

 スキルそのものが強化された影響か以前よりも素早く動きパワーも出るようになった。


 とりあえず起きたら機能放置した残りの毛皮の除脂作業を行う。

 十匹分あるけど一時間もあれば終わるでしょ。

 ソニスは異様に早くない?って言ってたけどクラフトゲームをやってる上位生産者はこれくらい出来るよ。

 スピードと精密さ重視の作業を求められるものを何個もこなしてたらこれくらいは出来て当然だよ。


 除脂作業が終わったらなめし液につける作業だ。

 本来なら数日はつけておかないといけないけどつける作業を一時間で終えるという特殊な箱に入れる。

 ふたを閉めて一時間すると何故かなめし液でつける作業が終わってるんだよね。時間でも加速しているんだろうか。


 液につける作業が終わったら次は干す作業だ。

 これも専用の機械があるんだよね。しかもどこかで見たことあるロゴのかかれた機械が・・・・・・

 まあ、ロギロスがこのゲームで既にこんな機械を作っていることは確定したから多分どこかにいるんだろうね。


 干す作業は皮を置いておけば自動的に機械の中に飲み込んで一枚ずつ乾かしていく。

 これ地味に面倒な作業だったからありがたいよ。

 PKが襲ってくるだろうからどうやって干せばいいのか悩むところだったよ。

 絶対台無しにされること間違いなしだしね。


「さて、後は自動的に作り上げてくれるだろうし私は外で工房作成の続きでもしてくるよ」


 私はソニスに見送られながら本の外側の世界に出た。

 外に出るとガンガンと建築中の工房を壊すPKが・・・・・・

 うん、絶対許さん!

 ぶちのめしてやる!


「《ブルダ・ブイフト》!」


 同時に二つ発射できるようになった火の玉で仕返ししてやる。

 この《ブルダ》は頭に着けると二回唱えたかのように呪文を二発撃つことが出来る。

 これで同時に二発の火の玉を放つことが出来るって訳だね。


「ははは! 来たな!」


 相変わらず猪の被り物をかぶってる。

 前回と違って口元が見えるようになってるからもう自滅はしないだろうね。


「《ヒュシル》!」


 PKは呪文を唱え・・・・・・そのまま何事も無いかのように火球が命中した。

 何がしたかったんだろうか。

 呪文が不発でもしたんだろうか?


「畜生! 見えない盾だとおもったら全然使えねぇ!」


 あ~見えない盾を展開する呪文なのね。

 恐らくヒュというのを考えると風の盾みたいなのを・・・・・・

 《ブイフト》すら防げないとなると何のために存在してるのか理解に苦しむ呪文になるね。

 《ブイシル》なんて呪文が出てきたら解析とかしっかりして使い道調べないとね。


「《ケサン》《スラシァ》!」


 とりあえず追撃だ。

 手元に剣を召喚して攻撃する。

 それに反応してPKは躱して・・・・・


「《ヒュ・グナダァス》」


「《クタガァス》」


 風の拳で攻撃してきたから拳の防御呪文で対抗する。

 相手の攻撃を逸らすようにしてダメージを最小限に抑える。

 ってなんかこの呪文を剣を持ちながら行ったから新しい呪文が生えたよ。

 《パリガァス》って呪文だね。多分剣の逸らす系の呪文だろうけどその検証は戦いが終わった後にしよう。


「《イブンハズ・サントリ》《ブイ・スラシァ》!」


 とある所に浮遊する拳を召喚し、火の剣で攻撃を入れる。

 向こうは風の拳を使った後だから対抗手段は一つしか無いよね。

 しかも至近距離だ。使わない手は無い。


「《ヒュスブレ》!」


 暴風のブレスを直撃させてきた。

 でもこれは抵抗せずに吹き飛ばされればダメージはそれほど高くは無い。

 ソニスが言ってたけどスキルを一点に極振りすると強い呪文はでるけどそれを扱いこなすだけの制御力とかが備わらないで手に入っちゃうからそこまで驚異的な威力を発揮しないらしい。

 実際その通りなのかもね。


 風スキルがない呪文はたいしたことが無い。

 そして強すぎるスキルを使わせれば前回みたいに早い段階でエネルギーが枯渇する。

 良い感じに何度もこの呪文を使わせて上手い具合に対処すればすぐにエネルギーが枯渇するはずだ。

 そしたら一気にとどめを刺す。


「《ブルダ・ブイスラン》!」


「クッソ、ポンポン呪文出してきやがって! 《ヒュスラン》《ヒュスラン》!」


 にしても一言で二つの槍で攻撃出来るのに向こうは二回言わないといけなかったりするから結構強いと思ってたPKももう大して強くない気がするね。

 そもそもソニスからエネルギーの量が尽きない程あると言われた私が一度に発動できる術の数が増えればその分火力が増えるから当然なのかもね。


「《ブルダ・ブイフト》《ブルダ・ブイフト》《ブルダ・ブイスラン》《ブルダ・ブイフト》」


 まあ真面目に戦う気が無いならこの呪文連射でどうにでもなるよね。

 私自身PvPをする気は無いんだ。

 やりたいことの邪魔をするなら消えて貰うよ。


「グミ撃ちしやがって・・・・・・こっちはそんなことが出来る程エネルギーが無いんだぞ!」


「じゃあ、最初から襲ってこなきゃ言いじゃん! なんでわざわざ私の工房を壊そうとするの!」


 作ることの大変さを知らないからこんな簡単に物を壊せるんだよ。

 本当にむかつくね。どうにかしてこいつを懲らしめてやりたい。

 でも倒したところでまた復活してこっち襲ってくるしどうしようも無いよ。


「《ケサン》《ブルダ・ブイ・スラシァ》」


 火球に紛れて接近してもう一本の剣を召喚して火の剣の二刀流をお見舞いする。

 正直二刀流は使いこなせないけど一発当てるだけなら普通に出来るからね。


「ガァァァ・・・・・・クソ、自滅もしてないのにここまで追い詰められるとは思わなかった。だが、目的は達した」


「目的・・・・・・!?」


 突然周囲の空気が重く・・・・・・それに呼吸できない。

 これは《ヒュコート》の空気操作!?

