第八話 神はチェンソーでバラバラにするものでしょ
「え?」
運営の頼み事が買い物をしろ?
意味が分からないんだけど・・・・・・・
「正確に言うなら大量の素材や作った製品を売って納品して欲しいって事だね。実は私達幻想の書の妖精を通しての買い物で出る商品は全部ベータテスターと運営の人がかき集めてくれたものなんだ」
そういえばゲームじゃ無いんだから無からいきなり作り出せるわけ無いよね。
ってことは必然的に誰かがかき集めたって事になるわけだね。
「かき集めた商品って少ないの?」
「主に武器、防具が不足してるね。ベータテスターの人達も作っては居たんだけど一気に枯渇してね。少ないEPで手に入れられる物はもうほとんど無いんだよ」
あ~私は自分で作ろうとしてたから見てなかったけどそんな酷いことになってたのね。
ソニスがやけに買い物を推すなとは思ってたけど・・・・・・
あれちょっと待って。
「私が武器や防具作れること言ったっけ?」
「この会社の前作をプレイしてたでしょ。クラフトメインのやつ。あれはこの世界で手に入る素材だけでどれだけのものが作れるかというのをシミュレーションしてたんだよね。そのゲームのプレイヤーとしてのランク付けは妖精たちに提示されるからどんなものが作れるかは最初から分かってたんだ」
あ~VRアカウントは脳波情報から作られる物だし同じ会社ならそりゃ分かるよね。というよりあのクラフトゲームってそんな理由で作られた物だったんだ。
となるとあのクラフトゲームでエリクサーとか作ってたしこの世界でも作れるって事だよね。
「そのクラフトゲームのことは知ってるの?」
「知らない。と言うよりクラフトメインのVRMMOってどんなのって思うくらいには知らないね。確か一切の戦闘行為がなくて物を作るしか出来ないんでしょ」
まあ、確かにあのゲームは斬新だったしね。
でもリアリティのある料理とかが作れるとかでPSOよりかは人気だったね。
素材消費しないで高精度で料理を作れるわけだしね。
現実でも行う生産技術を磨けるゲームとして有名だった。
武器とか防具は全てNPCが使う。
そのNPC達が素材を集めてどんどんいろんな物を作っていく。
戦闘行為が出来ないからモンスターに襲われたら一巻の終わりだからNPCに守られつつ素材を集めたりとか巨大なモンスターに立ち向かうための前線基地の作成だったりとか色々出来たね。
ちなみに私は私と同じような境遇の人達を集めたギルドを作って遊んでたね。
巨大な魔術塔を作ってドラゴンを一網打尽にしたり、チェンソーの悪魔と言われる武器をNPCに使わせて神をバラバラにさせたりしたよ
一時期トップギルドになってたくらいにはやり込んでたしね。
トップに君臨するなら全てマニュアルクラフト、システムにほとんど頼らない手作りでやってたからね。
だからちゃんとした工房があれば武器防具の製作はお手の物だよ。
特に最初に手に入るような難易度の低い素材ともなればね。
「いや、なんか凄いツッコミどころがあったんだけど! 神をなんでチェンソーでバラバラにしたの!」
「チェンソーが作れてしかも神と呼ばれる邪神がいたから。ならバラバラにするよね」
「意味が分からないよ!?」
まあ、そういうネタを知らない人には武器として見ればかなり扱いづらいチェンソーを凶悪な敵をバラバラにするレベルまで仕立て上げたと考えると意味不明の行動に思えるよね。
実際他の武器でバラバラにさせるならもっと簡単だった。
大昔にラスボスの神がチェンソーという一定確立で即死させるというアイテムを使って確定で即死させられたというバグがあったというのが元ネタだしね。
まあ、クラフトゲームでやったのは正規の方法だから余計タチが悪い気がするけどね。あのチェンソーの悪魔を使えばあの神相手に攻撃を与えられるNPCなら確実にバラバラに出来るという代物だしね。
「とりあえず、クラフティングオンラインでホムラが訳の分からない物をたくさん作っていたというのは分かった」
まあ、竜が近くを通ったら確実に仕留める竜殺しの塔も大概だとおもうしね。
なんかこっちは突っ込まれなかったけども・・・・・・
チェンソーで神を殺させるよりもやばいと言われた代物なんだけど流石にプレイしてない人からすればこっちの方がインパクトでかいよね。
チェンソーで殺せた神より強い竜神すら一撃で仕留めると言えばもっとリアクション取れただろうけどね。
「とりあえず、この技術で武器防具とか量産して欲しいって事ね」
「そういうこと。EPもその分手に入るし運営の手助けになるから薬を届けてもらえるようになるかもしれないし一石二鳥でしょ」
まあ、あくまでもかもだけどね。
それにエリクサーともなれば流石に私の力だけで作るのは厳しい物がある。
クラフトゲームの仲間だったロギロスやセルフィスの力を借りないと厳しいだろうね。
材料があっても機材が一人ではとてもじゃないけど作れない。
ロギロスはそういうのが得意だしね。
というかチェンソーにしろ機械系の高度な製造物はロギロスの手を借りないと正直厳しいところがある。
セルフィスは薬品調合の腕前が必要だ。
大前提となる機器を作るための薬品の機器なしでの調合は彼女の力を借りないと厳しいだろうしね。
私とこの二人さえ居ればエリクサーは作れるだろうね。
ただ、本格的に何かを作るとなったら他のメンバーもいたほうが安定するだろうね。
というよりセルフィスは正直このゲームをしていたとしてもなんか酷い目に遭ってそうな雰囲気がするんだよね。
他のプレイヤーに絡まれてるときに助け出すためにもしょっちゅうPvPのゲームと平行してやってた残りの二人と合流出来れば良いかな。
ちなみに全員このゲームをやっていることは事前に把握してるし辞めてなければ確実にどこかにいるはずだ。
クラフトゲームで一度集合してどこに居るかを把握するという手は使えそうに無いしね。
なにせなんかどこかの誰かが巨大なロボを何十台も動かしてあちこちに居るボスを蹂躙して回って色々とおかしくなったせいで長期メンテナンス中だからね。
まあロギじゃなかった、誰かさん以外にも大暴れした人多かったしね。
あちこちのトップギルドが一週間前に大暴れしまくったからね。
竜殺しの塔がへし折れてしまうくらいにはとんでもない兵器がバンバン飛び交ってたしね。あれ、結構作るの大変だったのに・・・・・・
クラフトするどころじゃなくなるというとんでもない事態に陥ったからそれでオンライン版は長期メンテで入れなくなるという出来事があったからね。
オンライン版復旧は三ヶ月後の予定だからそれより後でも無い限りはこの手を使って把握というのは出来そうに無いんだよね。
地力で探すしか無いってことだよね。
「大暴れして復旧が三ヶ月後って魔境だったりする?」
「トップ勢はプレイヤーが戦闘出来ないとか知ったことかと言わんばかりの兵器を作ってるからね。次のゲームに移行しようとして羽目を外せばこうなるよ」
空を舞う戦艦、それを打ち落とす巨大UFOを打ち落とす巨大砲台を壊すなにかとか凄い光景だったしね。
世紀末か何かか!っとビュウスが突っ込んでたのが面白かったな。
シャウラとか笑い転げてたしセルフィスとかはあわあわしてたしそれはそれで楽しかったね。
「にしても、ホムラのギルドの仲間ね。それと合流することは・・・・・・まあ、こっちで妖精達とコンタクトを取って探ってみるよ」
「え、協力してくれるの?」
「少なくともあんな魔境に出来る程の製作能力があるなら魔物と対抗出来るかもだしね。なら早いこと合流させるのはありでしょ。運営の正体を明かされてる可能性が高いしね。明かされてなかったらこの方法での合流は諦めてね」
これは結構ありがたいね。
ほぼ間違いなくロギロスあたりには明かされてるだろうしね。
私はギルマスだから明かされたのだと考えるとあそこまで大暴れした主犯であるロギロスが明かされてないとはとても思えないしね。
さて、色々判明したことが多かったね。
このゲームが普通では無いと知りはしたけど責任感でどうにかしたりはするつもりは無いよ。
これがリアルなんだとしても作業みたいに黙々とやるのでは無く楽しんでいろんな事をしないとね。
そのためにも、どうせ明日も襲いかかってくるあのPKに対抗するための装備なんかを作らないとね。
今日は向こうの自爆だったけどちゃんとした形で決着をつけよう。
そのためにもこのイノシシの毛皮で装備を作らないとね。
皮なめし・・・・・・工程を端折れば品質は落ちるけど装備は出来上がるはず。
武器は金属の確保が出来ないから無理だけど出来る物はどんどん作っていこう。
そう思って作業していたらなめし液につける工程と乾かす工程をどうにかする道具があるとソニスに言われた。
それによって装備をちゃんとした形で作ることが出来た。
装備のスペックとか見れないのが残念だけど以前より固くはなったはずだ。
それとなめし済の毛皮を大量売却したEPでスキルを全体的に強化したからこれで対抗できるはずだ。
ふふふ、何度も襲ってくるあのPKを今度こそ返り討ちにしてやる。
ホムラ「今回は私が解説していくよ。
私が解説するのはクラフトゲームと私が呼んでいるクラフティングオンラインと呼ばれるゲームだよ。
このゲームはプレイヤーが戦闘行為を行うことは一切無くて基本的に製造することしか出来ないゲームだね。オフライン版とオンライン版があって違いは一人でつくるか皆で集まって作るかって違いくらいかな。あと物を作るにしても料理だけとか建築だけとかそういう特化型の設定でプレイできたりもするね。それに作りはしないけど物を食べたり堪能するって人もこのゲームをプレイしてたりするからプレイ人口はかなり大きいよ。まあただ食べるだけとかの人は課金する必要があったりもするんだけどね。ゲーム内通貨の入手は何かを作らなきゃ手に入らないから当然のことだしね。まあ現実で食べるよりかは安く済むからそこまで大きく損はしないしね。
クラフトゲームの詳細とかは気が向いたらここ説明していくね。
それじゃあ今回はここまで。次回もまたよろしくね。