 いつ仕掛けられた!?

 しかも破る方法考えてたけど明らかに以前よりも束縛率が高い。

 何故!?


「ハァ・・・・・・こんなガキにギルメンを集めてよってたかって呪文で縛り付ける羽目になるとは思わなかったぞ」


 ギルメン・・・・・!?

 よく感じ取ってみれば周囲に人が居る。

 あのPKに集中してたから気がつかなかった。

 あいつ・・・・・・最初からこうするつもりだったのか。


ぁぃぁぉぅぇぃぁ(何が目的だ)?」


「何が目的かって? 小さいガキが居るんだ。徹底的に痛めつけたいという奴らが集まってギルドを作ってるんだよ。このゲームには痛みがあるんだ。どんな風に顔が歪むのか見てみたいよなぁ」


 クズ野郎が・・・・・・

 道理で私に執着するわけだよ。

 実年齢はともかく見た目は完全にガキとして扱われてもおかしくないからね。

 めんどくさいのに目をつけられた。

 こう言うのってBANされないの?


「へぇ・・・・・・そんな下水を煮詰めたかのような腐った野望のためにこんなことした訳か。いっぺん死んどけよ。《フェバイツ・ヒュスブレ》」


 どこからか聞き覚えのある声ガキ超えたと思ったらとんでもない暴風が周囲を吹き飛ばした。

 それも私を避けて周りのPK共を全員吹き飛ばして近くの地面に叩きつけた。


「不意打ちしかけたわけでもないのに一人も対応できないなんて弱すぎだろ。PvP舐めてんのか?」


 私の近くまで誰かが近づいてきた。

 その体型は私とそう変わらない大きさだ。

 その髪は銀髪で毛先が緑色になっている。前髪に金髪のメッシュがはいったその顔には見覚えがありすぎた。


「ビュウス?」


「昨日ど派手にぶっ飛ばされてるのをみてこの辺で辞めてたんだよ。出てきたらこの騒ぎだ。昨日吹き飛ばされたのはこいつ等が原因か?」


 ああ、昨日の吹き飛び逃走を見られてたんだ。

 爆発の時ど派手な音がしただろうしね。

 同じエリアにいたならそりゃ気がつくよね。


「しかし集団で《ヒュコート》による空気操作による束縛か。全員がよってたかってやればこんな呪文でもここまで脅威になるんだな。まあ俺には意味が無いけどな。てかさっさと起きろよ。続きやろうぜ。それともお前達はそんなに数を持ってしてもこんなガキ一人に勝てないとかほざくのか? ならガキ一人に逃げて帰ったクソ雑魚PK集団と名前を改めたらどうだ?」


「このガキがぁ!」


 ビュウスの挑発に乗りPK達は一斉に襲いかかった。

 まあ、ビュウスだし結果は見えてる。

 私と違ってPvPが得意なビュウスだしね。

 徹底的にいろんな呪文を鍛え抜いてるでしょ。


「《スーム・ヒュフト》ショット!」


 呪文を唱えた後かけ声と共に大量の風の球がPK集団に命中した。

 この《スーム》って呪文、多分私のブルダよりも先にある呪文だよね。

 ビュウスは一週間の期間で徹底的にあらゆる呪文を鍛え上げてるんだろうね。

 少なくともPKの《ヒュフト》より威力はかなり強かった。


「グホォ全員攻撃ヒュスラン


「わかりやすいんだよ《スーム・ヒュコート》」


 PK集団が投げようとした風の槍が飛んでいかず自分を刺し貫くように射出された。

 これって相手の風の槍を空気を操る呪文で乗っ取ったって訳!?

 そんなことも出来るんだ。


「数の暴力を生かせてない。そもそも同じ風スキル使い相手に操作してない呪文をぶつけようとする地点で間違ってる。スキル概要が分かってないうちは下手に射撃系呪文を撃つんじゃ無い」


 確かに、これ下手すると《ブイフト》と《ブイスラン》は制御が乗っ取られるって事だよね。

 私はダメージを負わないけどこれが《レイフト》だったら視界を奪われるとかそんなことも普通にあり得るだろうね。

 となると完全にスキル配置ミスったかもしれないね。

 もう少し考えるべきだったかもしれない。


「さてと、とどめだ。《スーム・リビフト》」


 ビュウスは沢山の電撃の球を放ちそのままPKに当てた。

 PKたちはそのまま全員消し飛んでしまった。

ソニス「さて今回紹介するのはホムラとビュウスが使ってた呪文に追加する単語だよ。

《ブルダ》は数を増やす呪文なんだ。これは2って意味ね。

数字は1から順番に、《シルグ》、《ブルダ》、《プリト》、《スフォ》、《フフィ》、《スクシ》、《ブンセ》、《エトイ》、《クハイ》って順だね。そして《スーム》は10以上の沢山の数字を示す単語だよ。あと《ズーカ》っていう1~9までを内包した単語もあるね。《スーム》ともなると一度に大量の技を発動できるからとんでもない弾幕を張れるようになるよ。数を増やせるって凄いんだよ。ちなみにもう一つ出てた《フェバイツ》はいずれね。これの解説はホムラが獲得してからかな。

と言うわけで今回の解説はここまで。次回も見てね。

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